事業紹介

介護に携わる人が働きやすい環境づくりに取り組む「特別養護老人ホーム リリー園」

2026年3月16日

2004年に楢葉町に開設された特別養護老人ホーム リリー園(以下、リリー園)は、太平洋が一望できる天神岬公園にほど近い場所にあります。介護ロボットの導入や多様な人材の登用で働きやすさを実現する施設です。施設長の山内日出夫(やまうち ひでお)さんと主任介護職員の伊藤研太郎(いとう けんたろう)さんに園内を案内してもらいながら、職員の働く環境についてお話を聞きました。

ゆとりある空間とさまざまな工夫が現場を支える

施設長の山内さん(右)と主任介護職員の伊藤さん(左)

リリー園は施設内が4つの区画(フロア)に分かれています。各フロアには、個室から4人部屋までニーズに合わせて選べる居室のほか、食事や談笑を楽しめるデイルーム、光あふれるサンルームが備えられています。さらに浴室や交流スペース、職員の事務所、駐車場にいたるまで、各スペースがゆとりある設計で配置されています。民間の介護事業所や病院で勤務してきた伊藤さんは、その充実の広さを実感しています。

「利用される方の動きやすさや、面会に来られたご家族の過ごしやすさに配慮されています。広い分、職員の運動量も多く、私は1日の勤務で1万5,000歩ぐらい歩いています」

園内に2箇所ある広々としたウッドデッキの中庭

介護職員の勤務時間は、早番(7:00〜16:00)、日勤(9:00〜18:00)、夜勤(17:00〜翌9:00)の3交代制。毎月の勤務表作りは主任である伊藤さんの仕事です。

「各職員の希望を踏まえながら、各時間帯になるべく均等にシフトに入ってもらうよう調整しています。夜勤は平均月6回、希望によって月7〜8回という職員もいます」

リリー園では、職員の負担軽減や利用者の自立支援のための取り組みを積極的に行っています。その一つが介護ロボットの導入です。就寝中の体動を検出するロボットは、看取りの際にも役立っているそう。「心拍の低下を検知できるため、ご家族の最期の時間のために準備を整えることが、導入前よりもできていると感じています」と伊藤さんは話します。

また、2019年4月から始まった特定技能制度を利用し、外国人材を積極的に受け入れています。現在30人ほどいる介護職員のうち10人ほどが特定技能の在留資格を持つ外国人です。

※国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度。

「外国の皆さんの協力を得ないと、この地域はなかなか人材が集まりません。当園では制度開始当初から受け入れを進めてきました。1つの職場で10人の外国人職員がいるのは多いほうではないでしょうか。出身国はネパールで、国際色豊かな職場です」(山内さん)

外国人材の受け入れにあたっては、運転免許を持っていない場合がほとんどであるため、住まい探しに悩むのだそう。リリー園では自転車で5分ほどの場所にある町の雇用促進住宅を紹介し、比較的安い賃料で職住近接の環境を整えています。

介護の現場では専門用語が多く飛び交うこともあり、言葉や文化の違いを感じる場面は多いそう。スマートフォンの外国語翻訳機能を利用したり、資料に読み仮名を振ったりと、ともに働く環境づくりに日々試行錯誤を重ねています。同時に外国人職員も日本語の習得に励んでおり、一歩ずつ意思疎通を深めているそうです。

特定技能制度で働く外国人職員サラダさん。利用者への声掛けや接し方はとてもていねいで安心感がある

リリー園では、利用者の方と地域との交流にも力を入れています。新型コロナウイルスの感染拡大を機に一時中断していましたが、2024年度から再開。楢葉町で音楽活動をする人やこども園の園児を招いた交流会などを行っています。

「このような交流は利用者の方と地域の方の両方にとってよい機会になっています。ショートステイの利用者の方のなかには、以前ここに慰問に来たことがあると懐かしそうに語る人も。今後も地域との連携をさらに深めていきたいです」と山内さんは話します。

現場目線から見える、働きやすさの理由

山内さんは職員に、休業や休暇を積極的に取るよう勧めています。

「子どもの通院のために有休を取得したいと相談があった際には、利用できる制度を案内しています。特定技能制度で働く外国人職員が育休を取得し、その後復帰した実績もあります」(山内さん)

山内さんは楢葉町役場からの派遣職員。「職員がしっかり休みを確保できるよう取り組んでいきたい」と話す

伊藤さんは、休みを取りやすい環境が離職の少なさや働きやすさにつながっているのではないかと話します。

「ここで働き始めた10年ほど前、勤務表に『有休』と入っているのを見て、本人が申請して取得できることに驚きました。有休は通常、入社して6か月経過後に付与されますが、ここでは入社後6か月未満で使える独自の有休があります。私も入社3か月で体調を崩した時に利用しました」(伊藤さん)

伊藤さんは介護職員として現場に入りながら、勤務表作成や業務割当、休みの職員の連絡窓口・調整といった主任業務を行っている

職員が新型コロナウイルスに感染した場合は、5類に移行した現在も特別休暇として対応しています。発症後の外出自粛期間中に有休を消化せずに済むため、無理して出勤しようとしてしまう状況の防止にもつながっていると伊藤さんは話します。

敬意を持って人と関わる

介護職員として長いキャリアを持つ伊藤さん。2000年に介護保険制度が創設され、日本で福祉の重要性が高まっていく時期に社会人となりました。介護事業所に事務員として就職しましたが、「会社全体を理解するために現場に出ているうちに、いつの間にか訪問入浴の担当スタッフになっていました」と、介護の現場に入ったきっかけを話します。

「さまざまな施設や病院で働くなかで、在宅介護についてはある程度経験してきました。20代の頃は別の業種に転職したこともありましたが、リリー園に来てからは、これまで自分がやってきたことが無駄ではなかったと感じています。今までの歩みも、これでよかったんだと、ようやく思えるようになりました」(伊藤さん)

介護のやりがいについて伊藤さんは、利用者の笑顔が見られるときだと話します。

「日々忙しく、やりがいをじっくり感じる時間はなかなか取れませんが、クリスマス会など普段と違うイベントで利用者の方が喜んでくれると、やってよかったと思います。普段から笑顔の多い利用者の方も、最初からそうだったわけではなく、園の生活に慣れるまでには時間がかかります。信頼関係を築き、少しずつ距離を縮めていくなかで、ようやく自然な笑顔が見られるようになるのだと思います」

また、介護を通して、人と関わる面白さも感じているそう。

「利用者の方の姿は、あくまで、今ここでの姿。これまでの仕事をご本人から聞いたり、若い頃の写真を見たりすると、歩んできた人生が見え、そうした背景にも敬意を持ち仕事をしています」(伊藤さん)

最後に、求める人物像や介護職は未経験という人に向けたメッセージを伺いました。

「明るく優しい、人と関わることが好きな人に来てもらえたらと思います。今いる職員も未経験で入った人が少なくありません。親御さんや身内の介護を経験したことから“自分も介護を仕事にしてみたい”と応募した職員もいます」(山内さん)

「優しいスタッフがたくさんいます。未経験の方にもしっかりと教えます」(伊藤さん)

県外から移住してきた職員も活躍していますが、特定技能制度で働く外国人材は5年間しか日本で働けないため、職員の確保はまだまだ大きな課題です。

福島県では、令和7年4月1日以降に福島12市町村に転入し、医療・介護・福祉等に係る資格を有したうえで、資格に基づき利用者へのサービス提供を直接的に担う職種として県が定める求人に応募し、福島12市町村に所在する施設・事業所等に就業している場合、1人あたり120万円が福島12市町村移住支援金に加算される制度があります。

詳しくはこちらをご覧ください。
福島県12市町村移住支援金のお知らせ

未来ワークふくしまでは、医療・介護・福祉分野で活躍されている方をご紹介しています。
ふくしま12に移住して医療・福祉の担い手として働く

リリー園では、職場体験や見学も随時受け付けています。興味のある方はぜひ求人ページをご覧ください。
https://arwrk.net/recruit/lily-en


■特別養護老人ホーム リリー園(社会福祉法人広葉会)
2004年に開設。サービス内容は特別養護老人ホーム(定員80名)とショートステイ(定員10名)。東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故による避難と業務の一時停止を経て、2018年に業務を再開。職員数は44名、介護職員は31名。

所在地:〒979-0603 福島県双葉郡楢葉町大字井出字上ノ原28
TEL:0240-25-1777
FAX:0240-25-1770
E-mail:kouyoukai@lily-en.com
HP:https://lily-en.com/

※所属や内容は取材当時のものです。最新の求人情報は公式ホームページの採用情報をご確認いただくか、直接お問合せ下さい。
取材・文:はしもとあや 写真:古関マナミ