工場の24時間稼働と働きやすさを両立。社員と育む「エクストエンジニア」の職場づくり

2026年9月9日
田村市

(中)渡邉輝長さん

1977年生まれ、田村市出身。2000年に入社し、現在は専務取締役として経営に携わる。若手社員を中心とした「ブランド力向上委員会」を立ち上げ、有給休暇の取得促進や職場環境の改善など、社員の声を取り入れた改革を進めている。

(左)影山晃人さん

1971年生まれ、郡山市出身。施設管理の仕事を経て、2012年に中途入社。現在は経営戦略室に所属し、総務をはじめ、採用や外国人材の雇用、職場環境の整備など幅広い業務を担当している。

(右)根本健俊さん

1992年生まれ、本宮市出身。専門学校卒業後、2012年に新卒入社。製造部に所属し、NC旋盤を使った金属加工を担当。プログラミングや工具の設定など、製造の中心的な役割を担う。3児の父。


株式会社エクストエンジニアは、金属部品の加工を手がける会社です。小ロット・短納期にも対応する「24時間コンビニ工場」を掲げ、最新の設備と生産体制を強みに、多様なニーズに応えています。

工場の24時間稼働を続けながら、働く人も大切にする。その両立をどのように実現しているのでしょうか。今回は、専務取締役の渡邉さんと、経営戦略室の影山さん、製造部の根本さんに、会社が進めてきた職場環境づくりと、現場で感じる働きやすさについて伺いました。

Q1.「24時間コンビニ工場」というキャッチフレーズが印象的です。どのような体制で24時間稼働を実現しているのでしょうか?

渡邉さん
「24時間コンビニ工場」を掲げるようになったのは、もう20年近く前になります。当時は土日が休みの工場が多いなか、「どうしても日曜日までに部品が欲しい」といったお客様からの要望がありました。そこで、さまざまな要望に応えられる体制をつくろうとしたことが始まりです。

現在では、小ロットや短納期の依頼にも柔軟に対応できることが、当社の強みになっています。

影山さん
生産体制は、以前は3交代制でしたが、現在は2交代制です。

加工には、プログラミングや機械の設定など、高度な技術が必要な工程があります。そこは根本さんのような技術者が担い、プログラムを組んで材料をセットすれば、その後は機械が自動で加工を続けます。

こうして人の技術と機械による自動化を組み合わせることで、小ロット・短納期の注文にも2交代制で対応できるようにしています。

Q2. 社員が働きやすい環境をつくるために、どのような取り組みを進めてきたのでしょうか。

渡邉さん:
5年ほど前、会社のブランド力を高め、採用にもつなげていこうと、各部署から若手社員を集めた「ブランド力向上委員会」を立ち上げました。外に向けて会社をアピールする前に、まずは働いている社員自身が「いい会社だ」と思える環境にすることが大切だと考えたんです。

メンバーを若手中心にしたのにも理由があります。管理職になると、どうしても予算や実現性を考えて、発言する前に「これは難しい」と判断してしまいますよね。それでは新しい意見が出てこない。だから最初からできる・できないを考えず、「自分たちの会社をどうすればもっと良くできるか」という意見を自由に出してもらいました。

そこから、有給休暇を取りやすくしたり、作業服を見直したり、工場周辺のゴミ拾いをしたりと、さまざまな取り組みが生まれました。社員から出たアイデアを会社が後押ししながら、一つずつ形にしてきた積み重ねが、今の職場環境につながっています。

影山さん:
勤務時間も、仕事量に合わせて調整しています。当社は受注する製品や量によって忙しさが変わるため、勤務時間を前後にずらすなど、そのときの状況に応じて柔軟に対応しています。

有給休暇も、以前と比べてかなり取りやすくなりました。私が入社した頃は、制度はあっても、今ほど気軽に取得できる雰囲気ではなかったんです。

そこで、「半日でも有給を取ろう」と社内で積極的に呼びかけてきました。会社としても、働く環境や労働に関するルールをきちんと整えていこうという考えがあり、専務にも後押ししてもらいながら取り組みました。そうした働きかけを続けるうちに、休みを取りやすい雰囲気が少しずつ社内に根付いてきたと感じています。

Q3. 実際に働くなかで、職場の雰囲気や働き方にどのような変化を感じていますか。

根本さん:
入社したばかりの頃は、有給休暇を取りたいとなかなか言い出しにくい雰囲気がありましたが、今はかなり変わりましたね。上司とのコミュニケーションも取りやすく、子どもの体調不良などで急に休まなければならないときも、部署内で仕事をフォローしてもらえます。

また、2025年に3人目の子どもが生まれたときには、初めて育児休業を取得しました。実は1人目、2人目のときにも会社から「育休を取ったら?」と声をかけてもらっていたのですが、当時は仕事の調整が難しく、私自身も制度について十分に理解していなかったため、取得には至りませんでした。

今回は、会社から制度について具体的に案内してもらったことで安心でき、育休を取ることを決めました。当初は1カ月ほどを考えていましたが、妻と相談し、子どもの首が座る3カ月頃までは一緒に育児をしようと、3カ月間の育休を申請しました。

育休中は、主に上の子どもたちの送迎や身の回りのことを担当しました。実際にやってみると、生まれたばかりの子を見ながら、上の子たちのことまですべて妻一人で担うのは大変だっただろうと痛感しました。妻からも、育休が明ける前日に「休みを取ってもらってよかった」と言ってもらえて、取得して本当によかったと改めて感じました。

影山さん:
実は根本さんの前にも、男性社員が育休を取得したことがありました。ただ、そのときは3週間ほどで、会社として「これでよかったのかな」という感覚が残りました。短期間だったこともあり、職場としてもうまく引き継ぎなどを調整しきれなかったんです。育休を取るなら、ある程度まとまった期間を確保して、その間の仕事を周囲でしっかりカバーできる体制をつくったほうがいいと考えました。

根本さんは製造現場の中心を担う社員なので、3カ月休むとなれば仕事の調整は必須です。でも、事前に段取りをして部署内で引き継げば彼の分もカバーできると考え、「せっかくなら取ろう」と背中を押しました。

今後は、誰もが安心して育休を取得できるよう、会社としてもさらに体制を整えていきたいです。

Q4. 社員同士の交流や、働きながら成長できる環境づくりについて、どのような取り組みをしていますか。

影山さん:
社員同士の交流という面では、親睦会の運営メンバーが中心となってイベントを企画しています。先月も社内でバーベキューをしました。仕事を終えた社員はそのまま参加し、夜勤の社員は出勤前に食べてから仕事に入るなど、勤務時間が異なる社員も一緒に楽しめる機会になりました。

また、働きながら成長できる環境づくりにも力を入れています。機械加工の国家技能検定の取得を支援しており、受検にかかる費用は会社が全額負担しています。当社の工場で試験を受けられるため、普段仕事で使っている機械で練習し、試験に備えられることも当社の強みです。取得に向けては上司や先輩もアドバイスし、会社全体で社員の挑戦をサポートしています。

さらに、2級を取得すると月2万円、1級には月4万円の資格手当を支給しています。資格取得を一つの目標にして、技術を磨くモチベーションにつなげてもらいたいです。

根本さん:
資格取得以外にも、リーダー育成のための研修など、仕事に必要な知識や考え方を学ぶ機会があります。私も勤続15年になり、今では後輩や外国人スタッフに教える立場になりました。日々の仕事のなかでも、次の技術者を育てることを意識していきたいです。

Q5. 最後に、これから挑戦していきたいことや目指す会社像を教えてください。

根本さん:
製造業の技術は日々進歩しているので、自分たちも常に学び続けていく必要があると感じています。これからも新しい技術や知識を身につけながら、自分自身の技術力を高め、少しでも会社の成長に貢献していきたいです。

影山さん:
会社としては、一人ひとりが力を発揮し、成長していける環境をつくることが大切だと考えています。また、社員全員が活躍できる環境づくりや、家庭と仕事の両立支援など、それぞれの事情に応じて働き続けられる環境も整えていきたいです。

社員から「この会社で働いていてよかった」と思ってもらえることが、私たちにとって何よりうれしいことです。職場づくりにゴールはありません。社員の声を聞きながら、これからもより働きやすい環境をつくっていきたいです。

渡邉さん:
働いている社員はもちろん、その先には家族がいます。だからこそ、社員とその家族まで幸せにできる会社でありたいと考えています。そのためには会社としてしっかり利益を生み出すことも必要ですが、みんなが頑張って生み出した利益は、できる限り還元していきたいです。

ありがたいことに、長く働いてくれている社員も多くいます。一人ひとりがここで働く良さを感じ、友人にも「いい会社だから、一緒に働かない?」と自然に勧められるような会社を目指していきたいですね。


【基本情報】
企業名:株式会社エクストエンジニア
代表者:渡邉 兵吾
事業内容:精密機械切削加工部品の製造・販売 (加工部品:自動車関連部品・建設重機関連部品、光学部品・半導体製造装置関連部品、FA部品・動力部品・航空機関連部品、 他)
所在地:福島県田村市常葉町常葉七日市場66
TEL: 0247-77-4196
FAX:0247-77-4197
URL:https://www.extengineer.co.jp/

(2026年8月取材)

インタビュアー:奥村サヤ / 撮影:古関マナミ