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【移住体験ツアーレポートin双葉町&南相馬市】ふくしまの笑顔とあなたの未来を重ねる旅

2023年10月25日

2023年9月16日(土)から18日(月)の2泊3日で、双葉町と南相馬市を巡る移住体験ツアー「ふくしまの笑顔とあなたの未来を重ねる旅in双葉町&南相馬市」が開催されました。この記事では、3日間のツアーのうち南相馬市小高区を訪問した17日(日)の様子をご紹介しながら、小高区での暮らしや仕事の魅力についてお伝えします。

南相馬市小高区ってどんな地域?

南相馬市は原町市・小高町・鹿島町、3市町の合併により誕生した相双地域最大の人口規模を誇るまちで、商業施設や学校なども多くあります。

小高区(旧小高町)は、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により避難指示が出され、全区民が避難を余儀なくされました。2016年7月の避難指示解除後は、今回のツアーでも訪問した小高パイオニアヴィレッジを拠点に起業を志す若者が多く移住するなど、新たな活力が育まれているまちです。

■南相馬市の概要
https://mirai-work.life/city/minamisoma/

業界最大手のタニコー福島小高工場を見学

ツアー2日目は、スタッフを募集しているタニコー株式会社福島小高工場の見学からスタートしました。タニコーは施工から販売、メンテナンスまでを行う業界最大手の業務用厨房機器メーカー。アルバイト先や厨房が見える飲食店でこのロゴを見たことがある人もいるかもしれません。

今回案内してくださったのは、厨房セクション工場長の渡部隆綱さんと、生産本部の大橋直行さんです。

小高工場は全国にあるタニコーの工場でも最大規模を誇ります。200人の従業員が働いており、主に学校給食センターで使う厨房機器や、大きなタンク、電熱器、鉄板などを製造しています。取引先はコンビニエンスストアやファストフード店、うどん店など全国展開する飲食チェーン店が多く、日本の外食産業を支える縁の下の力持ちです。

大橋さん「自分が作ったものを実際に見て確認できることがやりがいです。誰もが知る有名なチェーン店と一緒に成長していける、夢のある仕事です」

ここで大橋さんからクイズ!30メートルほどある写真の機械は、何に使われるものでしょうか?

答えは炊飯器!「連続炊飯器」と呼ばれるもので、なんと15,000食分のご飯が炊けるのだそう。参加者からも驚きの声が上がりました。

工場見学ではステンレスの加工や組み立てに必要な機械を見学し、タニコーの高い技術力を実感しました。

小高工場では、就職後のミスマッチをなくすために選考段階で工場を案内しています。県外からの採用にも柔軟に対応しており、Web面談も取り入れているのだそう。製造業というと男性が多いイメージがありますが、現在は女性30人が適材適所の現場で活躍しているといいます。産休・育休後に時短勤務で働いている方もいらっしゃるそうです。

■タニコー株式会社の企業サイト
https://www.tanico.co.jp/

小高をぐるっとまち歩き

工場を後にした一行は小高区役所前でバスを降り、まち歩きをスタート!
1日半をともにした参加者はすっかり打ち解け、商店や薬局、美容室などのお店を確認し合いながら歩いて小高区の注目スポットを巡ります。

まず向かった先は、南相馬市のお試しハウス。ここは最大30泊、年間4回まで無料で利用でき、移住の一歩として実際に暮らして生活環境をチェックできます。この日は中に入ることはできませんでしたが、落ち着いた環境で「お試し移住」ができることがわかりました。

南相馬市お試しハウスはこちらの記事でもご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/1882/

続いてはお試しハウスから7分ほど歩き、小高パイオニアヴィレッジへ。ここは簡易宿泊所を兼ねた起業家のためのコワーキングスペースで、ここから多くの新しいビジネスが生み出されています。

運営するのは、「地域の100の課題から100のビジネスを創出する」をスローガンに起業支援を行っている株式会社小高ワーカーズベースです。南相馬市の委託を受け、小高パイオニアヴィレッジを拠点に「起業型地域おこし協力隊」の支援も行っています。

小高ワーカーズベースについては、こちらの記事でもご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/3207/

起業型地域おこし協力隊として移住し、ジャンルの垣根を超えた自由な酒づくりを行う酒蔵「haccoba -Craft Sake Brewery-」を立ち上げた佐藤太亮さんのストーリーもぜひご覧ください。
https://mirai-work.life/magazine/1163/

昼食は小高パイオニアヴィレッジから6分ほど歩いた先にある、小高交流センターの「めざせ!殿様食堂」です。みんなで「準優勝とり唐揚げ定食」をいただきました。香ばしく揚がった唐揚げに絡んだ秘伝の甘辛ダレでご飯が進む! 午後の元気をチャージしました。

昼食後はしばし自由時間。小高交流センターにはカフェや子どもの遊び場、直売所の「小高マルシェ」が併設されています。新鮮で安い野菜に驚きつつ地元の生産者さんから話を聞いたり、ふくしま12市町村移住支援センターの職員で小高区在住の吉川彰浩さんに質問したりと、みなさん思い思いの時間を過ごしていました。

I Loveファームおだかで就農をイメージ

続いての訪問地は、小高区でブロッコリーを中心に生産する有限会社I Loveファームおだかです。約60haの圃場で年間約250万束のブロッコリーを生産し、全国のスーパーなどに出荷しています。北海道、福島、岡山、宮崎、長崎の全国に5ヵ所にあるグループファームで生産しているため、年間途切れることなく出荷でき、小売業者との契約がしやすく安定した経営ができているのだそう。今回は、代表の息子さんで取締役の吉田一貴さんが現地を案内してくださいました。

ブロッコリーはその栄養価の高さから安定した需要があり、生産者としても軽くて輸送が楽、鮮度が落ちにくいなどのメリットがあります。収穫と選果以外は半自動で効率化も進めているそうです。

従業員10人のうち半数はU・Iターンで、吉田さんご自身もUターン。女性も多く活躍しています。収穫・選果を担う短期スタッフは未経験でも就業可能で、半日・1日・1週間・1ヵ月の短期でも歓迎とのこと。お試しハウスの制度を活用しながら、インターンシップ感覚で仕事を体験してみるのも良いかもしれません。

吉田さん「当社では、一緒に考え動いていく主体性を重視しています。働くモチベーションは感じられるはず。移住の際は、ぜひ農業の分野にも目を向けていただきたいです」

吉田さんの農業への思いはこちらの記事でお読みいただけます。
https://mirai-work.life/agri12/interview/2_3/

有限会社I Loveファームおだかの求人情報はこちら。
https://ilove-farm-okada.jbplt.jp/

馬事公苑で馬と共生するまちを体感

相馬野馬追の伝統がある南相馬市は、馬と共生するまちです。

ここで2020年、「馬の社会的価値を高める」というミッションのもと馬と触れ合える事業を展開する一般社団法人「Horse Value」を立ち上げたのが、東京から移住した神瑛一郎さんです。神さんは馬術競技で過去に日本一になったキャリアの持ち主で、乗馬でまちを観光する「うまさんぽ」や、馬を使った企業向けのコーチングなどの事業を手掛けています。

この日最後の目的地は、馬術競技のフィールドとなる馬場がある南相馬市馬事公苑。乗馬体験として、Horse Valueに所属する元競走馬のワタリンとグランドバローズに乗せてもらいました。

2022年まで競走馬としてレースに出ていたグランドバローズは、マイペースなワタリンを追い越してしまうことも。そうはいっても二頭とも穏やかな性格のようで、乗馬後は快く参加者に顔や体を触らせてくれました。参加者からは「最初はちょっと怖かったけど安心して乗せてもらえた」「将軍になった気分」「ジョッキーのすごさがわかった」などの声が上がりました。

乗馬の後は、神さんが移住のきっかけや今後の目標を語ってくれました。
神さんは南相馬市の起業型地域おこし協力隊として手を挙げ、この日ツアーでも訪れた小高パイオニアヴィレッジで事業を立ち上げました。会社の所在地も小高パイオニアヴィレッジにあります。南相馬市は馬が身近にあるまちで、チャレンジに寛容なまちだったことも移住の後押しになったと振り返ります。

神さん「今後は馬を活用したインフラ事業を立ち上げたいです。一つは移動手段としての馬車、そしてもう一つが馬の糞を使ったバイオマス発電事業。いずれも、引退馬の次のキャリアにつながると考えています」

神さんの移住ストーリーは以下の記事でもご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/1071/

まとめ

1日目の双葉町では、移住者との意見交換や、東日本大震災・原子力災害伝承館、就職先候補地の訪問を通して現地の復興の様子を肌で感じました。3日目の南相馬市原町区ではスーパーマーケットやインキュベーション施設、コワーキングスペースなどを見て回り、生活環境を確かめた参加者のみなさん。南相馬市では移住相談窓口「よりみち」で実際に相談に乗ってくれるスタッフとも会うことができ、移住後の生活を具体的にイメージすることができたのではないでしょうか。

2023年度の「未来ワークふくしま移住体験ツアー」は、12月、1月、2月にも開催予定です。

詳しくはこちらからご確認ください。
https://mirai-work.life/lp/tour2023/

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです
文・写真:五十嵐秋音