移住サポーター

移住相談員さんに聞く!ふくしま12市町村の移住相談窓口ってどんなところ?~南相馬市・飯舘村・川俣町編~

2022年7月29日
南相馬市
  • Uターン
  • 単身

「移住相談窓口」と聞くと、移住を具体的に検討している人だけが利用するところなのでは?どこまでの相談を受けてくれるの?と、少し敷居の高さを感じてしまう方も多いかもしれません。

ですが、福島12市町村の「移住相談窓口」では、移住に関する質問や相談ができるのはもちろん、各市町村の基本情報から仕事や住まい、移住支援制度、地域コミュニティへの入り方など、相談者一人ひとりに合わせた情報を提供しており、誰もが気軽に利用し、現地の生の情報を得ることができます。

各市町村の相談窓口ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。また、相談員さんはどのような想いで日々相談対応をされているのでしょうか。

今回は、南相馬市・飯舘村・川俣町の移住相談員さんにお話しを伺いました!

【南相馬市】みなみそうま移住相談窓口「よりみち」

左から、移住コンシェルジュの小方紗英さん、ヒラム美紗季さん、小南理華さん、後藤彩さん

\この相談員さんに聞きました!/
みなみそうま移住相談窓口「よりみち」
移住コンシェルジュ
ヒラム美紗季さん

「よりみち」という愛称で親しまれている「みなみそうま移住相談窓口」は、JR原ノ町駅から徒歩5分ほどの場所にあります。

相談対応にあたるのは、20〜30代の移住コンシェルジュ。在籍している6名全員が南相馬市にUIターンした先輩移住者だそうです。

――「よりみち」という愛称の由来は?

一人ひとりがそれぞれの人生を歩んでいく中で、ふと立ち止まった時や気が向いた時に、ふらっと気軽に立ち寄れる場所をつくりたいという想いで「よりみち」と名付けました。

「よりみち」のロゴにも意味があって、上部のウェーブは日本有数のサーフスポットとして知られる南相馬の海の波を、その下の黒丸は南相馬への移住を検討している相談者さん自身を表しており、左のくるくる模様のように地域の方やコミュニティを巡っていろいろなものを見てほしい、という気持ちが込められています。

――「よりみち」ではどのような支援を行っていますか?

移住検討者・希望者からの問い合わせや相談対応、仕事や住まい、移住支援制度の情報発信、現地案内、お試し移住支援のほか、移住者と地元の方々をつなぐコミュニティづくりや交流イベントの開催、地元の高校生向けのキャリア相談イベントにも力を入れています。

――移住相談対応以外にもさまざまな活動をされているのですね。

私たちの活動のビジョンは、南相馬を笑顔の絶えない元気なまちにしていくことです。そのためには外部からの新しい活力や刺激も積極的に取り入れ、地域内外の人の力を合わせて生きたコミュニティを作っていく必要があると考えています。

南相馬市で面白いことをしたいという方にたくさん関わってもらいたいので、移住支援活動をベースに地域コミュニティの活性化につながるような取り組みやイベントも企画しています。

――「よりみち」ならではの取り組みはありますか?

南相馬に愛着を持つ人を増やしたいという想いから、特にUターン促進に力を入れています。

私自身も南相馬市出身で大学進学を機に東京に出たのですが、南相馬市には大学がないので、高校卒業後、進学や就職を機に故郷を離れ、そのまま他地域で暮らしていく子どもたちが多いです。

子どもたちの選択肢を広げるためにも、将来地元で仕事をするイメージを持ってもらうためにも、南相馬の高校生が市内外の人にキャリア相談できるようなイベントも開催していきたいと準備しています。

――ヒラムさんが思う、”南相馬市で暮らす魅力”について教えてください。

私自身、東京での暮らしも経験しましたし、20代のほとんどを海外で暮らしていたので国内外の様々な地域を見て来ました。

でも南相馬のように緑豊かで同じ市内に海も山もあるまちってなかなかなくて、とても恵まれた地域だと思います。 

自然環境も良いし、移住者を支援する体制も制度も環境もちゃんと整っていて、外から新しく来た人やアイデアを受け入れる余白もある。

特に移住後にこんなことがしたいというビジョンや夢がある人や、趣味の世界に没頭したい人にとっては、思い描いた理想の暮らしが叶えやすい地域だと思います。

――最後に、これから「よりみち」を利用したい方へのメッセージをお願いします! 

ぼんやりと自然豊かな地域への移住を検討している方から、移住後に起業してコーヒーショップを開きたい、農業に興味があって新規就農したいなど具体的な暮らしを思い描いている方まで、さまざまな方が相談に来られています。

「移住相談」というとハードルが高いものに感じてしまいがちですが、それぞれのペースで南相馬との関係を築いていけるようサポートさせていただきますので、最初は本当にふらっと“よりみち”するように気軽に連絡していただきたいです。

相談者に来られる方、一人ひとりの人生に寄り添える存在でありたいと思っています。

みなみそうま移住相談窓口「よりみち」
住所:〒975-0004 福島県南相馬市原町区旭町1-46-4
TEL:0244-26-8518
FAX:0244-26-8518
E-mail:info@minamisoma-yorimichi.jp
受付:10:00~17:00(火曜日休業)
相談方法:電話、メール、オンライン、対面でのご相談を受け付けています。
オンライン相談は19時まで受け付けておりますので、ぜひご活用ください。
HP:https://minamisoma-yorimichi.jp/

【飯舘村】いいたて移住サポートセンター(までいな家)

左から、相談員の佐藤郁子さん、高木久子さん、山田郁子さん

\この相談員さんに聞きました!/
福島県飯舘村 村づくり推進課 企画定住係
合田安男さん

飯舘村は、2011年に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故で全村避難を経験した地域。

そのイメージから今なお“被災地”として語られることも多いですが、帰還した住民や移住者を中心にゼロからの復興と未来志向の新しいまちづくりを行ってきた村でもあります。

そんな飯舘村の移住相談窓口「いいたて移住サポートセンター」は、村の内外をつなぐ交流拠点施設「までいな家」の中にあります。

――「いいたて移住サポートセンター」では、どのような支援活動をされていますか?

移住希望者と地域をつなぐ窓口として、移住相談や空き家の紹介など、さまざまな情報をお伝えしています。

飯舘村では2017年に一部地域を除いて居住制限が解除され、復興が進んでいます。「明日が待ち遠しくなるような、わくわくする楽しいふるさと」を創出することが、現在の大きな目標です。

そうした村の“今の姿”をお伝えしていくことも私たちの大切な活動の一つです。

――「いいたて移住サポートセンター」が入る、「までいな家」はどのような施設ですか?

脱炭素社会の推進を発信する、地域内外の交流拠点施設です。

「までい」とは飯舘村の言葉で「手間暇をかけて」「心をこめて」「じっくりと」という意味で、飯舘村はまさにこの「までい」という言葉がぴったり合うような、自然と人のつながりを紡ぐ暮らしを大切に受け継いできた地域です。

「までいな家」には太陽光発電設備や、地産木材を活用できる薪ストーブがあり、これら脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じ、飯舘村の暮らしの最大の特徴である「までいライフ」を実際に感じていただくことができます。

日本の原風景とも呼べるような美しい田園風景の向こうに阿武隈山地の山々を臨むこの場所で、飯舘村に移住した後の暮らしをイメージしながら移住相談できるのがこのセンターの大きな魅力です。

――どのような方が「いいたて移住サポートセンター」を利用されていますか?

30~40代のファミリー層から60代以降のリタイア層まで、幅広い年代の方々が利用されています。相談者さんのライフステージも地域に求めるものもさまざまですが、一度相談して終わりというよりは、私たち相談員と何度もやり取りをする中で少しずつ移住に向けた準備をしていくケースが多いです。

飯舘村は面積の約75%を山林が占め、「日本で最も美しい村」にも認定されている緑豊かな村です。自然環境の良い地域への移住を考えて全国を巡り、最終的に飯舘村に辿り着いたという方もいらっしゃいます。

――合田さんは、どんなところに飯舘村で暮らす魅力を感じていますか?

美しい里山など、豊かな自然環境も魅力のひとつですが、それ以外にも「わくわくする楽しいふるさと」を創出するために、「飯舘牛復活プロジェクト」や「あぶくまもち」など、新たな産品開発・販売にも取り組んでいます。

飯舘村の将来を見据えた取り組みに力を入れているのも、大きな魅力だと感じています。

――最後に、これから相談窓口を利用したい方へのメッセージをお願いします!

ゼロからの復興を遂げた飯舘村では、10年後、20年後の村のビジョンを共に見据え、地域振興や地域経済の活性化に向けて一緒に力を尽くしてくれる人を村全体が求めています。

飯舘村について興味がある方や知りたいことがある方は「移住相談」と気構えず、まずはメールか電話でお気軽にお問い合わせください。ご連絡をお待ちしております。

いいたて移住サポートセンター(までいな家)
住所 :〒960-1892福島県相馬郡飯舘村伊丹沢字伊丹沢578-1
TEL :090-8280-5464
E-mail:iju@iitatelife.jp
受付 :9:00~17:00(日・祝日除く)
相談方法:電話かメールでお気軽にお問い合わせください。
HP:https://www.vill.iitate.fukushima.jp/site/iju/

【川俣町】川俣町移住・定住相談支援センター

移住相談員の菅野浩市郎さん、菅野優奈さん

\この相談員さんに聞きました!/
相談員
菅野浩市郎さん・菅野優奈さん

大自然が身近な地域でありながら、福島市内まで車で30分程、東京までは約2時間とアクセス環境も良い川俣町。

ワークスタイルの自由化が進む今、ちょうどいい田舎暮らしができる町として改めて注目を集めています。

――「川俣町移住・定住相談支援センター」ではどのような支援をされていますか?

相談に来られる方に対して、仕事や住まい、支援制度など移住前後に必要な情報を一括して提供し、一人一人にとっての「ちょうどいい田舎暮らし」の実現をサポートしています。

川俣町では、川俣町での暮らしに興味がある方や地域おこし協力隊希望者に向けた移住体験ツアーや就農希望者向けのツアーを開催していて、相談者さんが川俣町の実際の暮らしを体感できる機会づくりに特に力を入れています。

今後も、2泊3日の就農体験ツアーや、川俣町への移住希望者向けの「街歩きツアー」などを開催していく予定です。

相談窓口とあわせて、こうしたイベントもぜひ活用していただきたいです。

――どのような方が「川俣町移住・定住相談支援センター」に相談に来られていますか?

20代が2割、30代が3割くらいと、若い相談者さんが全体の約半数を占めています。

川俣町は福島市への通勤・通学にも便利で、働き口が町内にも福島市内にもあるので、就職・転職活動を機に相談に来られる方も多いですね。

相談者さんの居住地もさまざまで、福島県内、仙台市内、首都圏などいろいろな地域の方からご相談をいただいています。

これから移住したいという方からのお問い合わせもいただきますが、川俣町に移住した後に仕事や住まい、支援制度に関する情報を求めて相談に来られる方のほうが多い印象です。

移住後の暮らしもサポートできるよう、地元企業の求人情報や町営・民間住宅、空き家バンク情報など最新の情報をお伝えできるようにしています。

――菅野さんが思う、川俣町で暮らす魅力を教えてください。

やっぱり“ちょうどいい田舎”だというところだと思います。

阿武隈山系の清流と里山に抱かれた環境でありながら、市内には商業施設やコンビニ、ドラックストア、医療機関などもあり不便さを感じることも少ないですし、スキー場にも海にも車で1時間ほど。

「川俣中央公園」という桜や紅葉など四季折々の草花が楽しめる大きな公園もあり、子育てをするのにもちょうどいい田舎暮らしができる場所です。

東京へも2時間程でアクセスできるので、都内に出るたびに「近いなぁ」と感じます。

――最後に、これからセンターを利用したい方に向けてのメッセージをお願いします!

最終的に川俣町に移住されなかったとしても、移住相談窓口へのお問い合わせや相談を通して川俣町のことを知り、まちのファンになっていただけたらとても嬉しく思います。

ここ数年はコロナ禍で開催できていませんでしたが、2022年はコロナの状況を見ながら国内最大の中南米の音楽祭「コスキン・エン・ハポン」(10月8~9日開催)や、川俣町の特産品であるシャモを堪能できる「川俣シャモドライブスルーまつり」(8月13~14日開催)などの地域行事も開催していく予定です。

こうした地域行事や、センターが開催する移住体験ツアーなどの機会を使って、ぜひ実際に川俣町に足を運んでいただき、地域の風土や文化、人のあたたかさにも触れていただきたいです。

川俣町移住・定住相談支援センター
住所:〒960-1492福島県伊達郡川俣町字五百田30(川俣町役場西分庁舎1階)
TEL: 070-4851-6912
E-mail:iju@kawamata-gurashi.jp
受付:8:30~17:15 月曜日から金曜日(祝日を除く)
※相談者の要望に応じて、時間外でも随時対応します。
HP:https://kawamata-gurashi.jp/

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。
取材・文:高田裕美