【移住セミナーレポート】vol.20「おひとりでも、ご家族でも 自分らしい暮らしが見つかるふくしま12」(仙台開催)

セミナー概要
ふくしま12市町村移住支援センターが主催する「未来ワークふくしま移住セミナー」は、福島12市町村で暮らすことの魅力や、チャレンジの場としての可能性をお伝えするセミナーです。令和7年度2回目のセミナーは、2025年9月6日(土)、仙台にてvol.20「おひとりでも、ご家族でも 自分らしい暮らしが見つかるふくしま12」を開催しました。
当日の様子を動画でもご覧いただけます
ゲストによる活動紹介
小田 雅己さん
(富岡町/富岡ワイナリーレストランスタッフ)
出身は岩手ですが、中学から仙台で暮らしていたので、ほぼ仙台人です。飲食業一筋で働いてきましたが、去年の10月に退職して「何か新しいことをしてみたいなあ」と思い、移住体験ツアーに参加したのをきっかけに移住しました。
そのツアーで訪れた富岡町に惹かれて今年4月に移住し、いまは今年5月にグランドオープンしたとみおかワイナリーのレストランで働いています。
住まいは隣町の大熊町です。移住してよかったことは、毎日がキャンプ場で起きた時の朝みたいに、鳥や虫の声が聞こえてすがすがしい朝を迎えられることです。休日にはすごく眺めのいい海沿いをドライブしたりもします。逆に移住して困ったことは、自分自身はあまりないのですが、妻は虫が多いことや、仙台よりも物価が少し高めなことがあるようです。でも町の支援制度(プレミアム商品券など)もあって、生活費を抑える工夫もできます。
妻と軽い気持ちで「移住ツアーに参加してみる?」と行ってみたら何か新しいことをやるのに面白そうな地域だなと思い、12市町村に興味がわきました。
そして「引っ越してみる?」と話がとんとんと進み移住しました。フットワーク軽く来ましたが、不自由なく暮らせています。みなさんももし興味があれば、試してみてはどうでしょうか。
小山 加奈さん
(川俣町/ものづくり活動家 /フォトグラファー)
福島県須賀川市出身で、川俣町に移住して4年目になります。以前は飲料メーカーで20年働いていましたが、写真活動をきっかけにそれまで出会ったことがない方々に出会って、伝統工芸の世界とつながり、木桶や竹細工を始めました。
移住のきっかけは、全国でも数少ない木桶職人の鴫原さんとの出会いです。会社を辞めて、写真と木桶とほうきを生業にして生きていこうと決意したタイミングで、川俣町の木桶職人と出会い、川俣町に通うようになりました。
そこでこの木桶に関する技術と伝統が途絶えそうになっていたので、残し続けたいと思ったことと、震災後に使われなくなった農地でほうきの材料である「ホウキモロコシ」を育てて農地を活用できればという考えがありました。
ですが何より川俣町に通うことで知り合いがたくさんできて、まちの雰囲気や環境が木桶とほうきづくりの活動にとても良いなと思いました。
そして川俣町で起業型の地域おこし協力隊の募集がちょうどあったので、川俣町に移住しました。今年4月に任期満了しまして、今はものづくり活動家「ぬん」という屋号で川俣町と須賀川市の二拠点で、ものづくりや写真を通して「ものと人」「人と人」をつなぐ活動をしています。
実際に移住してよかったことは、木桶とほうきを作り続けるにはベストな環境であったことです。地域の人たちからも支えられて、自然と便利さのバランスがちょうどよくて、とても暮らしやすい場所だなと感じています。
一方で、カフェや外食できるお店が限られていたり、鉄道が通っていないという点はあります。ただその分、落ち着いた環境で暮らせているので大きなマイナスではなく、工夫をして楽しんで暮らしています。
仕事だけでなく、まちの行事を手伝ったり、仲間たちとワクワクするイベントの企画を立てたり、休日は近所の自然の中でリフレッシュしたり、愛する猫たちとのんびりまったり過ごすのも至福の時です。
移住に完全な準備は必要ないと思います。自分に合った暮らしは、人や地域との出会いのなかで自然に見つかっていくのかなと思っています。
まずは「移住してみたいな」というまちに気軽に訪れてみると、自分らしい暮らしのヒントが見つかると思います。
小南 理香さん
(南相馬市/みなみそうま移住相談窓口「よりみち」 代表)
奈良県出身で、今は南相馬市で移住相談窓口の代表を務めています。私が移住したきっかけは、大学生の時に福島へボランティアとして何度も来ていたことです。
福島は食べ物も美味しくて、人もあたたかいし、遊びに行く場所としてちょうどいい場所だなと思っていました。
大学卒業後は東京で民間企業に就職し働いていたのですが、休日や仕事で行き詰ったときは、終電に乗って福島に遊びに行くような生活をするなかで、将来、なんとなく福島に住んでみたいなと思うようになりました。
また現地で出会った人が面白い方々で、新しいことにチャレンジする姿がキラキラしているように見えて、私もそのようなまちに住みたいなと思いました。
今の仕事もそこで出会った方からの紹介になります。
移住をしてよかった点は、南相馬は海が近くて空が広く、雪もほとんど降らなくて気候も穏やかなところです。東京や仙台にも電車一本で行ける便利さや、千年以上続く「相馬野馬追」というお祭りがあり、その影響で馬を飼っている一般家庭がたくさんあったりします。またサーフィンも世界大会が行われるくらいいい波が来る海岸があります。
若手起業家が多く、ロボットや宇宙航空関係の企業や、スタートアップやベンチャー企業も増えてきています。移住者が多くて地域が「チャレンジ」を応援してくれる雰囲気があったことも、移住の決め手の一つです。
「野菜作りをやってみたい」と言えば農家さんが教えてくれたり、それを地元のマルシェで販売したり、「ラーメン食べたい」と言えば仲間が集まって12時間かけて自作したこともあります。
「叶えたい夢」がある方には、やりたいことを実現できるフィールドがここにはあるので、南相馬に来ていただけたら嬉しいです。
ゲスト✕ぺんぎんナッツ トークセッション

「移住して大変だったことはありますか?」
セミナータイトルでもある「おひとりでも!ご家族でも!自分らしい暮らしが見つかるふくしま12」をテーマにしたトークセッションでは、3人のゲストがそれぞれの移住のきっかけや、暮らしの中で感じたギャップ、そして「自分らしい暮らし」について語ってくださいました。
小田さんは、仙台から移住してまだ5ヶ月の“ほやほや”移住者。きっかけは「新しい環境で何かやってみたい」という軽い気持ちだったそうです。移住ツアーに参加したことで富岡町のワイナリーに出会い、現在はレストラン勤務。奥様と一緒に移住し、休日にはゴルフを楽しむなど、趣味も共有できる環境に満足されているご様子。
「病院が少ないのは課題だけど、仙台まで通える距離だし、意外と近い」と、生活の不便さも工夫で乗り越えられています。「自然に人間が負けてる感じがして、ホッとする」と話す姿からは、移住先での穏やかな日常が垣間見えました。

小山さんは、川俣町で木桶や箒づくりを続けるものづくり活動家。移住のきっかけは、桶職人との出会いと「やりたいことに集中できる環境がそこにあったから」。地域おこし協力隊としての活動を経て、今では作業場と自宅を持ち、猫2匹との暮らしを楽しんでいます。
「近所付き合いが思ったより濃い」と語りながらも、地域の人々との自然な関わりに喜びを感じている様子。「最初は頼ってばかりだったけど、今は協力できるようになった」と、地域に馴染んでいく過程を振り返りました。
小南さんは、「転職と引っ越しをした感覚に近い」と語り、コロナ禍をきっかけに移住を決意したとのこと。今は、畑づくりにも挑戦中。最初はシェアハウスで同僚と暮らしながら生活をスタートさせたそうです。
「方言がわからなかったけど、1年経って聞き取れるようになった時に、浜通りに馴染んできたと感じた」と、地域との距離が縮まった瞬間を振り返りました。自分で育てた野菜を食べる暮らしは、東京では考えられなかった豊かさだといいます。
「移住をして大変だったこと」を質問したのですが、「そんなに大変ではなかった」と皆さんは口をそろえて言われます。都会の便利さはなくなってみると、なくても大丈夫だったことに気づいたという方が多いようです。

「移住をして感じたギャップはありますか?」
後半のトークでは、移住の前後で想像していたことと違うことがあったか、ギャップについてお聞きしました。
小山さんは「もっとひとりでひっそり暮らすと思っていたけど、親戚に囲まれて住んでるみたい」と、地域の人との距離の近さに驚きつつも、温かさを感じていると話します。草刈りや畑の世話など、自然と助け合いが生まれる環境に感謝をされていました。
小南さんは「移住してから、古民家カフェや角打ちバーがどんどん増えている」と、地域の変化を実感。「新しいお店ができる瞬間に立ち会えるのが楽しい」と語り、福島12市町村の発展力の高さを実感されていました。
「これから移住される方へメッセージ」

最後に、これから移住を考えている方へのメッセージをいただきました。
小田さんは「移住体験ツアーが安価で参加できるので、まずは参加して現地へ行ってみると見えてくるものがあると思う」と、現地体験の大切さを語ります。
小山さんは「『行ったらなんとかなるさ』精神で、まずは気になった場所に行ってみて」と背中を押します。「ふらっと行っても、みんなが助けてくれる」と、まずは気軽に現地へ足を運ぶことがお勧めと言われます。
小南さんは「やりたいことや困っていることを声に出してみると、誰かが手を差し伸べてくれる」と語り、まずは声をあげてみることがよいのではと言われていました。
移住の形は人それぞれですが、福島12市町村には「やってみたい」を応援してくれる人がいて、自然とともにマイペースに暮らす豊かさがある。そんな魅力が、ゲストの言葉から伝わってきました。
会場限定コンテンツ
①移住のホンネ ゆるっと先輩座談会

「福島12市町村での暮らしは実際どう?」「どうして移住を決めたの?」といった疑問に対し、ゲストが、本音で答える座談会を実施しました。毎回大好評のこの企画ですが、今回も各ゲストならではの現地の魅力やリアルな暮らしの様子を直接聞くことができ、熱心に質問される姿が目立ちました。
②移住相談ブース・起業相談ブース・移住サポーターガイドツアー相談ブース

仙台は比較的、福島12市町村に近いため、福島へ行ったことがある方も多くいらっしゃいました。質問では「仕事」に関してが多く、ふくしま12市町村移住支援センターで行っている無料のキャリアアドバイザー相談をご案内したり、なかには具体的に農業について詳しく聞きたいという方もいらしゃり、さまざまな質問が寄せられました。
③福島12市町村暮らし発見ギャラリー

福島県浜通りの12市町村の暮らしを紹介するパネル展示では、夏の風景や冬の暮らしなど、四季折々の年間の写真や地域情報を通して、実際の生活をイメージしやすいようにと準備しました。今回はダイナミックな大型LEDビジョンで展示し、多くの方が立ち止まってご覧になっていました。
④福島12市町村 あみだくじマッチ
移住に関する質問に答えると、12市町村のなかで自分に合ったまちが見つかる「あみだくじマッチ」も実施し、マッチした市町村のオリジナルステッカーを配布しました。一緒に参加された方同士でも、当たったステッカーがそれぞれ違うので参加者同士の会話のきっかけにもなっていたようです。自然と地域への愛着も高まるきっかけになりました。
お帰りの際には、参加者には原ノ町で愛される「亀屋菓子店の野馬追の里」をおみやげに。
また、今回のセミナー参加者限定で40名に抽選で当たる「騎馬武者ロックフェス2025×ふくしま12移住フェス」ご招待券のプレゼントもありました。
笑顔と熱気あふれる会場となり、vol.20みらいワークふくしま移住セミナー「おひとりでも、ご家族でも 自分らしい暮らしが見つかるふくしま12」は幕を閉じました。
令和7年度は、11/22東京、1/17大阪、2/21東京でも開催します。
すべて会場とオンライン配信のハイブリッド開催です。
どうぞお気軽にお申込みください!
最新のイベント情報は下記の特設サイトよりご確認ください。
https://mirai-work.life/lp/seminar2025/
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
