イベント

【イベントレポート】「マイナビ転職フェア」in新宿

2022年9月21日

「ふくしま12市町村移住支援センター」では、首都圏で開催される転職フェア(合同企業説明会)に個別相談ブースを出展し、転職希望者からのご相談に直接お応えしています。
今回は、2022年8月27日(土)に東京・新宿で開催された、20代向けの「マイナビ転職フェア」の様子をレポートします!

「マイナビ転職フェア」とは?
転職希望者が、多数の大手・優良企業、団体の採用担当者や先輩社員から、詳しい仕事内容や社風などの情報が得られる、日本最大級の転職フェアです。
会場内には、キャリア相談や職務経歴書添削、履歴書用の写真撮影ができるコーナーなども設置されており、転職に関するノウハウをまとめて得ることができます。

転職希望者と現地企業をつなぐ相談窓口

今回の「マイナビ転職フェア」には、企業や団体が相談ブースを出展し、453名が来場しました。中でも「ふくしま12市町村移住支援センター」のブースには、55名が訪れ、相談待ちの列ができるほどの盛況ぶりでした。

転職希望者からの相談対応にあたった就職コーディネーターの松沢潤さんに、相談傾向や福島12市町村の仕事事情について、お話を伺いました。

―どのような方から、どのようなご相談が寄せられていますか?

求職者の相談対応にあたる松沢さん

漠然と転職を考えている方がもっとも多く、相談者全体の7~8割を占めています。

相談内容としては、「福島がどのような地域なのかを知りたい」という地域自体に関するものや、住まいに関するもの、また、「地方には仕事がない」というイメージが強いようで、「求人って本当にあるのですか?」というご質問も多くいただきました。

実際、福島県の浜通り(太平洋沿岸地域)の有効求人倍率は1.54倍 (2022年7月時点、ハローワーク相双による)、東京都の1.53倍(2022年7月時点)と比較しても遜色なく、すぐにご紹介できるものだけでも100件以上の求人があります。未経験者歓迎の企業も多数あるので、具体的な仕事内容をご紹介しながら、東京よりも福島の方が自分らしく活躍できるかもしれないということや、困ったことがあれば我々を頼ってほしいとお伝えしました。

福島県への移住を念頭に具体的な相談に来られる方は、震災ボランティアなどで現地との関わりがあり、「これまで仕事で培った経験を活かして、いつか福島に戻ってまちづくり活動に携わりたい」など、キャリアを活かせるような仕事を探している傾向にあります。そうした方々に、南相馬市の「MYSH 合同会社」のようなまちづくり企業の求人をご紹介すると、「まさにこういう仕事です!」とおっしゃる方もいました。

―相談対応時に工夫している点はありますか?

求職者と現地企業とのリモート面談の様子

福島12市町村には若い人材を求めている企業が多いので、新卒・第二新卒、未経験者歓迎という点をPRし、求職者の希望に応じて、その場で現地企業の担当者とオンラインで直接対話したり、一次面接を受けたりできるようにしています。

今回のフェアでは、航空宇宙関連の部品製造・加工を行う「株式会社エイチ・エー・ティー」の担当者と求職者をつなぎ、現地からリモート面談をしていただきました。

実際に面談を受けた方からは、「現地企業への理解が深まり、興味が湧いた」、「転職者を歓迎していることが感じられた」という声をいただいています。

―WEBやSNSを使って情報収集をする方も多いですが、今回のような転職フェアに参加するからこそ得られる情報はありますか?

求人サイトには載らないような、リアルな情報は得やすいと思います。

例えば、我々相談員は多くの現地企業とのつながりがあるので、「実際にこの会社に行ったことがあるのですが、このような雰囲気の会社でしたよ」とか、「この会社の社長さんは、結構お酒好きです」とか、企業の雰囲気や担当者の人柄を身近に感じられるような情報をお伝えできます。

また、求人サイトには募集要項などは掲載しますが、さまざまな企業の求人があるなかで、「この企業への転職希望者は特に多く、なぜ人気かというと……」という情報は載せないことが多いです。

他県から移住してきた先輩社員が多くいるとか、福利厚生が充実しているとか、車不要の求人とか、相談者さんが求めるような情報は日頃から入手し、今回のフェアのように直接相談対応できる時に積極的にお伝えしています。

先端企業の求人多数!福島12市町村の仕事事情

―相談者が抱く「福島12市町村」のイメージと、地域の実情との間にギャップを感じることはありますか?

相談者さんの中には、まちづくり関連企業を希望される方も多いのですが、そうした企業は人気があるがゆえに買い手市場なので、採用ハードルが高くなりがちです。そのため、「都会で思い描いたようなキャリアが築けないから地方に行く」という考え方はやめた方がよく、むしろ「都会で活躍していた人が地方でも求められる傾向にある」のが現状です。

また、大手企業のホワイトカラー職を希望される方もいらっしゃり、実際に大手保険会社の営業職の求人も数件あるのですが、基本的にはホワイトカラーの求人は新興企業に多いです。大手メーカーやそのグループ企業の福島営業所などの求人は、ほとんどが製造現場での仕事になるので、その点も、求職者の希望と実際の求人との間でギャップが生じていると感じています。

―福島12市町村全体としては、どのような人材を求めていますか?

少し前までは復興関連の土木建設業の求人がメインでしたが、現在は「福島イノベーション・コースト構想」という国家プロジェクトが進行していて、ロボット・ドローン産業や航空宇宙関連、再生可能エネルギーや創薬医療など、先端産業の企業誘致と産業構造の転換が進んでいます。

その新しい産業構築の拠点となる「福島国際研究教育機構」(※)が、福島12市町村内にできることもあり、今後も先端企業とその関連企業の求人が増えていきます。

他方で、警備やガス・電気、タクシー会社など、地域にもともとあるような生活インフラを支える企業は未経験者歓迎の場合も多いのですが、相談者さんが移住に踏み切れないケースが多々見られます。

先端企業の求人が多い地域だという認知を広げつつ、若い働き手を求める現地企業と求職者をいかにつなげていくかが、今後の課題になっています。

※福島国際研究教育機構:東京電力福島第一原発事故で甚大な被害を受けた浜通りに、再生可能エネルギー、放射線科学・創薬医療、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信、農林水産業等の先端技術および研究拠点を集積する国家プロジェクト「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の司令塔となる機構。

―最後に、福島12市町村に移住したい、転職したい方に対してメッセージをお願いします!

福島12市町村の住民の多くは、東日本大震災後に地域外への避難を経験し、一度“よそ者”になった経験があります。そのため、「移住者がいて当たり前」という意識が強く、他地域よりも新しい人の受け入れに積極的で、地縁がない人でもなじみやすい地域だと思います。

未曽有の震災からの復興を遂げ、新しい産業基盤をつくる国家プロジェクトが進む福島12市町村には、これからも次々に日本の研究拠点や先端企業が進出し、地域一帯に新しい雇用が生まれていきます。

そうした地域性もあり、福島12市町村には、「福島にやりたいことがあって来た」、「もっと社会に貢献できる仕事がしたくて来た」など、キャリアプランに軸があるような前向きな移住者が多いです。仕事への熱意がある同僚や先輩とともに働けることはとても刺激的ですし、今の仕事への不満や将来への不安の中で働き続けるよりも、「これから先、どんどん伸びていく」という実感が持てる企業や地域に身を置いた方が、絶対に楽しいと思います。

「ふくしま12市町村移住支援センター」は、今後も首都圏や地方都市で開催される転職フェアへのブース出展や、現地での移住体験ツアーを開催していきますので、ぜひご自身で、福島12市町村で暮らし、働くことの可能性をご体感ください。

【参加者の声】自分の可能性を広げるきっかけ

この日、「ふくしま12市町村ブース」を訪れ、現地企業「エイチ・エー・ティー」とのリモート面談を受けた、20代の男性にもお話を伺いました。

―福島12市町村への移住や転職をお考えなのですか?

いえ、たまたまブースの前を通りかかった時に、ご担当の方にお声がけいただけたので「じゃあ、ちょっと話を聞いてみよう」という形で訪問しました。

福島移住についての話を聞いて、その流れで「求人募集中の企業の担当者さんと、直接話してみませんか」とご案内いただき、リモートで会社紹介をしていただきました。

―実際にリモート面談を受けてみていかがでしたか?

僕自身、もともと子育て関連の仕事をしていて、製造業にはほとんど関わって来なかったので、最初は「僕が聞いていいのかな」と思いました。でも実際に話を聞いてみると、営業職の案内もあるなど、専門知識・技術を持っている経験者だけを求めているという感じでもなく、未経験者も応募できることを知りました。

転職サイトで求人情報を見ていてもあまりピンと来なかったり、大手企業の求人を見ても「本当に自分が応募していいのかな」と思ったりしていたのですが、「来てください」と働き手を積極的に求めていることが感じられて、「自分でも他の業種にチャレンジできるかもしれない」と勇気が湧いてきました。

―福島12市町村に対して、どのような印象を受けましたか?

今までは、地方移住や地方企業への転職は「なし」と決めつけていたのですが、自分の中で一番ネックになっていたお金の面で、移住支援金交通・宿泊補助金などの手厚い支援を行っていたり、移住定住の特設サイト『未来ワークふくしま』を作って補助金や支援金、求人情報について非常に分かりやすくまとめてくださったりしていて、移住者の受け入れにとても積極的な地域だという印象を受けました。

実家があるとか、親の近くに戻る事情ができたとか、地方に何かしらのゆかりがないと「移住もありかもしれない」という考えに至らなかったと思うので、魅力的な地域と出会うことができ、今後取り得る選択肢も広がり、ブースを訪ねて本当によかったと思いました。

転職活動は、今よりも好条件で働ける「企業」を探すことに懸命になりがちです。しかし、そこで少し立ち止まり、成長可能性がある「地域」で暮らし、働くところまで視野を広げてみると、新しい選択肢が見えてくるかもしません。

これからの日本をリードする先端企業が集い、日々、世界を変えるイノベーションが起こる福島12市町村との出会いは、よりよい未来をひらくきっかけになるはずです。

■福島12市町村の求人情報
未来ワークふくしま「ふくしま12で働く」
https://mirai-work.life/work/#

■移住支援制度
未来ワークふくしま「支援制度について」
https://mirai-work.life/support/

■イベント情報
未来ワークふくしま「TOPICS」
https://mirai-work.life/topics/#

取材・文:高田 裕美 写真:内田 麻美