支援制度

楢葉町が取り組む移住・定住サポート「定住促進住宅」ってどんな制度?

2022年7月14日
楢葉町

    福島県浜通りのほぼ中央に位置する楢葉町は、温暖な気候で豊かな自然に恵まれた町です。

    この町には、移住・定住をサポートしてくれる心強い制度があります。

    楢葉町では移住を希望する人の新たな住まいとして、「定住促進住宅」を提供しています。入居要件を満たしていれば、最長2年間、月額1万円の家賃で住宅を借りることができる制度です。

    「定住促進住宅」とは、どんなところで、どんな使い方ができるのでしょうか。

    「一般社団法人ならはみらい」の移住促進特任チームで移住者サポートを行う菊地陽子さんと塩塚祐太さんにお話を伺ってきました。

    安心して暮らせる住環境が整う「定住促進住宅」

    この日、取材のために訪れたのは町営住宅「後沢住宅団地」。現在、この団地の中の10戸が定住促進住宅として整備されていて、入居者を募集しています。

    定住促進住宅は、単身でも家族でも以下の要件を満たしていれば利用することができます。

    〈入居要件〉
    ・町外に住所を有する世帯(1人でも入居可能です)
    ・令和3年7月1日以降に町内に本社のある企業または町内の事業所へ無期雇用契約により就業している者、または内定を受けている者または自らが開業する場合は、開業届が受理されていること
    ・入居しようとする世帯に存ずる者の所得合計が600万円以下であること
    ・暴力団員並びに暴力団交遊者でないこと

    賃貸期間は1ヶ月から最長2年まで。子育て世帯に限り、お子さんの就学や年齢によって1年延長が可能です。「定住促進住宅」は、数日単位で入居する「お試し住宅」と違い、年単位で入居しながら定住の準備段階として活用できます。

    家電や家具などは自身で揃える必要がありますが、敷金3万3千円、家賃月額1万円。新天地での負担を軽減し、快適に暮らせる住環境が整っています。

    早速、部屋の内部を見学させてもらいました。

    リフォームしたばかりのお部屋は清潔感があり、広々とした空間。間取りは3DKで、6畳の和室が2部屋と4畳半の和室が1部屋あります。

    キッチンも十分なスペースがあります。シンプルな作りですが、使い勝手が良く、快適にお料理ができます。

    バス・トイレが別になっているのもポイント。子育て世帯でも気持ち良く、安心して暮らせる環境が整っていました。

    天気が良い日はベランダから海が見えるそうです。眺めの良い部屋の窓を開けると、爽やかな気持ちいい風が通り抜けます。

    移住・定住に向けたサポートが充実

    「移住後は知りません、ではなく、最後までしっかりサポートしていくのが私たちの役目だと思っています。」
    こう話すのは、移住促進特任チームの菊地さんです。

    2022年4月から動き出したばかりの移住促進特任チームでは、これから移住したい人、移住をしてきた人に向けて細やかで手厚いサポートを行っています。

    移住促進特任チームの菊地さん

    「移住するには引っ越し費用や新しく物を揃える費用などがかかり、どうしても負担が大きくなってしまいます。そこで、町の方で住環境を整えて、なるべく負担を少なくしながら心地よく暮らしをスタートさせていただくのが『定住促進住宅』の目的です。2年という限定された期間ですが、この間にじっくりと新しい住まいを探す時間に充てたり、起業準備の時間に充てたり、楢葉町に根を張るための期間として過ごしていただきたいと思っています」と菊地さん。

    「移住」とひと言で言っても、それぞれの人が持つバックグラウンドや目的は異なります。そんな人たちに向けて「一人ひとりに合ったコーディネートをしていきたい」と菊地さんは話します。

    例えば、積極的に地域の人たちとコミュニケーションを取りたい人、地域の人と距離を取りつつ静かに暮らしたい人、それぞれに合った形で細やかに相談を受けてくれるのだそうです。

    移住促進特任チームの塩塚さん

    移住促進特任チームのひとり、塩塚祐太さんは自身も楢葉町に移住をしてきた移住者です。

    福岡県出身の塩塚さんは、国際協力で中東や南アジアなどで約6年間勤務してきた経験の持ち主。地域課題の解決や田舎暮らしに興味を持ち、楢葉町の求人を目にしたことをきっかけに移住してきたのだそうです。

    「移住促進特任チームは現在5人体制で動いていますが、5人中4人が町の外から来た人たちです。私自身も東京からこの町に越してきたので、移住者目線を持ちながらサポートできることが強みだと思っています」と塩塚さん。

    移住するに当たっては、住まいの物件探しや行政機関への手続き、申請などから始めなければいけません。その手続きを、チームの皆さんがサポートし、関係団体へつなぐ役割を担ってくれるのだそうです。

    2022年6月30日、JR常磐線木戸駅すぐそばに、「ならはで新たな物語を紡ぐ人達の居場所」として「CODOU(コドウ)」がオープンしました。そこには、移住定住の相談窓口の他に交流ラウンジやレンタルオフィスも置かれています。

    「私たちは皆さんとつながることを大切にしたいと考えています。楢葉の良さをたくさん知ってもらえる場にしていきたいです」と力強く語る菊地さんと塩塚さん。移住したい人や町で起業したい人、地域住民や町の関係団体をつなぎ、結びつけてくれる心強い存在です。

    写真中央が一般社団法人ならはみらい代表理事渡邉清さん、後列の5人は移住促進特任チームの皆さん

    ここは、移住するのにちょうど良い町

    「定住促進住宅」はすでに利用されている方たちも多くいるそうです。

    子育て世帯で利用している方からは、「自然が豊かで子育ても充実しているし、すごくいい時間を過ごさせてもらっている」という声をいただいているとか。

    「楢葉町では、こども園、小・中学校の連携がしっかりされていて、地域の人たちとの交流も多く、町ぐるみで子どもたちを見守り育てている環境なんです」と菊地さん。そんな菊地さんに楢葉町の魅力を聞くと「人の温かさ」と「海と山、両方がある豊かな自然」だと教えてくれました。

    菊地さんは「私自身、楢葉町のことが大好きなんです。移住をしてくる方々に町の魅力を少しづつお伝えして、この町を好きになってもらえたら嬉しいですね。移住してくる方々、それぞれの希望に合わせて、一人ひとりに寄り添った相談窓口でありたいです」と話します。

    一方、塩塚さんは移住者目線でこの町の良さを教えてくれました。

    「自分は都心で働いていたので、やっぱり圧迫感が強かったんですね。楢葉町に来て、圧迫感から解放されて、これまでとは違う環境で暮らす面白さを感じています。田舎ではあるけど、スーパーもしっかりしていて生活環境はそれなりに揃っているので、楢葉町は移住するのにちょうどいいんじゃないかと思います。個人で開業されているご飯屋さんが多くて東京から来た自分でも楽しめているし、若い人たちも多くて活動的なので刺激も受けています。」

    「定住促進住宅」は、町の暮らしに馴染むまでのワンステップ。心地よく新しいスタートを切って町で暮らしていくための制度です。もし「田舎暮らしがしたい」「移住しようか悩んでいる」という時は、一度、移住促進特任チームのお二人を尋ねてみてください。きっと、明るく朗らかに、次につながるヒントやきっかけを与えてくれるはずです。

    福島12市町村で提供しているお試し住宅は以下の記事でもご紹介しています。
    福島暮らしを気軽に体感できる!ふくしま12市町村のおためし住宅をまとめてご紹介!


    一般社団法人 ならはみらい
    住所:双葉郡楢葉町大字北田字中満260番地 みんなの交流館 ならはCANvas 内
    Tel: 0240-23-6771 
    Email:info@narahamirai.com

    ■移住相談窓口 ならはスタートアップ・プレイス CODOU/コドウ
    住所:双葉郡楢葉町山田岡堂ノ下6-4
    Tel: 0240-23-6271
    営業時間:9:00〜17:00
    定休日:日・祝日、第2・4火曜日、年末年始
    https://try-naraha.jp/

    ※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。
    取材・文:奥村 サヤ 撮影:鈴木 宇宙