南相馬・地域交流会イベントレポート「夏を楽しもう 竹DIY & 流しそうめん」
南相馬市の移住相談窓口である「みなみそうま移住相談窓口よりみち(以下:よりみち)」は、移住して南相馬市で暮らし始めた移住者が地域に馴染めるような交流の機会づくりをしています。その一つが、月に一度開催している「地域交流会」。これまで、農業体験やボードゲーム大会、日本チャンピオンから教わるカンフー体験など、さまざまなイベントが行われてきました。今回は8月に開催された「竹DIY&流しそうめん」のイベントをご紹介します!
よりみちが主催する「地域交流会」
よりみち代表の後藤彩さんは、地域交流会について「対象を移住者や若者だけなどと括ることなく、南相馬市で暮らすさまざまな人に参加してもらい、それぞれが普段の生活で会うことのない人と接点が持てるイベントにしたい」と話します。
今回のイベントの参加者も、地元の方、移住者、家族、インターン中の学生などさまざま。朝から総勢50名が集まり、にぎやかな雰囲気です。
今回の会場は、南相馬市原町区にある農家民宿「いちばん星」。海水浴場の北泉海岸に近く建物の裏には里山が広がっており、南相馬の自然を感じるにもぴったりということから会場に選ばれたのだそう。
みんなで力を合わせて竹で流し台と器をDIY!
取材当日はパラパラと降る雨が少し不安な空模様でしたが、イベントスタートの朝8時に合わせて参加者たちが続々と集まってきました。まずはメインイベントの流しそうめんに向けて、流しそうめん台をDIYしていきます。
ここでは、竹の節を取るチーム、流し台の支柱をつくるチーム、器を作るチームの3グループに分かれて作業を進めました。最初は知り合い同士のグループで作業を始める場面もありましたが、作業をしながらお互いが声を掛け合う中で、初めましての人や世代が違う人との交流も自然と進みます。
竹の加工が得意な人に教えてもらいながら、竹に触れるのは初めてという学生が竹を切ったり、器にぴったりの素材を子どもたちが選んだり。器作りのための「竹やすり」の際には、みんなで輪になり出身地や仕事の話で盛り上がりながら手を動かしていました。
「地域交流会は、私たちが一方的に提供するものではなく、参加者のみなさんと一緒につくるものでありたいと思っています。今回でいうと、流し台の準備から混ざってもらうことで『自分も地域を盛り上げる一員なんだ』と感じてもらえると良いですね」(後藤さん)
大人と子ども、地元出身者と移住者、企業に勤める人と個人事業主など、さまざまな属性や働き方の人たちが集まるイベントなので、あちこちから聞こえてくる雑談のバリエーションも豊富です。お互いの自己紹介や移住のきっかけを話す若者。来年、南相馬に新しい小児科ができると喜ぶパパやママ。農家や家庭菜園をする人たちは、夏野菜の収穫の話で盛り上がっていました。
大人も子どもも一緒に楽しんだ流しそうめんとスイカ割り
いよいよ流しそうめんがスタート!子どもたちが一早く流し台の周りに集まり、今か今かとそうめんが流れてくるのを待っています。
そうめんは、よりみちの運営会社であるMYSH合同会社(以下:MYSH)代表であり、奈良県出身の向井さんがこのイベントのために用意した奈良県の「三輪素麺」を使用。また、MYSHがお世話になっている方から差し入れにいただいたという秋田県・三種町の「じゅんさい」も流れていました。「じゅんさい」は、ぷるぷるとしたゼリー状の膜で覆われた食用の水草。ツルっとした食感と涼しげな佇まいが、夏の食事にぴったりです。
流し台を離れて、近くにある小屋の中でゆっくりとそうめんをすする参加者も。イベントに参加するきっかけを話したり、感想をシェアしたりしていました。同じ雰囲気を味わう中でやわらぐ緊張もありそうです。
4月に南相馬市へ移住してきたという方は「職場は富岡町なので、住んでいる地域の方や場所のことを知らずにいました。今回のようなイベントがあると初めての場所に行く機会にもなりますし、地域と関わるきっかけができることを実感しました」と話してくれました。
流しそうめんが落ち着いたところで、デザートとゲームの時間です。いちばん星の畑で収穫されたスイカ割りと早食い競争で盛り上がりました!
スイカ割りでは、子どもたちがきょうだいで指示を出し合ったり、大人に少し手助けしてもらったりしながら方向を決め、慎重に、でも思い切り良くスイカめがけて棒を降り下ろします。
その後はスイカの早食い競争へ。こちらは子どもの部と大人の部で行われました。子どもも大人も、優勝者の食べっぷりはお見事。ばくりばくりとあっという間にスイカがなくなり、ギャラリーはその早さに驚き、大盛り上がりでした。
スイカの早食い競争で優勝した南相馬市出身の男性からは「子どもの時は近所のおじちゃんやおばちゃんが子どもたちを集めて遊んでくれていました。それが楽しい思い出として残っているのですが、最近は昔のようなイベントごとが減ってしまったので、こうして大人も子どももワイワイ集まれるのは嬉しいですね」という声を聞き、地域のイベントを本気で楽しんでいることを感じました。
イベントを終えて
参加者一人ひとりの日常がこの場で混ざり合う良さを感じた「地域交流会」。参加者の方に、このイベントに参加したきっかけや感想を伺いました。
「子どもたちに流しそうめんをやってみたい!と言われたことをきっかけに、夫婦と子ども3人で参加しました。地域交流イベントは初めてでしたが、普段は自然を感じたり、ノコギリを使って工作をしたりする機会がなかなかないので良い体験ができました。いろんな方に遊んでもらい、子どもたちも大満足です」(南相馬市出身 親子)
「普段は東京の大学に通っているのですが、将来は地域づくりや観光に関する仕事がしたいという思いがあり、よりみちの地域体験プログラムを通してイベントに参加しました。地元の人たちと話していると、自分も地域に溶け込める感じがして嬉しいです。自分より上の世代の方から仕事や生活の話を聞けたのが特に良かったです!」(東京都出身 学生)
地域との関わりは最初の一歩がなかなか難しいもの。そんな時こそ、よりみちが主催する「地域交流会」に参加してみてはいかがでしょうか?今日のイベントのように、普段は関わり合いのない人と話をしたり、一緒に食事をしたりするうちに、自分も地域の一員であることを感じられるかもしれません。
よりみちが主催するイベントの最新情報はInstagramでご覧ください。
https://www.instagram.com/minamisoma.yorimichi_jp/
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■みなみそうま移住相談窓口「よりみち」
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後藤さんの移住ストーリーは過去のMAGAZINE記事でも紹介しています
https://mirai-work.life/magazine/429/
※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。
文・写真 蒔田志保(写真は一部よりみち提供)