移住サポーター

チャレンジするまちの移住支援最前線⑦広野町

2022年2月4日
広野町
  • チャレンジするまち

広野暮らし相談窓口「りんくひろの」
相談員 大森博隆さん

  • 地域の特性は?
    寒暖の差が少なく自然が豊かなまち
  • 町の現状は?
    4,000人を超える方が安心して生活を営んでいる
  • 今後どのような移住支援をしていくか?
    広野町でお試し居住が体験できるツアーを開催したい

「東北に春を告げるまち」

――広野町の現状について教えてください。

広野町は東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故後、全町避難を余儀なくされましたが、震災の翌年には避難指示が解除されました。復興も着実に進み、現在では4千名を超える方が生活を営んでいます。

復興から創生へのまちづくりに向けて進む広野町は、2021年度から移住相談窓口を設け、移住イベントへの出展や移住ツアーに同行して情報提供を行うなど、移住を検討している方に候補地の一つとして考えていただけるように努力しているところです。

――地域的な特性を教えてください。

原発事故に伴う避難指示等の対象地域となった12市町村の南端に位置し、東は太平洋、西は阿武隈山脈に接しています。浅見川渓谷や折木鉱泉などの美しい自然環境があり、大型遊具などで子どもにも人気が高い二ツ沼総合公園、Jヴィレッジスタジアムなどのスポーツ施設もあります。中核市のいわき市に隣接していて、市の中心部までの距離も近いので、例えば家具や家電などの大きなお買い物にも困りません。JR常磐線の駅や高速道路のインターチェンジもあるので、交通アクセスも良好です。

――広野町ではみかんを栽培しているとお聞きしました。1年を通して暖かいのでしょうか。

はい。広野町は年間の平均気温が10℃以上の温暖な気候で、東北でも寒暖の差が少ない地域です。「東北に春を告げるまち」をキャッチフレーズにしており、毎年12月ごろには家庭の庭先でみかんが彩る光景を目にすることができます。バナナやコーヒー豆も栽培しており、町内の学校とタイアップしたさまざまな商品開発にも取り組んでいます。

――まちづくりにおいてはどのようなビジョンを掲げていますか?

「すべての世代が安心して住み続けることができるまち」を目指しています。例えば、イベントや学習スペースとして使用できる「多世代交流スペースぷらっとあっと」は、幅広い世代で気軽に利用できるコミュニティスペースとして多くの方に親しまれています。

子育て世代が安心して暮らせるまちに

――広野暮らし相談窓口「りんくひろの」ではどのような相談に対応していますか?

住まいやお仕事のことなど、広野町への移住や移住後の暮らしに関する様々な疑問や質問にお答えしています。不動産会社や働き手を求める企業と連携を図っていますので、常に最新の情報をご提供することができます。

――これまでに移住をされた方はどういった年齢層の方が多いでしょうか。

今年度は単身世帯の方の移住が多かった印象があります。相談窓口には、町から首都圏に出た20~30代の方のUターンや、お子さんを連れての移住を検討している家族世帯からのご相談もありました。

――住宅の供給状況はいかがでしょうか。

賃貸住宅については単身向けのアパートは多いのですが、ファミリー向けの住宅は募集そのものが少ないですね。売りに出ている中古住宅は少ないため、ご家族で住まいを探している方には町営住宅のご案内もしています。町では2022年度の提供開始を目指して、JR広野駅の東側に新たな住宅団地の造成も進めています。移住された方の中には、職場はいわき市、住まいは広野町、という方もいらっしゃるようです。

――求人数に関してはいかがですか?

企業や飲食業、宿泊業など、幅広い分野で募集しています。また、今後更なる発展が期待されるドローンやロボット等のテクノロジー業界の求人もあります。新たな工業団地の整備も進んでいますので、若い世代が安心して子育てができるまちをつくっていくためにも、企業誘致により力を入れて新しい雇用の場を生み出していこうと考えています。

広野町での暮らしの相談は「りんくひろの」へ

――どのような方に移住してほしいとお考えでしょうか。

幅広い世代の方を求めていますが、町では特に教育に力を入れていますので子育て世代の方にぜひ移住を検討していただきたいです。2019年に開園した幼保連携型認定こども園「ひろぱーく」は延長保育や預かり保育など子育て世代へのサポートが整っています。世界の課題解決に貢献する人材の育成に力を入れる中高一貫校「県立ふたば未来学園」など「教育の丘」に教育機関を集約させ、充実した教育環境を整えているのも魅力の一つです。

――子育て世代向けの支援策は具体的にどのようなものがありますか?

お子さんが生まれた日、学校へ入学する日から起算してそれぞれ6ヵ月前に住民登録されている方は、出産と小・中学校の入学のタイミングで祝い金として5万円を受け取ることができます。また、給食は3歳から中学校卒業まで無償化しており、こども園「ひろぱーく」では園の施設内で、小・中学校は隣接する給食センターで毎日、安心安全な給食を提供しています。

――今後どのような移住支援を行っていく予定ですか?

移住相談窓口では、より相談しやすい窓口環境の構築や町での暮らしを想像しやすくなるような情報発信に努めています。また、町に実際に足を運んでもらい、暮らしを体験してもらう移住体験ツアーの準備も進めています。

新しい土地での暮らしは不安を感じることも多いと思います。移住された方と町民の方が心地よく交流できる環境づくりに力を入れていきたいです。


■広野暮らし相談窓口「りんくひろの」
住所:〒979-0402 福島県双葉郡広野町大字下北迫字苗代替35(広野町役場復興企画課内)
Tel:0240-27-1251
Email: linkhirono@town.hirono.fukushima.jp
https://www.town.hirono.fukushima.jp/ijyu/index.html

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。