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【イベントレポート】第3回ロボテス縁日~ロボット・ドローン大集合~

2023年2月3日
南相馬市
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2022年10月29~30日に、福島県南相馬市にある「福島ロボットテストフィールド」(以下、略称「ロボテス」)で、「第3回ロボテス縁日~ロボット・ドローン大集合~」(以下、略称「ロボテス縁日」)が開催されました。イベントには18の企業や大学、団体などが出展し、ロボットやドローンの操作、プログラミング体験などを通じて、相双地域に集積する最先端技術の“今”を親しみやすく伝えていました。
※相双地域:相馬市・南相馬市・広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村・新地町・飯舘村

島ロボットテストフィールドとは?

福島県南相馬市に2020年に全面開所した、陸・海・空のフィールドロボットの一大開発実証拠点です。約50ha(東京ドーム約10.6個分)の広大な施設内には、無人航空機用の滑走路や大水槽などがあり、実際の使用シーンを再現した環境下で、災害対応ロボット、水中探査ロボット、無人航空機などの実証試験や性能評価、操縦訓練を行うことができる世界に類を見ない施設です。また、浪江町・棚塩産業団地内に長距離飛行試験のための滑走路も整備しています。

試験用のトンネル、橋梁、プラントなどが並ぶ「インフラ点検・災害対応エリア」

最先端のロボット・ドローンが集う2日間

週末の開催ということもあり、多くの来場者でにぎわっていました

ロボテス縁日は、福島県浜通り地域等の産業を回復するために、新たな産業基盤の構築を目指す「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の主要プロジェクトのひとつであるロボット・ドローン産業の振興と、ロボテスへの理解を深める目的でスタートしたイベントです。

会場には、18の企業や団体、大学などによるブースのほか、「なみえ焼きそば」など相双地域のグルメを集めた飲食ブースエリアや休憩スペースもあり、県内外から多くの来場者が訪れていました。

水素エネルギー活用の仕組みを親しみやすく伝える「水素の家」

入り口付近でまず目を引いたのは、住友商事株式会社のブース。CO2を排出しない水素エネルギーを利用する暮らしを、小型模型住宅を用いて親しみやすく再現し、水素と酸素の化学反応で電気を生み出す燃料電池や、水素ボンベの仕組みを分かりやすく紹介していました。

外国人留学生が来場者に「ミニスパイダー」の操作方法を教える様子

コンピューター理工学に力を入れている会津大学のブースでは、同大学に通う外国人留学生たちが、災害対応ロボット「スパイダー」の小型版「ミニスパイダー」の操作方法を子どもたちに教える姿も。また、公益社団法人福島相双復興推進機構のブースでは小型ドローンの操作体験を、「TEPIA先端技術館」のブースでは小型ドローンの離着陸・飛行などをコントロールするプログラミング講座を開催。

いずれも実際に機械に触れることで、子どもから大人まで楽しくドローンやロボットに関する興味・知識を深められる展示内容となっていました。

プログラミング学習ロボット「あるくメカトロウィーゴ」

ひときわ人気があったのは、株式会社リビングロボットの、プログラミング学習ロボット「あるくメカトロウィーゴ」。高さ13cm、重さ230gと手のひらサイズのロボットが、タブレット端末からプログラミングした内容に応じて、歩いたり、ダンスをしたり。コミカルでかわいらしい動きに、思わず足を止めて動画を撮影する人の輪ができていました。

その愛くるしい動作は、「生命感のあるモーション・デザイン」を意識して設計されたもので、学校でのプログラミングの授業で用いられているだけでなく、介護施設でのパートナーロボットとしての活用も目指しているそうです。

イノフィス社の着用型の筋力補助装置「マッスルスーツ」

株式会社イノフィスのブースで紹介されていたのは、着用型の筋力補助装置「マッスルスーツ」の新モデル。重いものを持ち上げる時など、中腰姿勢をとる時に腰に掛かる負担を人工筋肉によって軽減させるもので、今後、農業や介護の現場など、さまざまなシーンでの活躍が期待されています。電気もバッテリーも不要なので、稼働時間に制限がないことも大きなメリットです。

災害対応ロボット「MISORA」

株式会社ゆめサポート南相馬のブースの目玉は、南相馬市内の地元企業11社が共同開発した災害対応ロボット「MISORA」。前後2本ずつ、計4本の足がついており、段差がある道や狭い道を通る時に縦長の形状に変わるなど、自在に変形できるのが特徴です。

2021年10月にロボテスで開催されたロボットの国際競技会・展示会「ワールドロボットサミット2020(WRS)」では世界2位を獲得するなど、性能の高さは折り紙つき。地元企業の技術力の高さを実感しました。

大型風力発電機ブレード点検用ドローン

そのほか、株式会社クフウシヤの階段昇降ロボット、福島工業高等専門学校の廃炉ロボット試作機、株式会社福島三技協の風力発電設備の点検時などに活躍する高所作業ドローンなど、さまざまな用途・目的で使われるロボット・ドローンが大集合。

幼い子どもからご年配の方まで、目を輝かせて先端技術との出会いを楽しんでいる姿が印象的でした。

先端技術を集積させ、浜通りの新しい未来を創る

ロボテスには、現在、約20の団体、企業、研究機関などが入居し、ロボット・ドローンに関する最先端技術の研究・開発に取り組み、さまざまな分野で成果を挙げています。

この取り組みのもとにあるのは、「福島イノベーション・コースト構想」。

原発事故に起因する廃炉・汚染⽔対策事業によって、ロボット⼯学や建築・⼟⽊⼯学などの多岐にわたる先端技術が集積している地域特性を活かし、国と福島県、浜通り地域等の15市町村が連携し、①廃炉 ②ロボット・ドローン ③エネルギー・環境・リサイクル ④農林⽔産業 ⑤医療関連 ⑥航空宇宙の6つの重点分野を中心に、この地域だからこそ実現できる新産業の集積・創出を目指す国家プロジェクトです。

廃炉分野では、国⽴研究開発法⼈⽇本原⼦⼒研究開発機構(JAEA)が、楢葉遠隔技術開発センター(楢葉町)、廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟(富岡町)、⼤熊分析・研究センター(大熊町)を浜通りに整備。さらに、全国の高等専門学校に通う学生がアイデアを出し合う「廃炉創造ロボコン」や、「廃炉・災害対応ロボット関連技術展⽰実演会」を開催するなど、⼈材育成にも取り組んでいます。

ロボット・ドローン分野では、ロボテスを核に産業集積が進んでおり、実際に東日本大震災以降に70社の関連企業がこの地域に新規進出しています。こうした企業や団体が日々ロボテスで実証試験を行うことで、ロボテス縁日で披露されたような革新的な技術が生み出されているのです。

エネルギー・環境・リサイクル分野では、再⽣可能エネルギーの導⼊や⽔素エネルギーの利活用、関連産業の創出などを⽬指す「福島新エネ社会構想」の取り組みが進んでいます。2020年3月に浪江町に開所した「福島水素エネルギー研究フィールド」も、その推進拠点施設のひとつ。世界最大級の1万kW級の⽔素製造装置を備える大規模施設で、脱炭素社会の実現、燃料資源が少ない日本のエネルギー自給率向上にもつながると期待されています。また、新地町、相馬市、楢葉町、浪江町、葛尾村では、浜通りで生まれたエネルギー等を地域内で効率的に利⽤するスマートコミュニティの構築が進行中。サステナブルなまち実現に向けた先端事例も生まれています。

農林水産業分野では、震災と原発事故で大打撃を受けた浜通り地域等の産業再⽣に向け、先端技術の開発・普及や⼤規模⽣産プロジェクトに取り組みつつ、先端農林水産業体験フェアや経営セミナー、学⽣も交えた農業経営⼈材育成に関するセッション等を実施。

医療関連分野では、高齢化や医療・介護人材の不足が進む浜通り地域等に医療関連産業を集積させるとともに新技術の開発支援も行っており、航空宇宙分野では、産業集積に向けて、新規参入する企業への支援や専門人材の育成に着手しています。

それぞれの分野で、拠点整備や運営、設備投資、企業誘致、新たな製品・システム・サービス開発への⽀援、⼈材育成を行うなど、国を挙げた大規模プロジェクトが進んでいるのが今の浜通りの姿なのです。

「浜通りでしかできない仕事」が増えていく未来

「福島イノベーション・コースト構想」による浜通り地域等の産業構造の転換は、地域産業の振興に寄与するとともに、新たな企業・研究機関・⼈材の呼び込みや交流⼈⼝の拡⼤など、地域全体にさまざまなプラスの効果をもたらしています。また、地域雇用面で「浜通りでしかできない仕事」を生み出していることも注目すべきポイントです。

今後、この地域は、地方移住を考えている人にとっても、首都圏にはない仕事を求めている人にとっても、ますます目が離せないエリアになっていきそうです。

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※内容は取材当時のものです。