移住サポーター

楢葉町の「どきどき」「わくわく」を発信する「CODOU/コドウ」

2023年3月13日

 JR常磐線の木戸駅を下車し徒歩3分ほどで、かまぼこ型の屋根の愛らしい建物が見えてきます。そこが「ならはスタートアップ・プレイス CODOU/コドウ(以下、CODOU)」。CODOUは「鼓動」をイメージして名付けられ、楢葉町で新しい物語を紡ぐ一人ひとりの「どきどき」「わくわく」する“鼓動”を重ね合い、みんなでよりよい地域を作っていきたいという願いが込められています。

 CODOUには「移住相談窓口」「交流ラウンジ」「レンタルオフィス」などの機能があり、今回はスタッフの桑島英理佳さん、塩塚祐太さんと、レンタルオフィスの入居企業「株式会社デジタルラボならは」の内海伸浩さん、佐川晃一さんにお話を伺いました。 

 出会いのきっかけに。リラックスできる交流ラウンジ 

 2022年6月にオープンしたCODOUは、「スタートアップ・プレイス」の名前の通り、楢葉町で何か新しいことを始めたい人をサポートする拠点として設立されました。 

元々ダンススタジオだった建物は2階建て。1階は移住相談窓口と交流ラウンジで、2階はレンタルオフィスになっています。入り口のガラスドアを開けると、きれいにスリッパが並べられており、靴を履き替えて交流ラウンジに入ると、奥で作業をしていたスタッフが立ち上がって「こんにちは!」と気持ちよく挨拶してくれました。 

左・塩塚さん、右・桑島さん 

交流ラウンジには机がランダムに並べられ、椅子の形もさまざま。これは「アットホームな空間で、リラックスしながら新しい出会いを楽しんでほしい」という思いが込められています。9:00〜17:00の開館時間内は予約なしで誰でも利用することができます(会議で利用する場合は要相談)。 

Wi-Fiと電源も完備されているので、PCを使った作業や打ち合わせなどコワーキングスペース的な使い方はもちろん、パーティションで区切られたスペースは会議利用も可能です。 

交流ラウンジの様子。左手奥で、会議や打ち合わせができる 

交流ラウンジには、ワンコイン(100円)で利用できるコーヒーマシンが設置されており、CODOUオリジナル珈琲豆で淹れたてのコーヒーが味わえます。 

「居合わせた人たちと、自然に交流が生まれる場所になればと思っているんです」と桑島さん。「お仕事での利用はもちろん、楢葉町にはまだカフェが少ないので、カフェのように立ち寄っていただき、いろいろな人に気軽に利用してもらいたいです。そこから新しい出会いが生まれるとうれしいですね」と笑顔を見せます。 

移住者交流会から会社説明会、地元の人たちの会合まで 

CODOUは楢葉町移住相談窓口にもなっており、随時、移住希望者の相談を受け付けています。移住相談は温かな雰囲気の交流ラウンジで行われ、相談者が話しやすい環境が整えられています。 

また、移住後の支援もCODOUの役割の一つ。2022年11月には先輩移住者を招き、移住者交流会を開催しました。アットホームな雰囲気の中で行われた交流会は、参加者にとって貴重な情報交換の場となりました。 

実は桑島さん、塩塚さんも、2022年に楢葉町に移住して来ました。福島市出身の桑島さんは、「同じ福島県出身ですが、私もまだ楢葉町のことについて日々学びながら過ごしています。同じ移住者という立場で新たな出会いを探しながら、いろいろな企画を提案できるようになりたいと思っています。楢葉町には魅力ある人、面白い人がたくさんいますので、その人たちをつなぐ役割を務めていきたいです」と話します。 

移住者交流会の様子(「トライナラハ 楢葉町移住情報サイト」SNSより) 

移住相談だけでなく、地元の婦人会の集まりや、楢葉町を訪れる大学生のフィールドスタディなどにも利用されるCODOU。ふらっと訪れた町長が、偶然行われていた大学生の研修発表会に参加されたこともあったそうです。 

大学連携事業を担当する桑島さんは、「大学生が訪問先の町長と直接話すということはあまりない機会なので、いい経験になったのではと思います。町長だけでなく町民の方も気にかけてくださり、ふいに顔を出して雑談などしていってくださるのはありがたいですね」と話します。 

また大学生のフィールドスタディに参加した町民の方が、その後もプライベート旅行の計画を立てるのに仲間とCODOUを利用するというケースも。「大学生との交流をきっかけに『こういう場所があるなら』と思い出して利用してくださったんです。そういう小さな会合に使っていただけるのもうれしいですね」と桑島さん。 

会社説明会の会場として利用されたこともあり、「予想外の使い方でしたね」と話すのは塩塚さんです。塩塚さんが町内の工業団地を訪ねた際にCODOUの紹介をしたところ、「そういう場所があるなら、会社説明会に使いたい」と話がつながったそうです。 

「このような機会を増やして、さらに地元の利用を広げていきたいです」と塩塚さん。 

今、施設を利用している人の多くは、なんらかのイベントでCODOUを利用したことのあるリピーターとのこと。「また来たい、誰かを連れて来たいと思っていただけるような企画をこれから提案していきたいです」と話します。 

地元企業の採用をサポート 

2階には4部屋のレンタルオフィスがあり、現在は2部屋に3社が入居しています。 

レンタルオフィスは交流ラウンジとは別のオフィス専用入口から入室でき、24時間365日利用可能。各社のポストも設置してあり、スタートアップの法人登記もできます。 

2022年9月から入居している「株式会社デジタルラボならは」は、楢葉町のDX支援業務を行う会社です。地域活性化起業人としてDXコーディネーターを担う内海さんは、楢葉町と神奈川県横浜市の二拠点居住。

左・佐川さん、右・内海さん 

オフィスは2階なのですが、1階の交流ラウンジでもよく仕事をするという二人。 

「ずっと2階にいては、町の人と交流できないですからね。楢葉町を訪れる若い人たちは、地域創生に強い関心を持っていて、夢をいっぱい持っている人が多い印象です」(内海さん) 

入居企業には、フィールドスタディに来た首都圏の大学生が行うイベントや、CODOUが窓口となる地域の交流会などに積極的に参加してもらうこともあるそうで、域内外の人々との交流が生まれる職場となっています。 

2階のレンタルオフィス 

また、大学連携がきっかけとなり、学生が「デジタルラボならは」の求人に応募した例もあるそうで、CODOUのレンタルオフィスが新たな雇用を生み出す場にもなりつつあるようです。 

そのほかにも、町内企業の採用サポートとして専用Webサイト「ならはシゴトNAVI」で求人情報を掲載しているほか、CODOUを拠点として仕事をする人たちの交流会「CODOU会」なども開催しています。 

第1回「CODOU会」の様子(「トライナラハ」SNSより) 

スタッフや入居者のスキルを生かしあう場づくり 

CODOUでは、地元の人と移住者をつなぐ機会をつくろうと、スタッフや入居企業の方のスキルを生かしたイベント企画も行っています。 

CODOUの近くにある公園で行ったイベントでは、元バーテンダーという経歴を持つ内海さんにホットウイスキーなどのドリンクを振る舞っていただきました。当日は、地元の方や移住してきた方、近隣ホテルの宿泊者など約60人が参加。地元のみなさんが公園のイルミネーション装飾をおこなったりと、準備段階から大いに盛り上がったそうです。 

たき火を囲んでホットウイスキーを楽しむ様子(「トライナラハ」SNSより) 

また塩塚さんは前職の国際NGOスタッフ時代にトルコでのシリア難民支援活動の駐在経験もあることから、2023年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震を受けて、2月16日に交流ラウンジで「トルコ・シリア地震を語り合う会」を緊急開催。現地の人々の紹介や被災・支援の状況などを報告し、募金などの支援を呼びかけました。 

トルコについて紹介する塩塚さん(「トライナラハ 」SNSより) 

アウトドアの拠点に。移住の「その後」のサポートも 

CODOUでは今後、移住のその後、つまり定住に向けて、楢葉町での余暇を楽しむコンテンツを提供する「アウトドア・アクティビティの拠点」としての役割も担っていくそうです。既にYoutubeチャンネルで、楢葉町内でのSUPやカヤック、マウンテンバイクなどのアクティビティが紹介されています。山・川・海のある楢葉町の自然を満喫できるコンテンツを磨き上げ、観光資源としてだけでなく、移住者や町民の余暇を充実させるコンテンツとしても提供し、定住につなげていきたいと考えています。 

木戸川河口でのSUP(ならはみらい提供) 

「移住先での余暇の過ごし方というのは、実はとても重要だと感じています。余暇が充実することで定住にもつながっていくと思いますので、そこは今後サポートを強めていきたいと考えています」と塩塚さん。 

移住・定住事業として多くの役割を担うCODOUですが、最後に、移住や二拠点居住を検討している人たちに向けて塩塚さんからメッセージをいただきました。 

「移住は、非常にエネルギーのいることです。大変な人生の決断でもあるので、慎重に考えていただきたいと思います。CODOUでは、移住してから後悔することのないよう、時間をかけてサポートしていきます。正直、都会のような便利さはないところですが、地元の人と移住者とともに課題を解決していくことで未来につながると感じています。そんな方たちが増え、楢葉町を魅力的に感じていただけたらうれしいです。まずはCODOUにいらしてください」 

■ならはスタートアップ・プレイス CODOU/コドウ 
住所:〒979-0513福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字堂ノ下6番4 
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜、祝日、第2・4火曜、年末年始 
TEL:0240-23-6271
問い合わせフォーム:https://try-naraha.jp/contact/ 
HP:https://codou.narahamirai.com 

■楢葉町移住相談窓口
住所:双葉郡楢葉町大字下小塙字久保田63-3 楢葉町地域活動拠点施設 まざらっせ内
営業時間:9:00〜17:00
定休日:日・祝・年末年始・第2・第4水曜日は休館
TEL:0240-23-6271
Email:info-codou@narahamirai.com
https://try-naraha.jp/
※2024年5月より、ならはスタートアップ・プレイス CODOU/コドウ から移転しました。

トライナラハ(楢葉町移住情報サイト) 
HP:https://try-naraha.jp
Instagram:https://www.instagram.com/try_naraha/ 
Twitter:https://twitter.com/try_naraha 
Facebook:https://www.facebook.com/trynaraha 
YouTube:https://www.youtube.com/@trynaraha7790 

■ならはシゴトNAVI
https://try-naraha-work.jp

■楢葉町の移住・定住事業に関しては、以下の記事でも紹介しています 
▼楢葉町が取り組む移住・定住サポート「定住促進住宅」ってどんな制度?
https://mirai-work.life/magazine/1796/ 
▼楢葉町に溶け込むお手伝いを。シェアハウスで生まれる“顔”の見える関係づくり
https://mirai-work.life/magazine/3180/ 

取材・文:山根 麻衣子 撮影:中島 悠二