【移住体験ツアーレポートin大熊町&双葉町】ふくしまの笑顔とあなたの未来を重ねる旅

2025年12月13日(土)〜14日(日)に、大熊町と双葉町を巡る移住体験ツアー「ふくしまの笑顔とあなたの未来を重ねる旅in大熊町&双葉町」が開催されました。この記事では、双葉町を訪問した2日目の様子をご紹介します。
町の歴史と復興への歩みを知る
ツアー2日目は、東日本大震災・原子力災害伝承館からスタート。世界でも類を見ない複合災害の記録と教訓を伝え、防災や復興に役立てることを目的に、2020年に開館した県立の施設です。一行はシアター鑑賞や館内展示の見学、地域の方による語り部講話に参加。震災前の暮らしや復興の過程を知り、町の歴史の一部である震災と原子力災害への理解を深めました。

オンリーワンの工法で作る撚糸生産工場を見学
続いて、岐阜県に本社を置く浅野撚糸株式会社(以下、浅野撚糸)の大規模撚糸工場「フタバスーパーゼロミル」を訪問。工場がある中野地区は、双葉町が復興産業拠点として整備しているエリアです。2025年12月現在、浅野撚糸を含む25社が立地協定を締結、20社が操業を開始し、多くの雇用を生んでいます。

2023年4月に稼働開始したフタバスーパーゼロミルでは、復興・学び・産業観光を目的とした見学ルートを設けています。一行は、同社の歩みや、一般的な綿糸と水溶性の糸を組み合わせた世界初の特許技術撚糸、SUPER ZERO®の生産工場、事務所の様子などを見学しました。

見学後は直営のタオルショップでお買い物。SUPER ZERO®を織り込んだ吸水性と即乾性に優れた高機能タオル「エアーかおる」をはじめとした商品が並び、手ざわりを感じながら買い物を楽しみました。

地元食材を使用したランチを堪能
ランチは、フタバスーパーゼロミル併設のKEY’S CAFE 福島双葉店でいただきました。このカフェは、若い年代から経営感覚を身につけられるよう、浅野撚糸の10代〜20代の若手社員のみで運営されています。仕入れからメニュー開発まで社員が直接関わり、地元食材を使ったメニューも充実。この日は、お隣の浪江町・請戸漁港で水揚げされたしらすをたっぷり使ったパスタを味わったほか、福島県産の桃やりんごを使ったスイーツを楽しみました。

暮らしのイメージを広げる町内見学
ランチの後は、双葉町移住定住相談センターの移住相談員・齊藤泰道さんの案内で、2024年12月にオープンしたお試し住宅を見学しました。2階建て・4LDKで、最大4泊5日、大人4名と幼児2名までが無料で利用できます。

「1階のキッチンには家電や食器を準備しており、JR双葉駅前のイオンで食材を購入して調理することもできます。布団などの寝具は利用のたびにレンタルしており、安心して使っていただけます」(齊藤さん)

双葉町のお試し住宅については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
>ここにしかないものを探す暮らしを体験できる「双葉町お試し住宅」
続いてJR双葉駅方面に移動し、生活環境や交流拠点などを見て回りました。
双葉駅西口にある公営の駅西住宅は、玄関が向かい合う路地や土間玄関のあるつくりが特徴。エリア内には集会所があり、帰還者と移住者の自然な交流が生まれるよう設計されています。この住環境に魅力を感じて移住を決断する方も多く、完成以来ほぼ空きがない状態が続いています。


続いて、駅の東口エリアへ移動すると、ひときわ目を引く青い壁画の建物が一行の目の前に現れました。この建物にある地域交流拠点FUTAHOME(ふたほめ)は、1階がチャレンジショップで2階がコワーキングスペース。チャレンジショップには調理器具や食器類が準備してあり、昼はカフェ、夜は居酒屋、さらに本の販売や鍼灸など、日替わりでさまざまなお店が入り、町ににぎわいを呼ぶ拠点となっています。

FUTAHOMEの東隣には、双葉町移住定住相談センターがあります。ここでは、移住相談に訪れる方を迎えるほか、お茶の教室なども開かれています。

双葉町移住定住相談センターについては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
>移住も起業も。新しい暮らしのスタートを応援する「双葉町移住定住相談センター」
移住者との交流から見えてきた、双葉町・大熊町
この日の最後は、双葉町産業交流センターにて、1日目に訪ねた大熊町と2町合同の移住者交流会です。はじめに双葉町役場の菅原智美さんが、町の概要や生活環境、移住支援制度について説明。2026年にはシェアオフィス、宿泊施設、福祉交流施設の整備が進められるほか、2028年4月の開校を目標に、認定こども園と義務教育学校を一体化し国際的な教育環境も整えた新しい教育施設の整備も進めていることなどを紹介しました。
菅原さんご自身も、約2年前に東京から家族で移住。初めて双葉町を訪れたとき、人の気配がなく空き地が広がる景色に怖さを感じたといいますが、わずか3年でここまで人の暮らしが戻るとは想像していなかったと語ります。

「双葉町の魅力は、ゼロからまちが生まれていく瞬間に立ち合えること。ランチができるお店があることや、仕事帰りにスーパーでお惣菜を買えることなど、東京では当たり前だった日常が、ここでは一つひとつ大きな喜びとして感じられます。目まぐるしいスピードでにぎわいを取り戻している双葉町を一緒につくる仲間になっていただけたらうれしいです」(菅原さん)
次に、一般社団法人おおくままちづくり公社の小口喜久さんから、大熊町移住定住支援センターのポータルサイトの紹介と、町の概要や生活環境、移住支援制度について説明。働く環境についても紹介がありました。

「町内の求人情報を掲載する無料職業紹介サイト『クマジョブ』を作り、現在70件を超える多様な求人を紹介しています。就職後のミスマッチを防ぐため、興味のある仕事があれば、まずクマジョブの担当者が面談を行い、希望や適性をていねいに聞いたうえで、納得してからエントリーしてもらう仕組みです。また、町に関わる方や先輩移住者の想いを伝える記事を『おおくまStyle』というサイトに掲載しています。さまざまな人の言葉に触れ、この町が自分に合っているかどうかを考えるきっかけにしてもらえたらと思います」(小口さん)
続いて、各町の先輩移住者が、移住のきっかけや生活について語りました。
双葉町内を案内してくれた齊藤泰道さんは、2019年に千葉県八千代市からいわき市へ移住し、2024年から双葉町に住んでいます。

「双葉町は、海や山といった自然が豊かで景色がきれいです。町民の皆さんが仲よしで、移住してきた人も帰還した人も分け隔てなく交流しています。みんなでにぎやかに過ごすことも、人と程よい距離を保ちながら静かに暮らすことも、両方選べるのが双葉町のよさです」(斎藤さん)
千葉県君津市から双葉町に移住した室田美々(むろた・みみ)さんは、2020年のJR常磐線全線再開通をきっかけに、初めて双葉駅に降り立ちました。「これから町がどのように変わっていくのだろう」と興味をもち、2024年に移住。まちづくりに関わりたいという想いからFUTAHOMEのスタッフをしており、ご自身も1階のチャレンジショップで本屋を開いています。

「双葉町で暮らしてよかったことは、コミュニケーションが活発で、いろいろな活動を皆さんとともにできること。ご近所の仲間とお弁当を持ち寄って外で食べたり、畑で育てた野菜の収穫を地域の子どもたちと楽しんだりしています」と室田さん。帰還した町民の方々の想いを聞くことを常に大事にしているそうで、自宅が帰還困難区域内にあり帰れない方や高齢の方が穏やかに笑顔で過ごせる活動をしていきたいと語りました。
続いては、千葉県浦安市から2023年に大熊町に移住した山口真緒さん。大学在学中、農業インターンへの参加をきっかけに初めて大熊町を訪れ、地方創生・地域活性・地方移住に関わるイベントを企画制作する株式会社Oriaiへの入社と同時に大熊町へ移住しました。現在は「学び舎 ゆめの森」での探究学習のサポートや大熊町のお土産カプセルトイ開発、農業インターンや飲食店の運営などをしています。

「大熊町は若い移住者が多いのですが、町民の皆さんはフレンドリーに受け入れてくださいます。町民の挑戦を最大10万円まで支援する「おおくまチャレンジ応援プログラム」に友人が応募した際も、多くの方が協力してくれました。個々のやりたいことに寛容で協力的な町の雰囲気が、とてもいいなと思っています。私は復興のために移住したのではなく、自分が楽しいと思える仕事があるから大熊町で暮らしています。同世代の友人と恋愛の話をしたり、孫でもない私を夕食に招いてくれるおばあちゃんがいたりと、町民の皆さんとの日常的な交流も楽しんでいます」(山口さん)
続いて、神奈川県横浜市から2年前に大熊町に移住した広川誠さん。大学卒業後、ツアーカメラマンとして同行した際に浜通り地方を訪れ、人との出会いや交流に魅力を感じ、大熊町に移住しました。平日は一般社団法人おおくままちづくり公社で復興支援員として勤務、土日はカメラマンとして活動しています。

「地方は人口が少ない分、一人ひとりの出会いの機会が多く、会話の内容が自然と深まり、つながりが広がっていきます。何かイベントを企画する際に、経験の有無に関わらず『手伝いたい』と集まってくれる人が多いのも、大熊町の魅力だと思います」(広川さん)
その後は、登壇した4名の方や関係者が参加者のテーブルを順に回り、双葉町や大熊町での暮らしや移住について意見交換を行いました。参加者からは「生活用品や衣料品はどこで買うのですか」「娯楽はどうしていますか」といった具体的な質問が次々と飛び出し、和やかで活発な時間となりました。

まとめ
ツアー1日目は、大熊町の産業交流施設CREVAおおくまや、農と食をテーマにした複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」、お試し住宅などを見学しました。施設見学や移住者との交流を通じ、参加者の皆さんは福島12市町村での暮らしを、少しずつ身近なものとして思い描いていったようです。
ふくしま12市町村移住支援センターでは、福島12市町村の魅力を体感できる移住体験ツアーを実施しています。「福島12市町村に興味がある」「移住の参考にしたい」という方は、ぜひツアーやイベントに参加してみてください。
移住体験ツアーやイベントはこちらのページでご紹介しています。
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※内容や所属は取材当時のものです
文:はしもとあや
撮影:古関マナミ