暮らしを支え、人の輪を生み出す。田村市都路町の生活&交流拠点「コ・ラッシェ都路」

2025年12月、田村市都路(みやこじ)町に新たな複合商業施設「コ・ラッシェ都路」が誕生しました。
中通りと浜通りを結ぶ国道288号線沿いに位置し、小売店や飲食店、多目的ホール、屋外にはドッグランを備えた施設です。地元住民はもちろん、ドライバーや観光客など多くの人が立ち寄る場所となっています。
誕生の背景について、田村市商工課の橋本桂吾(はしもと けいご)さんにお話を聞きました。
地域の方言「来てください」を施設名に。命名は地元の小中学生
田村市都路町は、2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故により全住民が避難を余儀なくされた地域。避難指示が解除され住民が戻り始めたものの、小売店や飲食店の再開が進まず、買い物や交流の機会が減っていました。
「そういった課題を解決するべく、生活・交流・魅力発信の三つの機能を備えた施設づくりを目指しました。また、これから都路に住む方にとっても、そのような場所は重要です」(橋本さん)
そこで市は、住民アンケートや交通量調査を重ね、都路町岩井沢地区への施設建設を決定。地域に必要とされる施設の形を模索するなか、岩井沢地区内で営業していた小売店「Domo(ど~も)岩井沢店」や洋菓子店「みやこじスイーツゆい」、田村市や郡山市で店舗を展開するラーメン店「麺処さとう」の入居が決まりました。また、休憩やイベントに利用できる多目的ホールも設置し、便利で利用しやすい拠点が形づくられていきました。

施設名は都路町の小中学生から募集。地元の方言「こらっしぇ(来てください)」をもとに「コ・ラッシェ都路」に決定しました。施設は町の主要な道路である国道288号線沿いで、隣にはお試し移住ができる集合住宅「チャレンジハウス都路があり、移住希望者にとっても利用しやすい立地です。
こうした背景を経て、日常の買い物・食事・休憩・交流が1カ所で完結する新しい拠点「コ・ラッシェ都路」が誕生しました。
家族連れやツーリング客、ドッグランも。みんなの『思い出の場所』に
「オープンしてからは住民の方はもちろん、週末は家族連れやツーリングの方など、多くのお客様にご利用いただいています。買い物や食事休憩だけでなく、多目的ホールを活用した出張サービスやワークショップの利用を通じ、地域に新しい人の流れが生まれていると感じます。コ・ラッシェ都路の誕生は間違いなく町の大きな一歩になりました」(橋本さん)

2026年8月には無料のドッグランがオープン。足洗い場やテラス席も設置され、愛犬連れの方にも利用が広がっています。

さらに、コ・ラッシェ都路の誕生はこのような地域のつながりをもたらしました。
「Domo(ど~も)岩井沢店の移転・拡大にともない、生鮮食品の仕入れが増えたことで、都路こども園の給食用食材の調達が可能になりました。より新鮮でおいしい給食を提供できると同時に、子どもたちが地域の支えを感じる機会になっています」(橋本さん)
新たな地域のつながりを生み出しているコ・ラッシェ都路。橋本さんは、施設のこれからについてこう話します。
「目標は、ここが皆さんの『思い出の場所』になることと、単なる立ち寄りスポットではなく『目的地』になること。そのためにも都路の魅力をもっと発信し、わくわくが止まらない場所として盛り上げていきたいです」
地元の小学生が開発したきゅうりジャムも販売する「Domo岩井沢店」
施設を支える3店舗の皆さんに、都路町の魅力やコ・ラッシェ都路への想いを伺いました。
Domo(ど~も)岩井沢店は避難指示解除の2014年から都路町で営業を開始し、帰還した住民の暮らしを支えてきた小売店。野菜や卵、日用品に加え、地元の小学生が震災からの復興への願いを込めて開発したきゅうりジャム「都路キュウリマン」など地域の魅力が詰まった品が並びます。

お店を営む渡辺美保(わたなべ みほ)さんは、都路町について次のように話します。
「40年住んでいても、まだ知らない場所があるのが都路の面白さ。自然の名所も多いです。最近は新たに風力発電所ができ、大きな風車がきれいに見えるビュースポット探しが日課になっています」

オープン当初は岩井沢店と古道店の2店舗で営業していましたが、除染作業の終了とともに利用者が減り、お店の人員不足などもあって古道店が2019年3月末に閉店。渡辺さんもお店自体を閉めようかと考えたこともあったそうですが、「ここが必要なのよ」という住民の声に背中を押され、続ける決意を固めたと言います。コ・ラッシェ都路に移転してからは、顔なじみの方が集う交流の場に。20日ほど滞在したお試し移住者の方もよく買い物に訪れていたそうで、最初は「知り合いがいなくて寂しい」と話していましたが、毎日通ううちにほかのお客さんと交流が生まれ、移住につながったというエピソードもあります。
「コ・ラッシェ都路が町の皆さんや若い人たちのふれあいの場になってほしい。これからも長く続けていきたいですね」と想いを話してくれました。
都路産の卵を使用したスイーツが人気の「みやこじスイーツゆい」
2016年にオープンしたみやこじスイーツゆいは、都路産卵を使ったプリンやシフォンケーキが人気で、遠方から訪れる方も多いそうです。コ・ラッシェ都路に移転後は季節限定プリンやソフトクリームも新しく登場し、ドライブやツーリングの方からも好評です。

こちらで働く若林真貴(わかばやし まき)さんにお話を伺いました。
「都路は、頼れるお母さんのような温かい人が多いと思います。お店でも『都路をPRしてくるね』と購入してくださる常連さんがいたり。コミュニケーションが自然と生まれる土地柄だと感じます」

若林さんは、コ・ラッシェ都路に期待することを次のように話してくれました。
「3店舗が集まったことで、麺処さとうさんで食事をし、ゆいでスイーツを買い、Domoさんで夕飯の買い物をする……こうした新しい楽しみ方ができるようになりました。ドッグランもオープンしたので、移住者の方も含め、新たなお客様層との交流ができるといいなと思います」
店舗オリジナルのラーメンはここだけの味!「麺処さとう」
田村市船引町に本店を構え、田村市では2店舗目となる麺処さとう。コ・ラッシェ都路店のメニューは、白河系・佐野系の特徴を取り入れた醤油ラーメンをはじめ、すべて店舗オリジナル。口コミやSNSを見て遠方から訪れる方も増え、家族連れや常連でにぎわう人気店です。

こちらで働く石井拓哉(いしい たくや)さんは、都路町の魅力を次のように話してくれました。
「都路の魅力は人の温かさと自然の豊かさ。ドライブで立ち寄る方も多いので、ラーメンと一緒に四季折々の景色を楽しんでほしいですね。コ・ラッシェ都路が交流拠点として長く愛される場所になるよう、私たちも都路の魅力を発信していきたいです 」

移住者も気軽に利用できる心強い拠点に「こらっしぇ!」
人と人が自然につながり、地域の温かさに触れられる都路町。その拠点となるコ・ラッシェ都路は、地域に暮らす方にとっても、移住を考える方にとっても、安心して暮らせる心強い拠点です。
最後に、田村市商工課 橋本さんから移住を検討している方にメッセージをいただきました。
「都路町は義理人情に厚く、温かい交流が自然と生まれる地域です。チャレンジハウス都路のすぐ隣にコ・ラッシェ都路があることで、移住を考える方も気軽に利用でき、人とつながれるきっかけが増えると思います。ぜひ安心してこらっしぇ(来てください)!」
■都路町複合商業施設 コ・ラッシェ都路
所在地:〒963-4702 福島県田村市都路町岩井沢字中作14番地1
定休日:水曜日、年末年始
駐車場:54台(大型車可)
HP:www.city.tamura.lg.jp/soshiki/66/korasyemiyakoji.html
・Domo(ど~も)岩井沢店
営業時間:8:30~18:30(日曜・祝日:8:30~17:15)
TEL:0247-73-8285
・みやこじスイーツゆい
営業時間:9:00~17:30
TEL:0247-73-8380
・麺処さとう コ・ラッシェ店
営業時間:11:00〜15:00
TEL:0247-73-8225
※所属や内容は取材当時のものです。
取材・文:宮田麻依子 写真:髙橋晃浩