【移住セミナーレポート】vol.15「自分らしい働き方が見つかる、ふくしま12市町村」編(東京開催)
ふくしま12市町村移住支援センターが主催する「未来ワークふくしま移住セミナー」は、福島12市町村で活躍するゲストとの交流を通し、現地での暮らしや地域の魅力を知ることができるセミナーです。2024年10月26日(土)、東京にてvol.15「自分らしい働き方が見つかる、ふくしま12市町村」編を開催しました。
当日の様子は動画でもご覧いただけます。
ダイジェスト版 (全編動画はこちらからご覧ください)
第1部ゲストによる活動紹介/パネルディスカッション
渡辺 正さん (株式会社F’s planning 代表取締役)
<渡辺さん>
私は生まれも育ちも川内村で、宮城県仙台市の学校に進学後はそのまま仙台で働いていました。震災を機に20年ぶりに故郷に戻ってきて、いろんな人たちの力で村が復興していく様子を見て、感謝の気持ちはあったものの、自分の知らない村になってしまうのではないかという危機感も生まれたんです。だったら、村の良さを一番知っている自分が大好きな故郷を再建してやるんだという強い気持ちが芽生え、地元の暮らしを支えるコンビニエンスストアと薬局、クリーニング屋が併設する商業施設「YO-TASHI」の運営に携わりました。現在は、川内村をはじめ、双葉町と浪江町でコンビニエンスストアの経営のほか、地元の農家さんが育てた野菜や特産品のネット販売を手掛け、村の魅力を発信しています。
福島12市町村は伸びしろしかない地域だと思っています。村もこれまでの姿を残しながら、新しい歴史や文化を積み重ねて行こうと歩みはじめています。何かを創造し、誰もが羨むような「地域づくり」をしたいという方がいれば、ぜひご一緒したいと思っています。
菅野 海琴さん(パラレルワーカー)
<菅野さん>
私は福島県の二本松市の出身で、大学進学を機に上京しました。しかし2回生の時に新型コロナウイルス感染症の蔓延で授業はフルリモート。このまま残り2年を過ごすより、今しかできないことをしようと中退してバックパッカーになりました。そして約2年かけ47都道府県を巡り海外も経験したところで、旅を一旦中断。他に何かないかとインターネットで検索したところ、葛尾村でゲストハウスの管理人を募集している求人を見つけ、それがきっかけで、葛尾村での生活が始まりました。
村は熱意のある企業が多く、美味しいものとアートに囲まれた美しい村という印象があり、次第にここで仕事をしながら暮らしたいなと思うようになりました。今ではエビの陸上養殖と水のインフラ管理をしている会社、葛尾村のまちづくり会社で移住定住のサポート業務、そしてカフェの店員として楽しく暮らしています。
私のここでの役目は、人と人をつなくことだと思っています。SNSを使って村の暮らしや文化などの魅力はもちろん、仕事や移住に関することも発信して、葛尾村という素敵な場所を紹介していきたいと思っています。
豆塚輝行(ベルグ福島株式会社 取締役)
<豆塚さん>
私は福岡県出身です。熊本県で大学生活を4年間、宮崎県の大学院で2年間過ごしました。その後、野菜苗の生産や販売を行うベルグアース株式会社に入社し、2015年に子会社であるベルグ福島の立ち上げに伴い転籍し、川俣町に移住してまいりました。
当社は人工光と太陽光を利用した育苗施設で、生産者さん向けに高品質の苗の生産、販売を行っているほかに、国内における営利向け植物ワクチンの独占的製造、キュウリワクチン接種苗の独占的生産も行っています。
川俣町には当社以外にも川俣シルクの商品作りや特産品である川俣シャモの料理人、トルコキキョウの栽培、自動車部品の製造など、40社以上、約120名分の移住者向けの求人募集があります。居住に関しても空き家、町で管理している移住定住促進住宅もあります。その他にも町の暮らしを体験できるような住宅も用意されています。
川俣町は移住支援にとても力を入れています、子育て世代からシニア世代まで、各世代に対してさまざまな支援制度がありますので、関心がある方はぜひ川俣町にお越しいただき、町の雰囲気を感じていただければと思います。
横山梨沙(飯舘村地域おこし協力隊・カフェ個人オーナー)
<横山さん>
飯舘村に移住する前は、オーストラリアのカフェでバリスタとして働いていました。2019年に帰国して東京のカフェで働いていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり店が休業と同時に失職。そのまま東京に住み続けることもできず、生まれ故郷の福島市に戻ってきました。福島のカフェで働くのであればフリーランスバリスタになろうと決心し独立し、フリーランスとして活動していましたが、ご縁があって飯舘村の地域おこし協力隊となり、今に至ります。
隊員としての活動は、村のPRやラテアート教室、出張カフェをしています。2023年の5月には村内にお店をオープンし、平日はランチの提供、土日はカフェとして営業しています。ランチでは、村の採れたて野菜や特産品を使った料理を出していて、お客さんの評判も上々です。
福島市内や賑わいのある地域で出店するのではなく、飯舘村のようなアクティブ人口の少ない場所に開店することで、村民はもちろん、訪れた人たちが立ち寄れる空間を作ることができ、賑わいの創出につながると思っています。
これからも村の憩いや癒しの場になるように、がんばっていきたいと思います。
パネルディスカッション
<渡辺さん>
パネルディスカッションでは、私がファシリテーターを務めます。5つのトークテーマについて、ゲストの方々からお話を伺いたいと思います。
トークテーマ1:「移住前に考えてきたこととのギャップはありますか?」
<豆塚さん>
私は移住というより転勤だったので移住前に何度も町に足を運んでいました。実際に住んでみて大きなギャップは感じなかったっていうところが正直なところです。
移住するなら、事前に何回も町に足を運んで、雰囲気や暮らしぶりを直接感じていただくことが重要だと思います。
あえていえば、雪深くて、除雪や雪道の運転が大変という印象はありました。
<横山さん>
私もそんなにギャップはなかったですね。フットワークが軽い方なので、あまり考えずに移住してしまったというか、そこまで嫌だったなというのはありませんでした。
飯舘村に配達に来てくださる方は村の人のことをほぼ把握されていて、私に配達される荷物も、家にいなかったらお店に届けてくれたりするので、ちょっと驚きました。
<渡辺さん>
誰がどこにいるかわかるなんて、まさに“田舎あるある”ですね。
トークテーマ2:「移住を経験して自分に変化はありましたか?」
<菅野さん>
2年半ぐらい旅をしていて本当に自分のためだけに生きていたので、葛尾村でトリプルワークをして、自分のためじゃなくて人のために生きるようになったというのが大きな変化ですね。少しは成長できたかなと思っています。
<豆塚さん>
移住前は会社のなかでつながりが完結していたところがありましたが、移住後は地域のコミュニティとのつながりが多くなりました。移住して子どもができて、家族と過ごす時間が増えましたし、他の家族同士の付き合いも増えました。
トークテーマ3:「移住後の仕事や暮らしで大切にしていることは?」
<菅野さん>
今、葛尾村の居住人口は470人しかいないので、まちを歩けば、必ずと言っていいほど知っている村民に会う、そんな環境です。村民の皆さんは原発事故で全村避難をしてよそ者を経験しています。そういう経験もあって自分のような村外から来る人に対してすごく優しい。
私も葛尾村の一村民として、仕事も暮らしも、人と人とをつなげることが大切だと思っています。
<渡辺さん>
避難された地域の方々は随分変わったのかなと私も思います。避難先で切ない思いをしたこともあったけれど、優しくしてもらったという話も聞きましたし、自分たちの経験から優しくしようという気持ちが膨らんだのだと思います。川内村で開催されるマラソン大会では、地元のおじいちゃんやおばあちゃんが走っている方に対して「がんばれ!がんばれ!」って声援を送るのですが、ランナーたちも「みんなに応援されるから、最後まで走り切っちゃった」みたいな方もいて、分け隔てのない雰囲気は大事ですよね。
<横山さん>
人に頼ることが大切だと感じています。「頼ったら迷惑になってしまう」「些細なことで頼るのは申し訳ない」と考える方が多いと思います。でも、村の方って頼られてうれしいと思ってくれる方も多くて、遠慮なく人を頼ることも大切なのかなと感じています。
<渡辺さん>
川内村でもそうですが、田舎だと頼り頼られることって結構ありますよね。
トークテーマ4:「移住を検討している方に最初の一歩のおススメは?」
<豆塚さん>
最初の1歩は、今回のようなセミナーに参加して「生の声」を聞くことだと思います。移住する上で現地を見に行くっていうのはとても重要で、ギャップをなくすっていうことが最初の一歩なんじゃないでしょうか。積極的に現地を見ていただいて、各市町村の移住支援センターになんでも相談するのもいいと思います。
<菅野さん>
ちょっとしたことでも、友だちに相談する感覚でなんでも聞いてほしいですね、移住に関して話だけ聞いても、想像が沸かないというか現実味がないと思います。
例えば「移住するためにどんなアプローチをすればいいんだろう」とか、「この制度はどうなんだろう」という相談ができる身近な相手がいれば、疑問の解決や不安も解消できると思います。葛尾村に移住を考えている方は、ぜひ私を有効活用してください。笑。
<横山さん>
私も現地に行くことがすごく大切だと感じています。現地への移住ツアーもあって現地にまず足を運んでみるのもいいのではないでしょうか。実際に訪れてみて、自分に合えばいいし、合わなかったら違う市町村を検討してみることもいいと思います。
<渡辺さん>
そうですね。興味があるから試しに行ってみようという感覚で、まちを訪れるのはいいと思います。何も知らずに移住してしまうと、そのギャップにがっかりすることもあるかもしれません。事前に知っておくことで納得がいく移住のポイントかもしれませんね。
トークテーマ5:「最後にひとこと」
<豆塚さん>
繰り返しになりますが、移住はギャップをなくすことが大切だと思います。いろんな地域に足を運んで、現地を見てまちの空気感を感じていただけたらと思います。
<横山さん>
このセミナーに足を運んでくださっていること自体、皆さん行動力がのあるほう 方だと感じています。オンラインで参加されている方も、このイベントにたどり着いたこと自体、とても素敵なことだと思います。今回のセミナーが、移住のきっかけになればとてもうれしいです。
<菅野さん>
皆さんの話を聞いて、自分の活動を見直すきっかけにもなりましたし、参加された皆さんとも、いい関係が築けていけたらと思っています。ありがとうございました。
<渡辺さん>
私にとって福島は本当に愛おしい故郷。 誰もが羨む美しいまちを作っていきたいと思います。そういう志を持った方が移住してくれたら、うれしいです。福島は本当にいいところです。ぜひお越しください!
ゲストに直に質問ができる「座談会」
ゲストの皆さまによる活動紹介、パネルディスカッションの後には、参加者が興味を持ったゲストに、直に質問ができる「座談会」を実施しました。移住後の仕事や暮らし、地域でのつながりなど、実際のところを熱心に聞く姿が目立ちました。話題は多岐にわたり、参加者同士の会話もはずみ、多くのあらたな出会いが生まれていました。
各種相談ブース
今回は仕事がテーマということで、特別に福島12市町村で会社員など雇用就職を希望される方への「お仕事紹介ブース」、起業を考えている方への「起業相談ブース」、公務員に興味がある方へは「被災市町村の職員採用ブース」をご用意し、それぞれの「働き方」に合った相談ブースをご用意しました。
①お仕事紹介ブース
福島12市町村のお仕事紹介や、現地の最新の求人案内をご紹介しました。
(詳しくは☞こちら)
②起業相談ブース
福島12市町の起業支援金や福島県創業等補助金、などのご案内をしました。どのような起業をされた方がいるのか、現地での需要など具体的な質問をされる方もいらっしゃいました。
(詳しくは☞こちら)
③被災市町村の職員採用ブース
福島第一原子力発電所の事故により、避難指示等の対象となった12市町村の職員採用について、福島県職員による案内を実施しました。
(詳しくは☞こちら)
移住相談員との「個別相談会」
セミナー終了後の特別企画「もっと話そう延長戦!」では、参加者の皆さんが求人情報や支援制度など役立つ情報を詳しく聞く姿も見られました。
移住相談員が、お一人おひとりの移住に関する疑問や質問にお答えしました。「12市町村の違いは何ですか?」など、お店や病院、気候、交通手段など自分の好みにあったまちを探されている方もいらっしゃいました。
仕事、働き方をテーマにした未来ワークふくしま移住セミナーvol.15「自分らしい働き方が見つかる、ふくしま12市町村」編。
実際に福島12市町村へ移住されたゲストの皆さまから、地域で働くリアルなお話しから、福島へのイメージが変わった参加者の方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
今後もセミナーは続きますので、ぜひ次回はあなたも福島12市町村を体感しに参加してみませんか?
未来ワークふくしま移住セミナーの最新情報は、特設サイトよりご覧ください!
皆さまのご参加を心よりお待ちしています。
■2024年度未来ワークふくしま移住セミナーの特設サイトはこちら
https://mirai-work.life/lp/seminar2024/