生活・その他

読書や休息、勉強など過ごし方いろいろ!ふくしま12市町村の図書館施設まとめ

2024年7月16日

本を読んだり借りたりするだけでなく、仕事や勉強、情報収集の場にもなるまちの図書館。福島12市町村にある図書館では、どんな過ごし方ができるのでしょうか。建物の大きさも、蔵書の数も図書館によりさまざまです。独立した図書館だけでなく、コミュニティセンターなどで運営している図書室なども合わせて、福島12市町村の図書館事情をまとめました。

目次

南相馬市:中央図書館、小高図書館、鹿島図書館

天井が高く光がたっぷり入り、居心地が良い空間(写真=南相馬市提供)

福島12市町村で人口が最も多い南相馬市には、3つの図書館があります。原町区にある中央図書館は蔵書数約34万冊で、コミックや雑誌類も充実。CDやDVD、絵画やおもちゃの貸し出しも行われています。企画展を開催することが多く、季節や時事にあわせた企画展や新書の棚など、さまざまな本との出会いが楽しめます。ピアノコンサートや映画上映会といったイベントが開催されることもあり、本だけではなく、多くの文化に触れる機会があります。
館内にある「こども図書館」には、読み聞かせを行う「おはなしの蔵」があり、毎週末、司書による読み聞かせが行われています。一般書コーナーとは大きな廊下を挟んで位置するため、親子のおしゃべりも気兼ねなくできるようになっています。靴を脱いで遊べるスペースもあり、赤ちゃん連れの利用もしやすいことが特徴です。週に4日は、移動図書館が市内の保育施設や団地などを巡回。司書が場所に合わせて本をセレクトしており、市民からも好評です。

自分で本を選びやすいよう、表紙が見えるような配架も多い子ども図書館(写真=南相馬市提供)

小高区、鹿島区にもそれぞれ図書館があります。中央図書館よりも規模は小さいですが、絵本コーナーがあり、コミックなど一般書以外の書籍も置いています。

市内には図書館のほかに、「小高パイオニアヴィレッジ」などのコワーキングスペースや、アート展示のある「おれたちの伝承館」などにも、各施設やテーマにまつわる蔵書があります。

所在地(中央図書館):〒975-0004 福島県南相馬市原町区旭町2丁目7−1
開館時間:9:30~20:00※土日は17:00閉館
休館日:月曜
HP:https://www.city.minamisoma.lg.jp/portal/culture/chuotoshokan/index.html

田村市:本館と4分館

田村市の図書館は、船引町にある本館に加え、滝根町、大越町、都路町、常葉町それぞれに1つずつ、計4つの分館があります。分館は、旧町村合併(※)前は各町の図書室として運営されていました。
(※) 田村市は、田村郡滝根町、大越町、都路村、常葉町、船引町の旧5町村が合併して発足。

本館は2階建てで、約10万冊の蔵書がある市内で一番大きな図書館施設です。そのうち約4割は児童書で、毎月第1・第3金曜日には、乳幼児の親子を対象にした「ひだまり おはなし会」を開催。子どもたちがさまざまな本と出会える工夫に加え、子育てにまつわる本も多く置かれています。中高生の進路や職業の選択に役立ちそうな書籍を集めたヤングアダルトコーナーもあります。また、農家が多い地域のため、家庭菜園などの実用書が充実。田村市の歴史に関する郷土資料や、地域の広報誌なども棚に並びます。

一般書籍のほかに、雑誌やコミックも充実。新聞は7紙置いているため、地元紙だけでなく全国紙や経済新聞を読み比べることができ、偏りなく情報収集できる環境がつくられています。

本館と4つの分館は連携しており、本館の蔵書を分館で貸し借りすることも可能。また、滝根町にある「三世代ふれあい交流館」には図書学習室があり、児童書の蔵書があります。

所在地(本館):〒963-4312 福島県田村市船引町船引字扇田19番地
開館時間:平日10:00~19:00※土日祝日は17:00まで
休館日:月曜、年末年始、特別整理期間
HP:https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/31/

浪江町:図書館(ふれあい交流センターなみえ内)

複合施設「ふれあい交流センターなみえ」の中にある、浪江町図書館。交流スペースと一続きにある図書館は解放感があり、入り口で靴を脱ぎ入館するためリラックスして過ごせます。

蔵書の数は約3万冊。ジャンルごとの書籍の量は多くないものの、文芸書から実用書まで、さまざまな本が楽しめます。雑誌やCD・DVDなど、一般書籍以外も充実しています。木曜日は20時まで開館しており、仕事終わりに立ち寄る方も多いようです。

児童書コーナーにはじゅうたんが敷かれたスペースもあり、まだ歩けない小さな子どもも、のびのびと本に触れられます。表紙が見える棚も多く、子どもだけでも絵本を手に取りやすい造りです。ベビーカーは持ち込みも可能。図書館の絵本は、交流センターに隣接する屋内アスレチック施設「ふれあい元気パーク」にも置いてあり、遊びの中で本を読むこともできます。

所在地:〒979-1521 福島県双葉郡浪江町権現堂矢沢町40−1
開館時間:9:30~18:00※木曜日のみ20:00閉館
休館日:月曜、祝日、第3日曜、月末(図書館整備日)、年末年始
HP:https://www.town.namie.fukushima.jp/soshiki/35/30878.html

富岡町:図書館(富岡町文化交流センター内)

富岡町図書館は、富岡町文化交流センター「学びの森」内にあります。窓の外には木々の緑が広がり、本を読むだけでなく、ここで過ごす気持ちよさに惹かれて足を運ぶ利用者も多いようです。カウンターを挟んで一般書コーナーと児童書コーナーに分かれていますが、全体としては一つの空間になっています。本を借りるための利用者登録は、双葉郡内在住・在勤・通学者であればどなたでも可能です。

児童書コーナーには、0歳児~小学生向けの本がまとまっています。毎月読み聞かせが開催される「おはなし会」の部屋は扉つきで、集中して物語の世界を楽しむことができそうです。

蔵書の数は約10万冊。なかでも、原子力に関する図書を多く蔵書しているのが特徴です。司書の方は、原子力発電や原発事故による環境や健康への影響などについて情報の正確性を調べ、さまざまな意見に触れられるよう心がけて選書しているそうです。そのセレクトを目的に、わざわざ遠方から来館する研究者もいるのだとか。

CDやDVDの貸出も行っています。懐かしいものから最近のものまで、さまざまな作品が揃い、人気を集めています。「みんなde映画会」という月に1度の映画上映会も実施しており、さまざまな作品に触れる機会がつくられています。

所在地:〒979-1151 福島県双葉郡富岡町本岡王塚622-1
開館時間:平日 10:00~18:00、土日祝 9:00~17:00
休館日:月曜
HP:https://www.manamori.jp/library/index.html

川俣町:図書室(川俣町中央公民館内)

川俣町の図書室は、川俣町中央公民館2階にあり、文芸書や児童書をメインに、約1万9,000冊を蔵書しています。おすすめの本は表紙が見えるように配架するなど、手に取りやすいよう工夫されています。閲覧机もあるので、ゆっくり過ごせます。子ども向けの本も多く、靴を脱いで読書を楽しめるスペースもあります。

館内では、半年に一度巡回し、蔵書を入れ替える福島県立図書館の移動図書館「あづま号」の本の貸し出しもあります。また、町内各地区の公民館にも図書室があります。中央公民館の図書室とは運営が異なるので、それぞれの場所の本を楽しめます。

所在地:〒960-1463 福島県伊達郡川俣町樋ノ口11 川俣町中央公民館2階
開館時間:平日 10:00~18:00、土日祝 9:00~17:00
休館日:第3土曜、年末年始
HP:https://www.town.kawamata.lg.jp/site/chosei-shisetsu/toshositu.html

楢葉町:図書室(楢葉町コミュニティセンター内)

楢葉町コミュニティセンター内に図書室があります。図書室内の児童書室には絵本や児童書がまとめられており、親子で絵本を読むのにちょうど良いスペースです。センター内にはホールや料理実習室があるため、催しのついでに図書館に立ち寄る方もいるようです。

蔵書数は約3万冊。楢葉町にも、半年に一度のペースで福島県立図書館の移動図書館「あづま号」が巡回し、200~300冊の本の入れ替えが行われています。また、「みんなの交流館 ならはCANvas」にも小説や絵本があります。

所在地:〒979-0604 福島県双葉郡楢葉町大字北田字鐘突堂5-4 楢葉町コミュニティセンター内
TEL:0240-25-4730
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜、祝日、年末年始

広野町:図書室(広野町役場内)

広野町役場1階に入る広野町図書室(写真=広野町提供)

広野町の図書室は広野町役場の中にあり、一般書コーナーと児童図書室に分かれています。

蔵書の数は約3万冊。一般書コーナーには、日本文学の書籍が充実しています。児童図書室には、絵本や児童書、紙芝居などが並びます。靴を脱いで過ごせるスペースもあり、まだ歩けないお子さんでも過ごしやすそうです。また、室内ではDVDの視聴も可能です。

川俣町、楢葉町と同様、半年に一度、福島県立図書館の移動図書館「あづま号」が巡回しています。

所在地:〒979-0402 福島県双葉郡広野町大字下北迫字苗代替35
開館時間:9:00~17:00
休館日:火曜

飯舘村:絵本のかくれ家、図書コーナー(交流センターふれ愛館内)

飯舘村に図書室はありませんが、飯舘村交流センターふれ愛館に「絵本のかくれ家」と「図書コーナー」があります。「絵本のかくれ家」には約2,000冊の絵本や児童書があり、靴を脱いで親子でのんびりできるスペースも。本棚は低く設計されており、小さいお子さんでも自分で選んで絵本を楽しむことができます。「図書コーナー」には、文芸書や小説など約4,000冊の蔵書があります。雑誌や新聞も置いてあり、雑誌を借りていく利用者も多くいるそうです。

また、「飯舘村立までいの里のこども園」には月に一度、南相馬市の移動図書館が巡回しており、子どもたちはそこでも本に親しんでいるようです。道の駅に併設する「ふかや風の子広場」の遊び場にも絵本の蔵書があります。また、飯舘村在住者は南相馬市立図書館で利用者登録をして本を借りることも可能です。

所在地:〒960-1801 福島県相馬郡飯舘村草野大師堂17 飯舘村交流センターふれ愛館内
開館時間:8:30~17:15
休館日:土・日曜、祝日
HP:https://www.vill.iitate.fukushima.jp/site/fureaikan/3987.html

葛尾村:図書室(葛尾村村民会館内)

葛尾村の図書室は葛尾村村民会館の一室にあります。蔵書は児童書や絵本が多いほか、葛尾村の村史など、村に関する資料も多くあります。そのため、村民のほか、村の移住事業の一環であるアーティストインレジデンス(※)で滞在するアーティストなどが、村の歴史や文化に理解を深めるために利用する場面も増えています。
(※)アーティストが一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる文化環境で作品制作やリサーチ活動を行うこと。またはアーティストの滞在制作を支援する事業のこと。

蔵書数は約5,000冊で、村民でなくても借りられます。「貸出簿」に名前と電話番号を記入することで、約2週間借りることが可能です。

所在地:〒979-1602 福島県双葉郡葛尾村落合字落合16
開館時間:8:30~17:15
休館日:土・日曜、祝日

川内村:図書室(川内村コミュニティセンター内)

川内村の図書室は、川内村コミュニティセンター内にあります。読み聞かせができるスペースもあり、親子はここで絵本を読んだり、遊んだりして過ごせます。また、川内小中学園に併設されたコミュニティハウス「にじいろ」にも児童書や絵本などの蔵書があり、子どもたちはそこで本に親しむことも多いようです。

蔵書数は約7,000冊で、半年に一度、福島県立移動図書館「あづま号」が巡回しています。希望があれば1ヵ月ほど本を借りることもでき、自分のペースで読書を楽しむことができます。また、美しい自然に惹かれ川内村を度々訪ねたという詩人・草野心平の蔵書を収める「天山文庫」があるのも川内村ならでは。現在は、児童書を中心とした本を楽しむことができます。いつもと違う環境で読書するのは風情がありそうです。

所在地:〒979-1201 福島県双葉郡川内村上川内小山平15
開館時間:9:00~21:00
休館日:月曜

大熊町:図書コーナー(linkる大熊内)

(写真=linkる大熊提供)

大熊町には、町役場に隣接する「linkる大熊」に図書コーナーがあり、小説をはじめ、大熊町の歴史や震災後の歩みを伝える本のほか、人気のコミックがそろっています。また、地元新聞である福島民報・福島民友の2紙も、1週間分が閲覧可能。本の貸し出しはできませんが、閲覧用のデスクではリモートワークも可能です。隣接するキッズスペースには、絵本もあります。また、敷地内の「ほっと大熊」には月に1度、富岡町の移動図書館が巡回して本の貸し出しを行っています。

(写真=linkる大熊提供)

また、ビジネス拠点と地域の交流の場となっている「大熊インキュベーションセンター」でには暮らしやビジネスの専門書の閲覧が可能。また、図書館ではありませんが、町内には夕方から夜にかけて開店する「読書屋 息つぎ」という本屋もあります。ふらっと立ち寄って本を読んだり、眺めたりする過ごし方ができ、本のある空間を求める方が多く立ち寄っているようです。

双葉町:巡回図書館

双葉町に図書館施設はありませんが、大熊町と同様、富岡町の移動図書館が月に一度巡回しています。周辺町村の図書館は、在住・在勤者でなくとも本の貸し出しが可能なので本好きな方は足を運ぶケースが多いようです。

最後に

本を借りるための利用者登録は、図書施設のある市町村に住んでいなくても、通勤・通学していれば可能な場合もあります。また、福島県浜通り最大の都市・いわき市では、広野町、楢葉町、川内村、田村市滝根町の在住者も利用者登録が可能です。詳しくは、各施設へお問い合わせください。

読書以外にも、情報収集をしたり、イベントを楽しんだりすることができる図書館施設。ふらりと立ち寄るだけでも、その土地の空気を感じられることがあるものです。受付のスタッフがいる施設では、おすすめの本を紹介してもらうことも、地域との交流の一つの方法かもしれません。住んでいる人も、福島12市町村に立ち寄ってみたという人も、休憩ついでにまちの図書館施設を訪ねてみてはいかがでしょうか。

※内容は公開当時のものです
取材・文:蒔田志保 写真:蒔田志保、五十嵐秋音