生活・その他

薬膳カフェにアットホームなイタリアン。わがまちの「推しグルメ」はここ!Vol.2

2025年1月20日

福島12市町村には、まちに溶け込み地元住民に愛される飲食店さんが多くあります。行きつけのごはん屋さんは住民にとって、おなかが満たされるだけでなく、空間や人とのつながりを楽しめるコミュニティの場にもなっています。今回は、福島12市町村で暮らしを営む移住者4人に、一押しの飲食店を紹介してもらいました。

#目次

家族みんなで楽しめる「パスタ屋La Luce」

程よい厚さの生地で食感も楽しい「サラミとモッツァレラチーズのピザ」

家族4人で田村市へUターンした橋本吉央さん夫婦がオススメしてくれたのは、田村市船引町にある「パスタ屋La Luce-ラ・ルーチェ-」です。地元農家の野菜などを使用したパスタやピザが楽しめます。

メニューの種類が多く、子どもも大人も食べたいものがそろっていることが、橋本さんがラ・ルーチェを行きつけにしている理由の一つ。「このお店はどれを食べても美味しいんです!」と絶賛する橋本さんが、ぜひ食べてほしいというメニューは「たっぷり5種チーズのピザ」。「はちみつをかけると、チーズの塩味や旨みと合わさったあまじょっぱさが病みつきになります」と楽しみ方を教えてくれました。

辛い物が好きな方は、3段階の辛さから選べるパスタ「船引レッド」にチャレンジしてみるのもおすすめだとか。「一番辛い味は『危険な辛さ』です」と店主の矢吹繁之さん。「ガーリックポテト」は子どもも食べやすく、家族で食べるのにもぴったりです。

3段階の辛さから選べる船引レッド

店主の矢吹さんは田村市出身。「地元田村市で、みんなが集まってゆっくりくつろげるお店を作りたい」という想いがあり、バリアフリーで広めの入り口や余裕のある空間、個室の設置などお店作りにこだわったと言います。配慮の行き届いた空間は家族連れの橋本さんにとっても過ごしやすいそうで、「きれいでおしゃれだけどかしこまり過ぎていないんです。スタッフさんの対応もよく、そこにいること自体が楽しくなるお店です」とその魅力を教えてくれました。

(写真=ラ・ルーチェ提供)

■パスタ屋La Luce-ラ・ルーチェ-
所在地:〒963-4312 福島県田村市船引町船引源次郎202-1
TEL:0247-61-6623
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00
休業日:毎週火曜
詳しい情報はInstagram(@pasta_la_luce)へ。

お腹も心も満たされる「お昼ごはん柏屋」

ある日の日替わり定食。大寒の日に収穫した雪下キャベツが添えられた「冬野菜と鰯マッシュポテトの照り焼き定食」

広野町で「ひろのパソコン教室」や「多世代交流スペースぷらっとあっと」を運営しながら、まちづくりに携わっている「もじゃ先生」こと青木裕介さん。さまざまな活動で忙しい日々を送る中、愛してやまないランチはJR広野町駅前にある「お昼ごはん柏屋」です。もとは1885年創業の呉服屋さん。現在の店主・木村久美さんのお父さんの代から飲食店となり、現在は月に数回、不定期で営業しています。座敷のある店内は、まるで実家に帰ってきたような居心地のよさを感じられます。 

青木さんのオススメは日替わり定食。地元産を中心に、旬の食材をふんだんに使ったメニューです。「柏屋の料理には、一品ずつ真心がこもっているのが感じられます。お腹も心も、同時に満たされるんです」という青木さんは、営業日に合わせて仕事の予定を組むほどの柏屋ファン。「お料理が美味しいのはもちろんのこと、おもてなしやサプライズが大好きな木村さんの人柄に触れると疲れも吹き飛びます」と話します。

柏屋が地域に愛されてきた背景には、木村さんの”お店を守りつづけたい”という強い想いがあります。木村さんが店を継いだのは約10年前。飲食は未経験だった木村さんですが、厨房に立っていたお母さんが倒れたことをきっかけに、店を守りたい一心で切り盛りを始めたそう。「ただただ繋いでいかなきゃと必死で。取引先の魚屋さんや肉屋さん、地元の農家さん、常連のお客様など、地域の皆さまに守っていただきました」と振り返ります。一日一日の営業日はまわりの方への恩返しだと思っているのだそう。

「地元の人との交流や、町の情報集めにもぴったりです。ぜひ足を運んでみてほしい」と青木さん。味や店の雰囲気だけではなく、コミュニティとしても折り紙付きです。

■お昼ごはん柏屋
所在地:〒979-0403 福島県広野町下浅見川築地24-3
TEL:0240-27-2322
営業時間:11:00~13:30
営業日:火曜・木曜の不定期(毎月Instagramにてお知らせ)
詳しい情報はInstagram(@hirono_kashiwaya)へ。

毎日食べたい優しい味「薬膳カフェ BONCHI TARO」

自家製パンのサンドイッチ、薬膳茶、とうふマフィン

川俣町でフォトグラファーとして活動する古関マナミさんが紹介してくれたのは、2024年10月に川俣町商店街にオープンした「薬膳カフェ BONCHI TARO」です。 

古関さんの一押しは「薬膳茶」。季節に合わせた3種類の薬膳をブレンドしたオリジナルティーです。「初めて飲んだ時に、身体がぽかぽかと暖まり、元気になるような感じに衝撃を受けた」と話します。また、さまざまな薬膳を使用したおかゆや、川俣町産全粒粉に陳皮を練りこんだ自家製パンのサンドイッチも食べてほしいとのこと。「どれを食べても間違いない美味しさで、毎日でも食べたくなっちゃいます!」と絶賛します。

薬膳入りのおかゆ。つけあわせの総菜は川俣町や福島県産の旬の野菜を使用

店主のマイケル・ファンコーニさんと妻の菜美子さんは神奈川県からの移住者。移住を機に「毎日食べて元気になるものを提供したい」と、かねてからの夢だったカフェの開店に踏み切ったと言います。川俣町産の食材も多く使用しています。

店主夫婦の優しさに包み込まれるようなお店の雰囲気がたまらないという古関さん。ご自身が企画するフォトウォークイベントでも、BONCHI TAROに立ち寄ることが多いのだとか。「店主夫妻とおしゃべりをしても楽しいし、一人時間やお友だちとの時間を過ごすのにもぴったりです。川俣町商店街の真ん中にあり、まちなかでお茶をしたいときにちょうどよい場所なので、ぜひ行ってみてください」とおすすめしてくれました。

■薬膳カフェBONCHI TARO
所在地:〒960-1421 福島県川俣町鉄炮町33 Hanzawaプラザ第一 1F
TEL:024-563-1222
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜
詳しい情報はInstagram(@bonchitaro)へ。

和食料理人によるフレンチが楽しめる「RaFand」

月替わりランチ Aコース 福島県産豚肉の柔らか煮 馬鈴薯のソース

神奈川生まれの東京育ち、川内村で移住生活を送っている西巻裕さんが村の暮らしを離れておでかけ気分を味わいたい時に足を運ぶお店は、JR夜ノ森駅前にある「RaFand -ラファンド-」。富岡町出身で和食料理人の松崎達哉さんが腕を振う「和フレンチ」が人気の、富岡町唯一のフレンチレストランです。野菜をはじめ、「常磐もの」の魚介類や県産の肉を使うなど、地産地消を目指しています。

西巻さんのオススメメニューはコースランチ。リーズナブルな価格設定で、季節を感じられる食材を使ったメニューを月替わりで提供しています。「期待通りに美味しい料理と、発見や驚きを与えてくれる料理の、両方をバランスよく楽しめる」と西巻さん。食べ終えたときの満足感もひとしおとのこと。

お店全体はフレンチならではの品格もありつつ、かしこまりすぎない気さくな雰囲気。西巻さんにとっては、そのなかで過ごす時間も格別だそう。「ひと仕事を終えたときのご褒美やうまくいかないときの気分転換など、少しだけ特別な時間を過ごしたい時に行きたくなります」と語ります。「静かなお店ですが、適度に広いのでおしゃべりも気兼ねなく楽しめます。一人でお料理や空間を堪能するものよいですが、誰かと共有したくなるお店です」とその魅力を語ってくれました。

■RaFand -ラファンド- カフェレストラン&フラワーショップ
所在地:〒979-1151 福島県富岡町本岡清水前399
TEL:0240-25-8615
営業時間:11:00~14:30(ディナーは予約制で17:00~)
定休日:土・日曜
詳しい情報はInstagram(@rafand_01)へ。

まとめ

美味しい食事を楽しめるお店は、まちの元気の源にもなります。食材やお店で出会う人とのつながりを通して、地域の新しい魅力も見つかるかもしれません。福島12市町村での暮らしを体験したいという人は、今回ご紹介したお店を参考に、まちのごはんやさんを訪れ、そこに暮らす人々の営みに触れてみてください。

文:五十嵐春菜