生活・その他

町に関わる人と人の縁を「織りなす」拠点に。川俣町・オリナスかわまた

2026年6月17日

2026年4月、川俣町の中心部に、コワーキングスペースやレンタルオフィス、チャレンジショップ、宿泊室などを備えた町営施設、オリナスかわまた(正式名称:川俣町貸事務所)がオープンしました。清潔感のある木目調の外観と採光を兼ねた三角屋根が印象的な建物です。現地を訪ね、施設の運営に携わる杉本(すぎもと)さんと服部(はっとり)さんに施設や町の魅力を教えていただきました。
※アイキャッチ画像はHPより引用

にぎわい・雇用・移住定住の促進に向けて好循環を生み出す場所

かつて絹織物の産地として栄えた川俣町。その起源は1400年前にさかのぼるといわれ、明治時代には日本屈指の高級シルクとして世界各国で高い人気を誇りました。そんな町の歴史とリンクする「オリナスかわまた」という愛称は一般公募によって選ばれたもの。川俣町に夫婦で移住した方の案が採用されました。

ロゴマークも、絹織物のタテ糸とヨコ糸が重なり合うイメージを表現しています。また、糸を編んで形づくられる「てまり」のフォルムをイメージし、人と人の縁や、ていねいに紡がれる温もりある関係性を表しています。

オリナスかわまた提供

オリナスかわまたは、医療・介護・交通・復興など、町が抱えるさまざまな課題の解決に取り組もうとする事業者に対し、その最初の活動拠点として利用してもらえるよう整備されました。事業者の支援を通じて、まちのにぎわいや雇用の創出、移住定住などの好循環を生み出すこと。東日本大震災後に避難指示が出された町内山木屋地区への帰還促進、さらには町全体の復旧・復興につなげる役割を担っています。

「地域でのビジネスは、事業者単独の頑張りだけでうまくいくとは限りません。町内の方々と交流し、リアルな声を聞くことで、初めてビジネスを加速させることができます。その交流を後押しし、新しい事業が軌道に乗るよう、施設全体でサポートすることを目指しています」(杉本さん)

取材でうかがったのはオープンから1ヵ月半がたった頃。取材の合間にも次々と人が訪れ、施設が早くも町に活気を生み出していることが感じられました。

事業者にニーズに合わせて利用できる6つのスペース

オリナスかわまたは、共有スペース、チャレンジショップ、コワーキングスペース、レンタルオフィス、会議室、簡易宿泊室と、事業者それぞれのニーズに合わせた6つのスペースで構成されています。

建物に入ってまず目の前に広がるのは共有スペース。利用に予約の必要はなく、訪れた方が自由に出入りできるフリースペースです。

オリナスかわまた提供

建物に入ってすぐ左手には、町内で飲食事業や商品開発・販売に挑戦する方が期間限定で利用できるチャレンジショップがあります。キッチンが併設されており、訪れる人の反応を見ながらメニューをブラッシュアップするなど、事業の土台を固めることができるスペースです。

約30席あるコワーキングスペースは、大きな窓から明るい日差しが差し込む居心地のよい空間。1時間単位で利用できるほか、月単位や週単位での利用も可能です。もちろん電源やWi-Fiは完備。コピー機が設置されているのもうれしいポイントです。

コワーキングスペースの奥には1人用の個室ブースが4室あります。こちらは1日単位から利用でき、月単位、週単位での利用も可能です。

複数メンバーで起業・開業を目指す際の拠点として活用したい場合は、レンタルオフィスの利用がおすすめです。全部で4室あり、広さは3名用・6名用・8名用の3タイプ。こちらは月単位または週単位で利用できます。

6名用のレンタルオフィス

さらに、最大60名まで収容できる会議室もあります。会議だけでなく、すでにさまざまな用途で利用され始めています。会議室の真ん中には可動式のパーテーションがあり、30名収容の空間に仕切っての利用も可能。レンタルオフィスの入居者は無料で利用できます。

オリナスかわまたの最大の特徴は、出張やワーケーション、山木屋地区をはじめとした町内の視察などで町を訪れた方が利用できる簡易宿泊室が併設されていること。簡易といっても、ツインのベッドルームにユニットバスやテレビなどビジネスホテル並みの設備が整った部屋が4室あります。宿泊費は1人あたり6,000円、レンタルオフィス入居者は4,000円というリーズナブルさです。川俣町の中心部にはビジネスホテルがないため、移住活動や起業・開業に向けて一定期間滞在したい場合にも有効に活用できます。

各スペースの利用料金はオリナスかわまたのウェブサイトでご確認ください。
オリナスかわまた 川俣町貸事業所

ちょうどいい距離感の人のあたたかさが町の魅力

オリナスかわまたにはオープン当初から多くの町民が訪れ、思い思いのかたちで施設を活用しています。

「会議のあとにチャレンジショップでカフェを利用されたり、コワーキング利用の合間に食事を楽しまれたり、館内の複数機能を組み合わせて利用される方が増えています。また、オリナスで他の利用者と出会ったことをきっかけに、自然な雑談や情報交換が生まれる場面も見られます。施設内を行き来しながら、利用者同士の交流が少しずつ広がっています 」(杉本さん)

杉本さん

東京都出身で、2022年から川俣町の移住者支援に携わってきた杉本さん。その視点から見た川俣町の魅力をこう語ります。

「移住者の皆さんが口を揃えておっしゃるのは、川俣町の人のあたたかさです。私もそれを強く感じています。ただ親切というだけではなく、見守ってくれるようなあたたかさがあります。そうした人との関わり方が、この町で暮らす安心感につながっており、 そのまま町の魅力になっています」(杉本さん)

杉本さんとともに働く服部さんは川俣町の西隣りに位置する福島市の出身で、2025年に川俣町に移住しました。きっかけは、山木屋地区で活動する太鼓団体「山木屋太鼓」のメンバーになったこと。始めは福島市内から練習に通っていましたが、「町の方々のあたたかさに触れ、川俣町での暮らしに魅力を感じて」と移住の理由を笑顔で語ります。

服部さん

「山木屋太鼓に関わる前は川俣町のことをよく知らなくて、“静かな田舎町”程度のイメージしかなかったんです。でも実際に住んでみると、思っていた以上に町に活気がありました。町民ひとりひとりが町のことを自分のこととして考え行動している印象で、住めば住むほど好きになる町です」(服部さん)

オリナスの卒業生で町がいっぱいになるのが夢

オリナスかわまたには、移住を検討中の方がふらっと訪ねてくることもあるそうです。そうした人たちに町の暮らしを伝えることも、杉本さんと服部さんの大きな役割のひとつとなっています。

「川俣町には、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、銀行、病院など、暮らしを営むうえで近くにあってほしい施設が揃っており、移住を検討される方には、自然が豊かでありながら利便性の高い町だと伝えています。でも、移住はそれだけでうまくいくほど簡単なことではなく、人との関わり、仕事との関わりも大きな要素となります。私たちがその関わりづくりを後押しする存在であることも、あわせて伝えていきたいと思っています」(杉本さん)

「私自身、移住者として、オリナスかわまたで町の人たちと交流することが、町を知る大きなきっかけになっています。新しく町民になってくださる方が安心して過ごせる場所にしていけたらと思っています」(服部さん)

「レンタルオフィスやコワーキングスペースで事業の基盤を整えた方が町内にオフィスやお店を構え、オリナスの卒業生で町がいっぱいになるのが夢」と杉本さんは言います。新しい環境で新しい一歩を踏み出したい。そんな想いを抱いているなら、ぜひ一度オリナスかわまたを訪ねてみてはいかがでしょうか。

オリナスかわまたでは、現在入居者を募集しています。 

  • 貸オフィス:6人部屋 月額39,000円/3人部屋 月額32,000円 
  • コワーキングスペース:24時間利用 月額25,000円 ほか 

見学・お問い合わせはこちらから


■オリナスかわまた(川俣町貸事務所)
所在地:〒960-1401 福島県伊達郡川俣町瓦町20-1
TEL:024-572-5755
HP:https://orinasu-kawamata.com/
Instagram:https://www.instagram.com/orinasu_kawamata/ 

※所属や内容は取材当時のものです。
文・写真:髙橋晃浩