【移住セミナーレポート】vol.22「遠方からでも移住できました!私がふくしま12を好きになるまで」(大阪開催)

セミナー概要
ふくしま12市町村移住支援センターが主催する「未来ワークふくしま移住セミナー」は、福島12市町村での魅力や、福島県での移住の可能性をお伝えするセミナーです。令和7年度4回目のセミナーは、2026年1月17日(土)、大阪梅田にて「遠方からでも移住できました!私がふくしま12を好きになるまで」をテーマに開催しました。
当日の動画
ゲストによる活動紹介
■中野 織さん
(大阪から川内村へ移住/イラストレーター)
大阪府出身の中野織さんは、芸術系の大学を卒業後、事務職として働きながら、イラスト制作を副業として続けてきました。現在はフリーランスのイラストレーターとして、福島県外のクライアントからの仕事を中心に活動されています。
移住のきっかけは夫の転職で、大阪から福島県双葉郡川内村へ来られました。移住を決めた当初は、川内村についてほとんど知らなかったそうです。ただ、中野さんはフリーランスで仕事をしていたため、「どこでも仕事ができたので、思い切って行ってみようと思いました」と当時を振り返ります。今は「川内村へ移住して本当に良かった」と言われます。
とくに良かったと感じていることの一つが、静かな環境で仕事に集中できること。村内だけでなく近隣の町にもコワーキングスペースが充実していて、混雑も少なく「集中できて仕事がはかどります」と喜ばれています。
車中心の生活となりましたが、渋滞がほとんどなく移動がしやすい点も魅力。標高が高く涼しい川内村では、春から夏にかけて特に過ごしやすさを感じているとのことです。また、人口が少ないからこそ、「こういうことができないか?」と声をかけられる機会も多く、自分では想像していなかった仕事が新たな経験につながることもあるといいます。

一方で困った点は、村内にある医療機関が一つで、急病となると郡山まで車で1時間ほどかかるため、日頃から体調管理を意識し、早めに受診するよう心がけたり、冬は路面が凍結することがあるので車での移動には注意が必要とのことでした。
村での暮らしに馴染むために、中野さんは積極的に地域のボランティアやイベントに参加することで解消されてゆきました。夏祭りの鳴り物や、ワイン用ぶどうの収穫、ソフトバレーなどを通して、多くの村の人と知り合う機会が増えたといいます。
「遠くて人口が少ない場所に移住することは、受け入れてもらえるかどうかが一番不安でした」と中野さんは語ります。だからこそ、「誠実でいること」を大切にし、少しずつ時間をかけて関係を築いていきました。その積み重ねが、今の安心した暮らしにつながっていると話されたことが印象的でした。
■谷口 恭平さん
(大阪から田村市へ移住/一般社団法人Switch所属・田村市地域おこし協力隊/移住定住コーディネーター)
三重県出身の谷口恭平さんは、2025年に大阪から福島県田村市へ家族3人で移住。現在は、一般社団法人Switchに所属し、田村市の地域おこし協力隊として活動しています。
移住を考えるようになったきっかけは、子どもが生まれたこと。「この子にどんな景色を見せたいか」と考えたとき、夫婦ともに田舎育ちだったこともあり、自然のある環境で育ってほしいという思いが強くなったといいます。また、都会での通勤や人の多さに負担を感じていたこともあり、「いつかは田舎で暮らしたい」という気持ちも、移住を後押ししました。妻の実家が近いことや、地域に根ざした仕事に就きたいという思いから、田村市への移住を決断されました。
実際に田村市で暮らしてみて、まず心を打たれたのは自然の豊かさでした。大阪で住んでいた場所では見えなかった天の川の星空が、田村市では肉眼で見ることができ、その美しさに強い衝撃を受けたといいます。夏の空の広さや、冬の雪など、四季の移り変わりを日々感じながら生活しています。

そして「移住してよかった」と思う点は、人の温かさとのこと。地域の方々が自然に声をかけてくれ、食べきれないくらい野菜を分けてもらうことも多いそう。渋滞がないなど日常の小さなストレスが少ない点も、暮らしやすさにつながっています。
現在は移住定住コーディネーターとして、移住相談や交流会、現地ツアーの企画などに携わりながら、自身も田村市での暮らしを家族とともに楽しんでいます。自然と人に囲まれた日常の中で、谷口さんは新しい生活を着実に築いていました。
■城間 ちあきさん
(沖縄から大熊町へ移住/システムエンジニア/弁当店「まごころ。」代表/結婚相談所 アドバイザー)
沖縄出身の城間ちあきさんは、おととし沖縄から福島県大熊町へ移住しました。23歳と13歳の2人の息子を育てるシングルマザーで、大熊町では13歳の次男と2人で新生活をスタート。現在はシステムエンジニアとして在宅ワークを行いながら、福島県12市町村起業支援金も利用して沖縄のお弁当を販売する「まごころ。」を起業され、活躍の幅を広げられています。
城間さんが移住を決断した大きなきっかけは、子どもの教育でした。世の中が大きく変化している中で、「教育だけが昔とあまり変わっていないのではないか」と違和感を持ち続けていたといいます。沖縄で暮らしていた頃、息子たちが「学校が楽しくない」と話していたこともあり、環境を変えたいと強く思ったときに出会ったのが、大熊町立「学び舎 ゆめの森」でした。
この学校では、0歳から15歳までが同じ校舎で学ぶことができ、子どもたち自身が「何を、どこで学ぶか」を先生と一緒に選ぶという、子どもたちが共に学び合う環境がそこにはありました。学びと遊びが自然につながり、子どもたち一人ひとりが主体的に過ごせる姿に、「ここなら子どもが伸びる!」と確信したといいます。

大熊町での暮らしは、スーパーや病院が町内になく、買い物や通院のために1時間ほどかかり、車がないと移動が難しく、沖縄から来られた城間さんにとっては寒さにもまだ慣れない部分があるそう。それでも、復興で街の景色が数か月で変わるスピード感あるまちの変わりゆく様を目撃できることを、とても楽しみにされています。
大熊町への移住については、「子どもの教育をきっかけに動いた移住は、大成功でした」とのこと。お子さんは楽しそうに学校へ通い、今年はオーストラリアでのホームステイも。生活に不便な面があったとしても、親子で納得できる選択ができたことに、大きな満足感を得られていることが伝わってきました。
ゲスト✕ぺんぎんナッツ トークセッション
セミナータイトルである「遠方からでも移住できました!私がふくしま12を好きになるまで」をテーマにゲスト3名のトークセッションが繰り広げられました。MCのぺんぎんナッツさんとゲストのユーモア溢れるお話に、とても盛り上がる時間となりました。

「遠方でも意外に大変じゃなかった!?ふくしま12への移住、本音トーク」
大阪、沖縄など遠方地から福島へ移住された、リアルな本音をお話しいただきました。
中野さんは、移住は「思っていたより大変じゃなかった」と話します。川内村の引っ越し支援金を活用できたことで、費用面の不安が軽減されたことも大きかったそうです。制度の存在が移住のハードルを下げてくれたと感じている様子でした。
谷口さんは「正直、移住はそこまで大変ではありませんでした」とのこと。これまで名古屋や愛媛、福島など、転勤で何度も引っ越しを経験してきたこともあり、その感覚が活きたといいます。特に印象的だったのは子育て環境の違いで、大阪では保育園探しに苦労したのに、田村市では待機児童ゼロ。「むしろ、もっと早く移住したかった」と感じたそうです。一方で車が必須となり、共働きのために一気に2台購入する必要があった点は大変だったと、現実的な一面も語りました。
沖縄から移住された城間さんは、「大変でした…。」と率直に振り返ります。とくに寒さは暖房の使い方や防寒の仕方が分からず、最初の冬は戸惑いの連続だったそうです。引っ越しも荷物はフェリーで東京まで運び、そこから車で福島へ。慣れない道の運転は「本当に怖かった」と話します。それでも、「移住してよかった」とマイナス面を上回るプラス面があったことが、言葉の端々から伝わってきました。

「正直ここが一番不安だった。でも、こうやって乗り越えた!ふくしま12移住のリアル」
移住前に感じていた不安を、どう向き合い解消したのか、本音のところをお聞きしました。
中野さんが移住前に感じていた不安は、文化や言葉の違いでした。東北の方言が聞き取れるか心配していたそうです。しかし、実際に暮らしてみると、日常会話はほぼ標準語で、不便さはほとんど感じなかったといいます。お店の方や近所の人も温かく受け入れてくれ、孤立を感じることはありませんでした。さらに、福島のラーメンの美味しさに目覚めて、いろいろと食べてまわったり地域の人との会話も自然と増えていきました。不安だった「なじめるかどうか」は、日々の交流の中で解消されていきました。
谷口さんは、地域の人に受け入れてもらえるか不安を感じていました。実際に住んでみると、「こんにちは!移住してきました。」と自分から声をかけることで、驚くほど温かく迎えてもらえたといいます。田村市には、昔から移住者を受け入れてきた歴史があり、その土壌に助けられたとも感じています。地域の人から野菜を分けてもらうなど、気づけば日常に溶け込んでいた谷口さん。不安は、「自分から歩み寄ること」で喜びへと変わっていきました。

城間さんにとって最大の不安は、息子さんが新しい学校に馴染めるかということでした。入学前日は親子で涙を流すほど心配でしたが、翌日「楽しかった!」と笑顔で帰ってきた息子の姿に救われたといいます。先生方の丁寧な関わりや、子どもを大切にしてくれる教育環境が、大きな支えになりました。また、大熊町には移住者同士のつながりも多く、フレンドリーな人が自然と声をかけてくれます。人との縁に助けられながら、新しい暮らしが始まりました。
「これから移住される方へメッセージ」
3名のゲストからこれから福島12市町村へ移住を考えている方へ、メッセージをいただきました。
中野さん
福島県は人が温かく自然が豊かで、美味しいものもたくさんある場所です。移住を考えているなら、まずは難しく考えすぎず、「一度行ってみる」ことから始めてほしいと思います。実際に足を運ぶことで、きっと印象が変わるはずです。
谷口さん
大阪から福島は、思っているよりも近いです。僕自身は事前の視察やお試し移住をしないまま移住しましたが、「行きたい」というワクワクした気持ちを信じて動いたら、意外と何とかなりました。直感を信じて一歩踏み出すのも、大切な選択肢だと思います。
城間さん
移住で一番大切なのは、やはり一歩踏み出すことだと思います。私はお試し移住などを通して体験したことで、気持ちが大きく変わりました。迷っているなら、まずは体験してみる!その行動が、新しい選択につながっていくはずです。
ふくしま12を応援する学生団体の紹介
福島12市町村で活動をする2つの学生団体から、活動内容や福島12市町村の魅力を語っていただきました。
■近畿大学農学部農業生産科学科農業経営経済学研究室
近畿大学農学部の松尾大志さん、田辺真星さんにお話いただきました。

「オール近大”川俣町発 復興人材育成プロジェクト」についてご紹介します。近畿大学は2011年の震災直後から川俣町の復興支援を開始し、当時は教職員が中心でしたが2017年に包括連携協定を結び、そこから本格的に学生が活動に参加するようになりました。
現在は単なる復興支援ではなく、お互いの強みをいかした「連携」や「協同」を進めています。
私たちは農学部ということで農業・食関連をメインに活動をしています。地元食材を活かしたジェラートや地鶏で有名な川俣シャモやアンスリウムをかたどったスイーツなどの商品開発を行い、町のイベントやお祭りでの販売支援をしています。
学生の立場で復興や商品開発に携わらせていただき、その活動が町に広がっていくことや、大学と町が連携をして歩んでいるところを間近で見られることが、貴重な経験だなと感じています。「移住」というとハードルが高くなると思いますが、私たちの活動や商品などから福島12市町村に興味を持っていただけると嬉しいです。
■立命館大学文学部 チャレンジふくしま塾・おおくまハチドリプロジェクト
立命館大学文学部の五十嵐 佳さんにお話いただきました。

北海道出身で高校までは北海道で過ごし、現在は京都市在住です。立命館大学では「チャレンジふくしま塾」という福島の「これまで」と「これから」に関心を寄せる学生たちが、福島や震災復興に関わる教員や専門家と学び、発信活動に取り組むプログラムを実施しています。
この「チャレンジふくしま塾」のなかで浜通り地域について広く学び、その後「教養ゼミナール」が行われています。福島、東北の復興から学ぶ、課題解決プロジェクトをテーマに原子力災害によって引き起こされた地域課題を解決する「課題解決型学習」を中心に、解のない課題に挑戦する人材の育成をめざすプログラムとして、2023年より実施しています。ちなみに私は両方に参加しています。
活動では帰還困難区域に入って視察をしたり、廃炉資料館でどのようことが起こったのかを学んだり、現地の教育施設を訪問したりと実際に現地へ赴いて学んでいます。
「チャレンジふくしま塾」で学んだ内容を行動に移したいと思い、 「おおくまハチドリプロジェクト」に参加しました。大熊町の人々が家族のように支えあっているのが印象的で、人とのつながりが魅力だという意見が出ました。その魅力を地域の方に再実感していただき、町外の方には「大熊町にはこんな魅力がある」ことを知っていただきたいと思い「大熊町写真館」の企画をしました。
住民から預かった写真を展示し、思い出や未来への想いを共有する場をつくり、大熊町の良さを実感してもらえるように目指しました。写真をきっかけに会話が生まれ、学生と住民の間に自然と交流が生まれ、大熊町の良さが伝わった時間になったのではないかと思います。
会場限定コンテンツ
①移住のホンネ ゆるっと先輩座談会

毎回会場でほとんどの方が参加される、ゲストにあれこれ聞ける座談会。福島県からは遠い大阪で、コーヒー片手に現地で実際に暮らすゲストの方とお話ができる貴重な機会となりました。
②ふくしま12 体験コンテンツラリー

福島12市町村のことを気軽に楽しく知ることができる「ふくしま12 体験コンテンツラリー」を実施しました。さまざまな会場コンテンツに参加して、チケットを集めた方には、近畿大学の学生が開発に参加した「かわまたジェラート」や「アンスリウムクッキー&ラスク」をプレゼントしました。
③移住の個別相談

「移住したいけど何から始めたらいいんだろう?」と思ったとき、気軽に相談ができると安心。ここでは、小さな悩みから、何でも聞くことができます。参加者にとっては移住の一歩を踏み出す時間になったのではないでしょうか。
④ぺんナツちょい寄りカフェ

今回からの初企画!セミナーの司会である、よしもと福島県住みます芸人「ぺんぎんナッツ」のお二人と福島12市町村についての話が聞けるカフェがオープンしました。12市町村にまつわるダウトゲームなどもあり、楽しみながら現地を知ることができる時間となりました。
お帰りの際には、浪江町のえごまを使用したお菓子「えごまる」をお土産でお渡ししました。つぶつぶとしたエゴマとサクッとした触感のチーズクッキーの相性がたまらない懐かしくも新しいスイーツに喜んでいただきました。
福島県から700km以上離れた大阪の地で、福島12市町村をお話しからも”食”からも体験していただき、会場からは真剣な相談の声から笑い声まで盛り上がりを見せるなか、、vol.22未来みらいワークふくしま移住セミナーは終了しました。
令和7年度のセミナー情報は下記の特設サイトよりご確認いただけます。
https://mirai-work.life/lp/seminar2025/
