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【移住セミナーレポート】『はじめよう、私とふくしまの小さな物語。』~ vol.2 「人と想いが集まる場づくり」編~

2022年10月20日
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「ふくしま12市町村移住支援センター」主催の移住セミナー『はじめよう、私とふくしまの小さな物語。』は、福島県内で活躍するゲストとの交流を通し、福島12市町村で暮らし、働く魅力を知ることができる、全6回のセミナーです。

2022年9月22日(木)に、東京都世田谷区・池尻大橋駅近くの「BPM – Beats Per Moment」で開催された第2回セミナーのテーマは「人と想いが集まる場づくり」。

第1部では、多様なコミュニティ(居場所)づくりを行うゲストが、それぞれの実体験をもとにしたトークセッションとパネルディスカッションを行い、第2部では、ゲストと参加者による座談会とふくしま12市町村移住支援センタースタッフや各市町村の移住担当者との個別相談会を開催しました。

司会進行は、ラジオやSNSで“福島の今”を伝え続けているフリーアナウンサーで、富岡町の魅力を発信する「とみおかアンバサダー」としても活躍している佐々木瞳さん。

それぞれのゲストの実体験を聞きながら、人と人、想いと想いをつなぐコミュニティづくりの魅力を実感できるイベントとなりました。

第1部:ゲストによるトークセッション/パネルディスカッション

左から、鈴木さん、大川さん、松本さん、青木さん、渡邉さん

コミュニティの作り方1:つながりをデザインする
渡邉知さん|株式会社ファイアープレイス 代表取締役/イグナイター (点火役
「つながりを創出し、しあわせの総量を増やす」を事業ミッションとする「株式会社ファイアープレイス」代表。不動産価値向上事業、地方創生事業、ネイバーシップ事業などに挑戦している。「東京都観光まちづくりアドバイザー」や「株式会社さとゆめ」の社外プロデューサーも務める。

渡邉さん「震災をきっかけに人生を見つめ直し『幸せとは何か』を考える中で、幸せは、人と人とのつながりの中から生まれるということに思い至り『つながりをデザインする会社』を立ち上げました。”空間”に機能を加えると人々が目的を持って訪れる”場所”になり、その場で生まれるつながりを大切にしていくと”コミュニティ”が生まれ、場の持つ価値が向上するという考えから、不動産価値向上(コミュニティスペースの企画運営など)、地方創生(地域の事業実践者を増やすためのオンラインスクール事業)、ネイバーシップ(法人向けチームビルディング研修など)、つながりの実証実験(自社飲食店舗運営)の4つの事業を柱に活動をしています。

人と人をつなぐことで『幸せ』が生まれ、それが新しい活動を行う力になると思っています。事業を通して、社会の『幸せの総量』を増やしていきたいです」

コミュニティの作り方2:子育て応援コミュニティーを立ち上げる
鈴木みなみさん|いわき・双葉の子育て応援コミュニティcotohana 共同代表
山形県真室川町出身。学生ボランティアとして東北に訪れたのを機に、福島県浜通り地域のまちづくりに参画。2016年にいわき市、2019年に富岡町に移住。地域団体「双葉郡未来会議」事務局、富岡町のまちづくり会社勤務を経て、現在は「いわき・双葉の子育て応援コミュニティcotohana (コトハナ) 」を立ち上げ、子育て応援を通じた地域づくりに取り組んでいる。一児の母。

鈴木さん「震災後の福島を報じるニュース番組で、被災された方が気丈に『ゼロから頑張っていきます』と話している姿を見て、これから福島は、強くてやさしいまちになっていくんだな…と思い、それを自分の目で見たいという想いで福島に通うようになりました。福島移住後、自分が一児の母になったこともあり子育て世代の応援をしていきたいと感じて『cotohana』を立ち上げ、今は、子育て関連の情報発信や親子イベントの開催、子ども食堂の運営などを行っています。

“場”があるからこそ生まれるつながりがあるし、人と人がつながり続けることができると思います。これからも皆で語り合い、工夫し合って『面白い』と思える場づくり、まちづくりをしていきたいです」

コミュニティの作り方3:若者コミュニティを立ち上げる
大川翔さん|Fukushimafrogs 代表/福島を変革する男
2021年10月に、旧避難指示区域の南相馬市小高区に移住し「株式会社Huber.」のプロジェクトマネージャーとして、移住促進ツアー事業を推進。学生時代に県内最大級の若者コミュニティ「Spread From Fukushima (通称:SFF)」を立ち上げ、現在は自らを「福島を変革する男」と名乗り、SNS総フォロワー数1.8万人を持つインフルエンサーとして、若者に福島の魅力を発信している。

大川さん「学生時代に、県外の人が『福島≒震災、原発事故』と捉えていることに違和感を抱き、福島に対するマイナスイメージをプラスに変えていくために『福島を変革する男』として活動し始めました。大学4年生の時に、福島の魅力的な人を紹介するInstagram『Spread From Fukushima (通称:SFF)』を立ち上げ、現在は移住促進ツアーの企画などを通して、福島と学生をつなぐ活動を行っています。

福島が抱えている課題は、他地域に先駆けて顕在化しているものも多く、その解決に向けた取り組みは、これからの社会が直面する課題解決にもつながると思います。本当に、福島には可能性しかないと感じています」

コミュニティの作り方4:地域の空き施設を活用する
松本奈々さん|合同会社MARBLiNG 共同代表
福島県福島市出身。東京都内のIT企業でシステムエンジニアを経験し、2019年4月に飯舘村の地域おこし協力隊に着任。2021年に、共同代表の矢野淳さんとともに「合同会社MARBLiNG」を設立し、飯舘村のホームセンター跡地にサイエンス/アート/クリーンテクノロジーが集結する実験秘密基地「図図倉庫(ズットソーコ)」をつくるプロジェクトを進行中。

松本さん「震災後、約10年空き施設となっていたホームセンターの跡地を活用し『図図倉庫(ズットソーコ)』という交流拠点をつくるプロジェクトを進めています。約100平米の広さの施設内には、カフェやコワーキングスペースのほか、サイエンスやアート、テクノロジーの体験型展示スペースを設けていて、地域の人とともに、誰もが楽しみながら関われる『余白』のある場づくりを目指しています。

飯舘村は、自然と共に生きる、自給自足の暮らしが受け継がれてきた地域ですが、原発事故で全村避難を経験し、人口減少や放射能による土壌汚染などの課題が生じました。この施設を拠点に、村に元々あった持続可能な循環型の暮らしを、少しずつ取り戻していきたいです」

コミュニティの作り方5:多世代が交流できる場をつくる
青木裕介さん|Circulation代表/合同会社ちゃのまプロジェクト 代表
双葉郡広野町出身。高校卒業後、地元企業の設計・自動車販売業を経て、東日本大震災後に避難先の会津若松市で公的職業訓練講師へ転職。2018年に広野町へ帰還し、世代間交流の場作りとして「ひろのパソコン教室」を開設。2020年に多世代交流を目的とした任意団体「ちゃのまプロジェクト」を旗揚げ。翌2021年に「多世代交流スペースぷらっとあっと」を開設し、運営に携わる。「#広野町非公式広報部」の「中の人」として、広野町に特化した情報を発信している。

青木さん「私は、福島県の広野町で生まれ育ったのですが、震災で全町避難を経験しました。2018年に帰町したあと、住民たちが気軽に集い『シビックプライド』を取り戻せるような交流拠点をつくるため、前職の経験を活かしてパソコン教室を始めました。

広野町にはまだまだ『ない』ものが多いのですが、例えば、パソコン教室のテーブルにお菓子を並べて小さな駄菓子屋さんを開いたり、射的イベントを開催したりすると、子どもたちが集まってくる。そうすると、近所に住むおばあちゃんがふらっと遊びに来てくれたりするんですよね。

“場”をつくることで人と人とが出会い、気付きが生まれ、それぞれの成長につながっていく。プライベートもビジネスも、小さな一歩から始められるのが福島のよさで、子どもから大人まで一人一人が主役になれるところが、今の福島の魅力だと思います」

パネルディスカッション

―ゲストの皆さんは、福島のどのようなところが好きですか?

渡邉さん「挑戦者が多いところですね。福島は、震災や原発事故などの背景も含め、他地域と比較して、居住人口に占める『挑戦人口』割合が多いです。だから、挑戦者同士がつながりやすい。『新しい福島の創生』という同じ志を持つ人が福島中に広がっていて、互いに支え合えるところが、とてもステキだなと思っています」

鈴木さん「人と人とのつながりの中で生きられることです。富岡町に移住する前は、いざという時に助けを求められる人がいない、家族以外に子どものことを気にかけてくれる人がいないことに、とても寂しい気持ちを抱えていました。富岡町には、周りに助けてくれる人がたくさんいて、それがとても心強いですし、暮らしやすさにつながっていると感じています」

大川さん「面白い、というのが大きいです。Z世代と呼ばれる今の若者は、世の中に対して『自分をどのように表現していくか』ということに強い関心を持っています。僕は、自分に『#福島』という大きなハッシュタグをつけるイメージで活動していて、福島とともにあることが、アイデンティティーの一つになっています」

松本さん「鈴木さんのお話にもありましたが、人と人とのつながりが強いところは、やはり福島の大きな魅力だと思います。図図倉庫のプロジェクトを進めているときも、地域の方が快く力を貸してくださって、自分も自然と『何かお返しがしたい』という気持ちになるんですよね。震災後の福島は、多様な人が集う場になっていて、東京にいたら絶対に出会えなかったような人と出会えます。そういうところが面白くて、とても気に入っています」

青木さん「皆さんも話していましたが、やはり『人』がすごくいいなと思います。特に、全町避難期間に他地域で暮らしたことで、故郷の良さを客観的に見られるようになり、実感を持ってそう感じられるようになりました。一つの県の中に海も山も川も湖もあり、自然を満喫できるところも好きですね」

―「人と人とのつながり」を、どのように作っていきましたか?

渡邉さん「僕の場合は、飲食店を開きました。自ら働きかけるよりも、自分の店に来てもらったほうがつながりやすいと思ったからです。

あとは、SNSを通して『マーケティングができる人、力を貸してください!』と呼びかけたら、いろいろな人が連絡をくださったことがあって。それまでは、何かを提供できる人にならないと誰もつながりを持とうとしてくれない、と思い込んでいたのですが、助けを求めたら手を貸してくれる人ってこんなにいるんだなと感じましたね」

青木さん「私は、あまり人見知りしない性格なので、手当たり次第に声をかけて人脈を築いていきました。話していくうちに『一緒にこんなことをやってみない?』という話に発展したりします。SNSを駆使することよりは、一人一人と対面する時間を大切にしています」

松本さん「活動し続けることが大切なのではないかと思います。例えば、図図倉庫のリノベーション一つに関しても、分からないことだらけなんですよね。でも、困りつつも『こんなことがしたい』と手を動かしていると、最初は遠巻きに見ていた人が次第に気にかけてくださるようになって、『こうするとうまくできるよ』と、アドバイスをくれたりします」

大川さん「とにかく、認知してもらうことが大切だと思います。僕の場合は、地域の人に覚えてもらうために、いつも帽子をかぶって活動するようにしていました。そのうちに『帽子の子ね』と言われるようになって、お裾分けの野菜をいただいたり、『同じような活動している子、知っているよ』という流れで人を紹介していただいたりしました。認知の広がりに合わせて、地域に溶け込んでいったと感じています」

鈴木さん「日常の何でもない時間を、地域の人と心地よく過ごすことを意識していました。『あの人、元気にしているかな?』と思った時や、朝、子どもを園まで送った帰り道に、地域の人のお家にふらっと立ち寄ってみたり。

もう1つは、自分なりの動機を持つことですね。私の場合はできるだけたくさんの人と出会い、それぞれのよいところを今後の自分の人生に活かしたいと思っているので、つながり作りを楽しめています」

―年齢を問わず「やりたいことが見つからない」という悩みを抱えている方も多いですが、「自分のやりたいこと」をどのように見つけましたか?

青木さん「私の場合は、やりたいことが最初からあったわけではなくて、自分ができることで、人の役に立てるもの、人に喜んでいただけることを探して継続しているうちに、今の活動にたどりつきました。始めたばかりの時は、それが活動と呼べるのか、仕事になるかどうかは、正直、まったく分からなかったです」

鈴木さん「私は、自分自身が抱えている悩みや葛藤が先に来ることが多いです。富岡町に住んでいると、子どもが屋外で遊ぶ姿をあまり見かけないんですよね。特に震災後は、子どもの数自体が少なくなりましたし、学校の統廃合が進んだことで、バスで通学する子が増えて、登下校時の地域の方との交流体験まで失われてしまいました。それってなんだか寂しいと思い『遊び場をつくろうよ』と呼びかけたら、同じような悩みを抱えているママさんたちが集まり、事業の1つになっていきました」

―「やりたいことを、どのようにマネタイズしていくのか」は難しい課題だと思いますが、どのように「お金」と向き合っていますか?

松本さん「やはり難しいですね。図図倉庫の取り組みも、国や自治体から補助金をいただいているからこそ続けられている側面もあります。でも、最終的には自走できるようにならないといけないので、活用できるものは活用させていただきつつ、ほかの仕事を組み合わせながら、無理なく続けていける道を模索しているところです」

大川さん「自分の場合は、県内からの移住者ということで補助金や助成金が使えなかったので、自分の事業で収益を上げる必要がありました。コミュニティビジネス100%で資金を稼ぐのは難しく、さまざまな企業さんと業務提携して少しずつお金をいただきながら、コミュニティの運営資金に充てています。『お金をいただくこと』と『コミュニティ形成』は、両軸で考えなくてはならないと思っています」

第2部:ゲストとの座談会 / 個別相談会

第2部では、参加者が話を聞きたいゲストの周りに集まって直接質問したり、個別相談ブースで各自治体の移住担当者に相談したり、有意義な時間を過ごしました。

参加者からの「『人のよさ』以外の福島の魅力は?」という質問に対しては、ゲストの青木さんから「小さなビジネスの可能性が地域中にあること」という回答が出ていました。

また、富岡町役場の担当者との個別面談した方からは「特許技術を活用して、地域に雇用を生むための事業を考えたいです」という声も。

人と人との出会いと交流が、新しい力を生むことを実感できるセミナーとなりました。

セミナーを終えて

セミナー参加者に対するアンケートの回答では「ゲストのお話から、地域の人の温かさを感じました。何より、ゲスト一人一人がイキイキしていてステキでした」「ゲスト、参加者ともに熱量を感じました。雇用が生まれれば、この地域は必ず活性化すると確信しました」といった感想が寄せられました。

ゲストのお話にもあったように、人と人がつながることで”気付き”が生まれ、新しい活動を始めるきっかけになることも多いものです。福島12市町村と関わりたい、福島で新しい活動を始めたい方は、今回のセミナーのゲストのように、コミュニティづくりを行っている人とつながるところから、始めてみてはいかがでしょうか。

次回の未来ワークふくしま移住セミナー『はじめよう、私とふくしまの小さな物語。』は、10月23日(日)14:00から、東池袋駅近くの「アン令和ビル」で開催予定です。テーマは「食と農の未来が集まる12市町村」。福島12市町村を拠点に、福島の食と農業の未来の担い手として活動するゲストに、食や農業への関わり方、最初の一歩を踏み出す方法について、リアルな実体験を交えてお話しいただきます。

オンライン参加も可能ですが、事前申し込みの上で来場された方には、福島12市町村の名産品から、浪江町の「たまねぎスープ」と、田村市の「たばこ煎餅」をプレゼントしますのでお楽しみに。

お気軽にご参加ください!

第2回セミナーのダイジェスト・全編動画を公開しています(YouTube)

※ダイジェスト版。全編動画は動画右上の(i)マークからご覧ください

■全6回開催のセミナー詳細、お申し込みはこちら
第4回(11月23日)の参加申し込み受付中!
https://mirai-work.life/lp/seminar2022/

福島12市町村の移住支援制度

福島12市町村では、移住検討段階から使える交通費補助や、移住後に受け取れる移住支援金など、生活や移住スタイルに合わせた多様な支援制度で新しいチャレンジを応援しています。

■福島県12市町村移住支援金制度
福島12市町村において、新しい地域を作り出すなどチャレンジを行う意欲のある県外からの移住者に対して、最大200万円の移住支援金を交付しています。
https://mirai-work.life/support/relocation/

■ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金
福島12市町村内を訪れ、移住する際に必要な現地調査・現地活動を行った場合に、その交通費および現地での宿泊費の一部を補助します。1年度につき交通費利用は5回まで、宿泊費利用は5泊まで可能!移住準備の現地調査や物件・仕事探しにぜひご活用ください!
https://mirai-work.life/support/transportation/

文:高田 裕美 撮影:内田 麻美