生活・その他

ちょうどいい田舎の暮らしが体験できる「広野町お試し住宅」

2025年8月20日

「自然に囲まれて暮らしたいけど、買い物や通勤の利便性は欲しい」
「自然のなかでのびのびと子育てしたい。でも、教育面もやっぱり気になる」

そんな希望を無理なく叶えられるのが広野町です。

海にも山にも近く、冬でも温暖な気候の広野町は、東京から常磐線特急で約2時間半、車でも約3時間と、アクセスのよさも魅力です。現在、広野町では、移住を検討する人たちに向けて「お試し住宅」を用意し、実際の暮らしを体験できる機会を提供しています。

広野町のお試し住宅とは?

広野町お試し住宅(写真:多世代交流スペースぷらっとあっと提供)

広野町のお試し住宅は、移住を検討している方がその地域の特徴や生活環境を肌で感じ、実際に“町の暮らし”を体験できる住宅です。駅近で利便性の高い町の中心部にあり、2024年度から本格的な運用がスタートしました。

お試し住宅の利用に関する総合的な相談対応を行うのが、広野暮らし相談窓口「りんくひろの」です。担当の大森博隆さんは、「お試し住宅の利用に関する相談対応から申し込み、日程調整といった事務手続きはもちろん、滞在中のちょっとした悩みごとや地域とのつながりづくりまでサポートしています」と話します。

住宅の管理は、「多世代交流スペースぷらっとあっと」を運営する青木裕介さんが担当しています。地域の案内人のような存在の青木さんは、鍵の受け渡しや現地での説明、滞在中の細かな対応、地域施設の紹介まで、利用者の目線に立ったサポートを行っています。

広野暮らし相談窓口「りんくひろの」の大森博隆さん(左)と「多世代交流スペースぷらっとあっと」の青木裕介さん(右)

広野町では、そんな“ダブルのサポート”で移住希望者を迎え、暮らしの体験を支えています。一人ひとりの状況や希望に合わせて、ていねいに寄り添う体制があるからこそ、広野町の魅力をより知ることができるのです。

実家に帰ったような安心感

広野町のお試し住宅は、一軒家をそのまま利用しているのが特徴です。実際に暮らすように滞在できるため、町の生活をリアルに体験できます。利用料は無料。冷蔵庫や洗濯機などの生活家電を完備し、調理器具や食器類、布団などの寝具もひととおり揃っているので、到着したその日から快適に過ごせます。

リビングは、どこか懐かしく落ち着いた和の空間。ローテーブルを囲んで会話や団らんが自然と生まれ、まるで実家に帰ってきたような安心感に包まれます。

二間続きの和室は、ふすまを開け放てば開放感たっぷりの空間に。ベビーサークルや滑り台も用意されており、子育て世代にもうれしい配慮が感じられます。

窓の外にはやわらかな緑が広がり、寝室として使えば静かな環境でゆったりと過ごせます。昼間は子どもの遊び場に、夜は寝室として。暮らしのリズムに合わせて、自在に使えるのも大きな魅力です。

バスルームは清潔感のあるユニットタイプ。洗面用具のほか、脱衣所にはドライヤーもあります。

キッチンも広々として使いやすそうな空間です。冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器、電気ケトルなど、日々の調理に必要な家電が揃っていました。近くのスーパーや直売所で地元の食材を手に入れて、充実したキッチンで広野町ならではの味を楽しんでみるのも、暮らし体験の楽しみのひとつになりそうです。

お試し住宅は、県外在住で移住を検討している方ならどなたでも利用できます。滞在期間は最長10日間で、年に2回まで利用可能。利用希望日の2週間前までに専用の問い合わせフォームから申し込みます。申し込み後は、窓口を担当する「りんくひろの」がスケジュール調整や事務手続きを進め、現地での対応を担当する青木さんへ情報が引き継がれます。

恵まれた教育環境が整う「教育の丘」

子どもと一緒に移住を検討するご家庭にとっては、子育て環境が整っていることが広野町の大きな魅力です。

「地域が人を育て、人が地域を育てる」という理念を掲げる広野町では、教育にも力を注いでいます。その象徴が「教育の丘」。1km以内に町立のこども園・小学校・中学校・県立の中高一貫校がそろっているのです。

震災後に設立され、注目を集めているのが、福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校です。「変革者たれ」というスローガンのもと、主体性・協働性・創造性を育む教育に取り組み、専門性を深めながら将来の地域や社会を担う人材の育成を目指しています。

また、地域にひらかれた学校を目指し、校内には誰でも利用できる「caféふぅ」を併設。生徒はもちろん、学校を訪れた人が気軽に立ち寄れる、町にひらかれた居場所となっています。

(写真:鈴木宇宙)

「子ども園や小・中学校がすべて徒歩圏内にコンパクトにまとまっているので、保護者の方からも『送り迎えがしやすいし、安心できる』という声をよく聞きます」と、大森さん。子どもたちが成長する過程を地域全体で見守り支えていけるのも、広野町ならではの魅力です。

お試し住宅で知る、町の日常

ところで、お試し移住ではどんな過ごし方がおすすめなのでしょうか。

「私が必ずおすすめしているのが、お試し住宅そばにある居酒屋『元気百倍』です。このお店は、広野町で東日本大震災前から営業を続けている唯一の居酒屋で、震災直後、町がまだ真っ暗だった時期からいち早く再開し、明かりを灯し続けてくれた存在です。店主はいわき市から通いながら営業を続け、地元の人が戻ってきたときに集まれる場所を守ってくれました。『地元の人と触れ合いたい』『広野の空気を感じてみたい』という方にぴったりのお店です」と、青木さん。

店主や常連さんとの何気ない会話を楽しんだり、肩を並べてお酒を飲んだり食事をしたりするなかで、震災を乗り越えてきた町の歩みや人のあたたかさを肌で感じられます。

また、町の空気感を知るには、青木さんが運営する多世代交流拠点「ぷらっとあっと」もおすすめです。JR広野駅から徒歩3分の場所にあり、誰でも気軽に“ぷらっと”立ち寄れる交流スペースやパソコン教室として、地域にひらかれています。

取材に訪れたこの日も、地元の小学生がパソコン教室に来たり、町の人が立ち寄っておしゃべりを楽しんだりと、日常の風景が穏やかに流れていました。施設内には町の情報コーナーやWi-Fiが使えるコワーキングスペースもあり、移住体験中の拠りどころとしても心強い存在になりそうです。

「ぷらっとあっと」には町の人が自然と集まってくる

「広野町は、自然と便利さのいいとこ取りができる、田舎すぎない田舎です。自然がすぐそばにありながら、スーパーや学校といった生活の基盤が整っているし、南隣のいわき市まで足をのばせば大きな病院や商業施設もあるので、不便を感じることはありません」と、青木さん。広野町のお試し住宅を利用すれば、そうした暮らしや町の空気、人の温もりを肌で感じることができます。

移住という大きな決断の前に、一度この町で「暮らし」を体験してみませんか?ここでの時間が、あなたの新しい一歩につながるかもしれません。

広野町のお試し住宅についての詳しい情報はこちらをご覧ください。
広野町お試し住宅│広野町公式ウェブサイト

福島12市町村で提供しているお試し住宅は以下の記事でもご紹介しています。
福島暮らしを気軽に体感できる!ふくしま12市町村お試し住宅をまとめてご紹介!


■広野暮らし相談窓口「りんくひろの」
所在地:〒979-0402 福島県双葉郡広野町下北迫字苗代替35(広野町役場復興企画課内)
TEL:0240-27-1251
E-mail:linkhirono@town.hirono.fukushima.jp
HP:https://www.town.hirono.fukushima.jp/ijyu/index.html

■多世代交流スペース「ぷらっとあっと」
営業時間:火~木曜・土曜/12:00~18:00
祝日/12:00~18:00
所在地:〒979-0402 福島県双葉郡広野町下北迫折返35-4 アイアイ会館1F
TEL:0240-23-6882
HP:https://select-type.com/p/plat_at_hirono/
Instagram:https://www.instagram.com/plat.at.hirono/

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各市町村のホームページをご確認いただくか、移住相談窓口にお問い合わせください。
文・写真:奥村サヤ