【移住セミナーレポート】vol.23「未来の私へ、ワクワクする明日がある、ふくしま12市町村の暮らし」(東京開催)

セミナー概要
ふくしま12市町村移住支援センターが主催する「未来ワークふくしま移住セミナー」は、ふくしま12市町村での魅力や、新たな土地で自分らしく暮らす移住の楽しさをお伝えするセミナーです。令和7年度、最後のセミナーは、2026年2月21日(土)東京・表参道にて「未来の私へ、ワクワクする明日がある、ふくしま12市町村の暮らし」をテーマに開催しました。
当日の動画
ゲストによる活動紹介
■小椋 冬樹 さん
(広野町/社会福祉法人 友愛会 ワークセンターさくら サービス管理責任者)
1人目のゲスト、小椋冬樹さんは、福島県出身で一度県外へ出た後に地元にUターンされました。広野町にある社会福祉法人友愛会ワークセンターさくらでサービス管理責任者として働いており、利用者さま一人ひとりが自分らしく過ごせるよう、支援全体を整える役割を担っています。
小椋さんは震災後に就職されたとのことですが、震災当時は職員が施設屋上から見たときに津波が来ているのを見て「これはまずい」と思い、全職員が利用者を迎えに行き入所施設で一晩を過ごしました。
障がいを持った方や職員をあわせて100名が避難できる場所は、なかなか見つかりませんでした。別々であればありましたが、障がいを持った方は新しいことに不安を感じる方が多いため、全員が同じ場所で避難できるところを探したところ、群馬県の「国立のぞみの園」さまが受け入れてくださいました。そして2018年に「福島に帰る!」とその一心で福島に帰還することができました。

広野町は、「東北に春を告げるまち」といわれるほど温暖で、海と山が近く自然豊かな場所です。人との距離感が心地よく、地域のあたたかさに触れながら働ける環境も、大きな魅力だと語ります。こども園から高校までが1つのエリアに集まっていたり、スーパーや役場、病院も近く、必要な場所にすぐ行ける“ちょうど良いコンパクトさ”も暮らしやすさの理由と話しました。
また、毎年8月にはサマーフェスティバルが開催され、花火を間近で楽しめるのでおススメです。広野町が「日本一美しい日の出の町」と宣言する美しい朝日や、日本代表チームの合宿地として知られるJヴィレッジなどもあります。日本で一番小さいといわれるイオンは、いい意味でコンビニ感覚で行けてとても使いやすく、小さくても暮らしに寄り添う魅力がギュッと詰まっています。
最後に、小椋さんは移住を検討する人に向けて、「実際に来て、見て、話してみると“良さ”が必ず伝わる場所です。まずは気負わず、遊びに来る感覚で訪れてみてください。」とメッセージを送りました。
■大山 里奈 さん
(葛尾村/合同会社いること 代表/カフェしずくオーナー/Katsurao Collective コーディネーター)
美術作家として活動する大山さんが、福島県葛尾村に初めて足を踏み入れたのは2021年のことでした。「住み込みで1ヶ月半バイトしない?」と友人に誘われたのがきっかけで、地名の読み方もわからない村へ向かったといいます。しかしそこで出会った風景、人、素材が大山さんの暮らしを大きく変えることになりました。
葛尾村でアーティストインレジデンスを立ち上げることになり、大山さんは運営メンバーとして深く関わりました。気がつけば葛尾にいる時間が長くなり、「ここで暮らしたい」という思いが自然と胸に芽生え、移住を決意したそうです。
移住後は、村に眠る素材をアートの力で蘇らせる活動に力を注いでいます。村の伝統食でもある「凍み餅」に入れる「ごんぼっぱ」の煮汁を染色に使ったり、村の羊の毛を紡いだりしています。村の80代の方は出来るがそれ以下の年代はできない作業など、イベントのなかで年代に関わらず触れることで「暮らしをつむぐ」ことを願われています。

特に、大山さんが大切にしているのが、村の人と一緒につくり上げる季節の行事です。正月飾りづくりや、みんなでお飾りを燃やし、灰を土地に戻す「どんと祭り」を復活させるなど、長く受け継がれてきた文化を次の世代へ届ける活動を続けています。「終わったと思ったら、翌日にはおじいちゃん達は気が早いのでもう来年の竹串を作っていたんです」と笑いながら話す姿からは、村のあたたかい関わりが伝わってきます。
また、大山さんは村で起業し、福島県12市町村起業支援金も活用されてカフェ「いること」をオープンしました。それまで人に頼ることが苦手だった大山さんが、力尽きそうになったときに、思い切って「手伝ってください」と口に出してみたら、たくさんの人が集まって完成させることができた経験は、人に頼る大切さを実感したといいます。今ではそのカフェが、村の情報や人が集まる拠点になっています。
「葛尾村では、自然に抗うことをしない暮らしがあります。人も自然もゆっくり寄り添ってくれるんです」。
大山さんの言葉から、アートと人と地域がやわらかくつながる、葛尾村での豊かな日々が浮かび上がってきます。
■島内 道人 さん
(南相馬市/Zip Infrastructure株式会社 福島試験線PJ推進課 課長)
兵庫県出身の島内道人さんは、全国を転々としてきた経歴を持つ交通インフラ開発のスペシャリストです。大学卒業後はJR東日本に入社し、その後スタートアップ支援会社を経て、現在は次世代の交通システム「Zippar」を開発するZip Infrastructure株式会社で働いています。その島内さんが南相馬市へ移住されたきっかけは、「会社の拠点が福島に移る」という突然の知らせがきっかけでした。
移住に戸惑いを感じながらも、浜通りという地域が、新しい挑戦をするには絶好の環境であると思い決められました。
実際に移住してみると、環境は想像以上に仕事に向いていました。通勤時間は短く、実験や検証がすぐにできる福島ロボットテストフィールドが目の前にあり、とても便利です。また、同じような開発に挑む企業が集まっているため、技術相談や情報交換もしやすく、「ものづくりに集中できる環境がある」と実感しているそうです。これまで何もなかった土地に、試験線が少しずつ形になっていく過程を現地で見守りながら働けることも、大きなやりがいになっています。

暮らしの面で特に印象的だったのは、美しい海。また、浜通りや近隣市町村には個性豊かな食文化が広がり、海鮮、道の駅、イベントなど、「ご飯が本当においしい」と喜ばれています。
一方で、買い物や外食をする場所は少し限られており、いわき市や仙台市に出かけることもしばしば。好きなチェーン店が近くになかったり、少し不便さもありますが、「街が成長していく途中の今だからこそ、これから増えていく楽しみがある」と前向きに話します。
最後に、「浜通りは本当に大きな挑戦ができる場所です」と力強く語りました。広い土地、挑戦を歓迎する風土、そして前向きな地域の空気。
この地域の可能性が日々、新しいエネルギーを与えてくれているのだと伝わってきます。
ゲスト✕ぺんぎんナッツ トークセッション

セミナータイトルである「未来の私へ、ワクワクする明日がある、ふくしま12市町村の暮らし」をテーマにゲスト3名のトークセッションが繰り広げられました。ファシリテーターはMCのぺんぎんナッツが務め、笑いが何度も起きるとても盛り上がる時間となりました。
「移住前の福島12市町村のイメージ」
移住前に、福島12市町村へどのようなイメージがあったのでしょうか?

小椋さんは福島県富岡町出身ですが、同じ浜通り地域の広野町や四倉にはほとんど足を運んだことがありませんでした。移住前のイメージも「正直、富岡とそんなに変わらないのかな」という印象だったそうです。しかし実際に暮らしてみると、同じ県内でも地域ごとに景色や文化が違い、「こんな場所があったんだ!」という発見が日々あるといいます。とくに夜ノ森の桜の美しさや、町ごとの自然の表情の違いを感じることが増え、「地元であっても“知らない福島”がまだまだある」ことに気づいたそうです。距離が近いからこそ気づけるギャップが、今の暮らしへの愛着につながっています。
大山さんが葛尾村に来る前に抱いていたのは、「震災で全村避難になった場所」という不安感でした。どんな風景で、どんな暮らしがあるのか全く想像できず、「正直、怖い村なのかも」と思っていたそうです。しかし実際に訪れてみると、そこには当たり前の日常が息づき、暮らしの営みがしっかりと根づいていました。自然に囲まれた静かな土地には、使われていない素材や空間が数多く残り、「ここには余白(可能性)がたくさんある」と感じたといいます。不安が“余白”へと変わり、創作意欲がむくむくと湧き出す――そんなギャップこそが、大山さんが移住を決める大きなきっかけになりました。
島内さんにとって「福島のイメージ」は、震災当時の映像に強く影響されていました。南相馬の名前も、震災のニュースで聞いた程度で、具体的な生活のイメージは持てなかったといいます。地方は「よそ者に厳しいのでは?」「新しいことを始めづらいのでは?」という先入観もありました。しかし実際に南相馬へ移住してみると、最初に驚いたのはその“歓迎の懐の深さ”。新しい挑戦を応援してくれる空気があり、地域の人々も前向き。むしろ「よく来てくれた」と声をかけてもらえる環境がありました。震災のイメージが色濃かった土地が、今では挑戦に満ちた場所へと変わり、良い意味でのギャップに心を動かされたといいます。
「『ワクワクする明日』を感じるのはどんなこと?」
新しい暮らしのなかで見えてきた福島12市町村での“ワクワクする明日”。
三者三様の「ワクワク」の気づきを聞きました。
小椋さんが胸を躍らせているのは、浜通りに増えつつある“新しい企業の動き”です。福祉の現場で働く立場として、特に興味を持っているのが介護ロボットやパワースーツのような先端技術。「機会があれば、ぜひ関わってみたい!」と語り、地域とテクノロジーが交わる未来に期待を寄せています。
現在の浜通りにはロボット・エネルギー分野など新産業が続々と集まってきており、「この流れなら本当に実現するかもしれない」とワクワクが増している様子。Uターンという立場からも、「地元で新しい挑戦に関われるかもしれない」という未来が、楽しみにつながっていると話していました。

大山さんが感じる「ワクワク」は、葛尾村に残された“余白”から生まれるものでした。最初は人に頼ることが苦手だった大山さんですが、カフェに通ってくれる地元の方から「応援されるのも仕事の一つよ」と声をかけられ、その言葉が大きな転機になったといいます。
抱え込みすぎず人に頼ることで、地域との関係が深まり、その結果、次々と新しいアイデアが形になっていく――そんな循環を実感したそうです。「力を抜くことで、もっとたくさんのことができる」と気づけた今では、毎日が挑戦の連続で、未来に向けて自然とワクワクが湧き上がっていると語っていました。
島内さんが南相馬でワクワクを感じる瞬間は、「新しい技術が日常の中にある」と実感したときです。空を見上げればドローンが飛び、地上では自社が開発する次世代交通「Zippar」が試験走行し、さらにまちは宇宙産業の誘致にも積極的。福島ロボットテストフィールドには空飛ぶクルマまで並んでおり、「未来がすでに始まっている」と感じる場面が多いそうです。「これからなる」ではなく「今まさに進化している街」に身を置けることが、島内さんにとって最大のワクワクポイント。「この地域の未来を一緒につくれる」――そんな手触りのある期待感が、日々の充実活力につながっています。
「これから移住される方へメッセージ」
最後に3人のゲストから、これから福島12市町村へ移住検討される方へメッセージをいただきました。
小椋さんは「資料だけでは分からない“空気”があります」と、まずは一度、実際に足を運んで、地域の人、自然、景色を五感で感じてほしいと呼びかけます。
大山さんは、「ぜひ一度来てみて、ゆったりした時間を一緒に楽しみましょう!」と微笑みます。おいしいご飯を囲んだり、地域の人との交流を楽しんだり、肩の力を抜いて過ごす時間の豊かさを伝えたいとのこと。「訪れた人が自然に溶け込めるあたたかさを感じてほしい」とメッセージを送りました。

島内さんは、「浜通りは新しい挑戦をするには最高の場所!」と語ります。技術、産業、まちの可能性が広がるなかで、何かに挑戦したい人にはぜひ来てほしいとのこと。「一緒に地域を盛り上げていきましょう」とエールを送り、「ワクワクする明日がある、ふくしま12市町村の暮らし」に明るい期待を込めたメッセージとなりました。
#ふくしま12を応援する学生団体の紹介
福島12市町村で活動する、2つの学生団体にお越しいただき、活動内容や、現地の魅力についてお話しいただきました。
■ まなびばならは(明治大学政治経済学部野澤ゼミナール)
明治大学・野澤ゼミ「まなびばならは」チームは、約2年前から楢葉町で活動を続け、学生と地域をつなぐ取り組みを進めています。彼らが開発しているアプリ「RELAHA(リラハ)」は、町に関わる人や企業の情報を可視化し、訪れた学生や移住を検討する人が、継続的に地域とつながれる仕組みをつくるものです。「おこまり・おさそい機能」や「メンバー一覧」「企業紹介」などを通じて、町内外の人が関わるきっかけを生み出そうとしています。
彼らが楢葉に魅力を感じた理由は、海・川・山を望む自然の豊かさ、学生やスタートアップを積極的に受け入れる挑戦的な風土、そして外から来た自分たちを温かく迎える人のやさしさでした。
RELAHAは2026年3月リリース予定。学生たちは「知らない不安をワクワクに変える一歩になれば」と語りながら、地域と一緒にアプリを育てています。
■ 東京農業大学浪江町復興支援プロジェクト
東京農業大学の「浪江町復興支援プロジェクト」は、学生が実践を通じて地域と向き合う取り組みです。浪江町や地元農業法人と連携しながら、農業の担い手育成や6次産業化、スマート農業の推進に挑戦しています。
登壇学生は「いちじく班」と「ニンニク班」を担当。いちじく班は、生で流通できない“もったいないいちじく”を活用し、商品開発やイベント販売、学内パン屋とのコラボなどに取り組み、浪江の新たな特産づくりに挑戦しています。
ニンニク班は、震災後に新規就農した法人と連携し、栽培支援から商品開発までを担当。昨年度は約4トンの大豊作を実現し、新たな「浪江ブランド」を目指して活動を続けています。
学生たちが語る福島12市町村の魅力は、「挑戦を受け止め、応援してくれる地域のあたたかさ」。現地の方々との対話や共同作業が、活動へのやりがいと未来への希望につながっていると話しました。
会場限定コンテンツ
①移住のホンネ ゆるっと先輩座談会

毎回恒例のゲストと直接話せる座談会を実施しました。会場にお越しいただいた参加者は50名以上ととても多く、ゲストと参加者が様々な移住トークで盛り上がっていました。ゲストのトークで気になったあれこれ、疑問に感じていたこと…何でも気軽に聞ける良い機会になったようでした。
②各種相談ブース(移住・起業・仕事)

3種類の専門相談員と個別で話せるブースでは、参加者それぞれの質問にお答えしました。
③ふくしま12体験コンテンツラリー
福島12市町村について気軽に知れる会場内コンテンツを体験した方には、東京農業大学の学生が、浪江町で商品開発に携わったいちじくフィナンシェとクラフトコーラの試食・試飲が振舞われました!「ぺんナツちょい寄りカフェ」「12市町村あみだくじマッチ」「登壇学生が開発した新アプリの体験デモ」など楽しい企画を多くの方に楽しんでいただけました!
お帰りの際には、浪江町のエゴマを使用した「えごまキャラメルパイサンド 」をプレゼントしました。
23回目となる未来ワークふくしま移住セミナーも福島12市町村の魅力がたっぷり伝わる素敵な時間となり、幕を閉じました。
令和7年度も多くの方にご参加いただきありがとうございました。今後も楽しみながら福島12市町村への移住がわかるイベントをたくさん開催していきますので、どうぞお楽しみに!
他回の移住セミナーについては、下記特設サイトよりご覧ください。
https://mirai-work.life/lp/seminar2025/







