INTERVIEW先輩就農者の声
川俣町栽培農作物 アンスリウム など
“花を作る”のその先へ。
さらに先へ。
2017年3月に避難指示が解除された川俣町山木屋(やまきや)地区。そのおよそ1年後にこの地でアンスリウム栽培をスタートさせた谷口豪樹(ごうき)さん(35)。2021年には(株)smile farmを設立し、現在は観光農園や体験農園などお花の栽培に留まらない多角的な経営をしています。地元は埼玉、実家は非農家、元サラリーマンの谷口さんが農業に感じる魅力、谷口さんが描くこれからの川俣の姿を伺いました。
僕たちにしかできないことを
「smile farm」はいろんな取り組みをされていますよね。今取り組んでいることを教えてください。
アンスリウム栽培は通年、ヒマワリは夏、ストックというお花は冬、お米も作っています。4〜9月にイチゴの苗づくり、12〜5月は観光農園でいちご狩りをやっていて、今年から体験農園の運営も始めました。他には、フラワーアレンジメントのワークショップなんかもやってます。
そうそう、ワークショップといえば、つい先週新しいサービスを始めたんですよ。アンスリウムを自分で収穫して、自分で箱詰めして発送するというものです。自分宛に送ってもいいですし、誰かにプレゼントとして送ってもいい。お花ってとてもデリケートなので、手で持って帰るとポキっと折れてしまったりするんですよ。僕は実家が埼玉なので、自分でも持って帰りづらいなと思ったところから着想しました。このサービスの何がいいって、相手のことを思いながら収穫したものを梱包するという農業の醍醐味が体験できるところです。箱の中で動かないようにテープで止めたり、花が潰れたりしないように緩衝剤を入れたり、乾燥してしおれないように茎の先っぽにチューブをつけたり、僕が教えながらみなさんにやっていただきます。自分で収穫して箱詰めして送るっていう体験は他ではやってないと思いますね。
へぇー!おもしろい!そういうアイディアはどこから湧いてくるんですか?
全国のいろんな取り組みを見てですね。ネットで調べたり、お花関係の知り合いに教えてもらったりして、「なるほど、こういう売り方があるんだ。じゃあうちらしくやるならどうする?だったらこれとこれを掛け合わせてやってみよう」みたいな。例えばお花のアレンジメントは僕たちだったら、どうやったらユニークなことができるかなって考えて花を選んで収穫するところから自由にやってもらうことにしたんです。そうすれば選ぶ花の色や本数が違うので、お客さんが数十人いてもみんな違う作品が出来上がって満足度も高いんです。うちも「アンスリウムは一般的には鮮やかな赤が人気だけど、最近は渋い色も人気があるんだな」というような情報も得られますし。
取材日:11月16日
取材・文・写真:成影沙紀