「とみおか町民交流会」で移住者も地元住民もみんなで正月遊び
富岡町では、移住者と地元住民が交流する「とみおか町民交流会」を定期的に開いています。2024年1月7日には、お正月にちなんだ料理作りや餅つき、凧作りを行い、大人も子どもも楽しい時間を過ごしました。その様子をご紹介します。
2023年から定期的に開催
とみおか町民交流会(以下、交流会)は、富岡町の移住相談窓口「とみおかくらし情報館」の運営を担っている一般社団法人とみおかプラスが企画・運営しています。移住者の「地域の人と関わる機会がほしい」という声を受けて、2023年から定期的に開催することになりました。
1月7日にトータルサポートセンターとみおかで開かれた第3回目の交流会は、とみおかこども食堂実行委員会とのコラボ企画。同委員会のみなさんを含め、地元住民と移住者約30人が集まりました。大人の年代は20代~60代までさまざま。一人で来た人はもちろん、ご夫婦や子ども連れなど、多彩なメンバーがそろいました。
まずは、参加者同士で自己紹介です。現在住んでいる地区や仕事のこと、移住者であれば出身地の話など、質問をし合いながらお互いを知っていきます。
続いて、お雑煮を作るチームと、凧を作るチームに分かれてそれぞれの準備を進めます。子ども連れや、子どもと遊びたい人は凧作りチームへ。白い凧に、クレヨンやペンで思い思いの絵柄を描いていきます。どんな作品が出来上がるのでしょうか。
お雑煮チームはまず、具材を切る作業を進めます。普段あまり料理をしないという参加者も、具材の大きさの目安を教えてもらいながら包丁を握ります。ニンジンの皮の活用法や、家庭ごとのお雑煮の具材の違いなどで会話が盛り上がっていました。
大人も子どもも、力を合わせて凧揚げ、餅つき
凧の絵柄が出来上がった人から、裏にある空地に移動して凧揚げがスタートしました。この日は快晴で、ちょうど良い風が吹く絶好の”凧揚げ日和”。カラフルな凧が次々と空へ浮かび上がっていきます。子どもも、サポートする大人も大はしゃぎです。
走り回って疲れてきた頃、「餅つきが始まるよ」と凧作りチームを呼ぶ声が聞こえてきました。
ふかしたもち米が臼に載せられると、ぶわっと湯気が上がります。まずは、地域のベテランが杵を使ってぐいぐいともち米をつぶします。そのあとは、大人、子どもの順番で、「よいしょー」と掛け声をかけながら、餅をついていきます。
つやつやなお餅が出来上がり、いよいよお昼ご飯です。お雑煮の具材は鶏肉、ごぼう、ニンジン、三つ葉、かまぼこ。お餅はあんこときなこでいただきます。
シートの上でリラックスしながら、それぞれ車座になってお餅を味わいます。自分たちでついたお餅や調理したお雑煮はやはり格別。移住者と地域住民のグループは生活の情報交換で盛り上がり、お母さんたちは料理の話題に花を咲かせていました。
「仲良くなるきっかけになれば」
参加者のみなさんに、今回の交流会の感想を聞いてみました。
角田涼太さんは、2023年6月に埼玉県から富岡町に移住しました。職場は大熊町なので富岡町の人と関わることがあまりないことから、今回初めて交流会に参加したそうです。この日は、地元の方と生活の情報交換ができたのだそう。「移住するまで実家暮らしで、料理をほとんどしてきませんでした。今日はお雑煮作りで包丁の持ち方からアドバイスをもらえたので、これを機に料理をしてみようと思います。いまは冷凍食品が多いですが、料理ができれば生活費も抑えられるし、いいですよね」
町内のにこにここども園で保育士をしている泉田瞳さんは、お子さん2人とお父さんと参加。こども食堂の常連で、交流会への参加は初めてです。「こども食堂では同じメンバーになることが多いので、子どもが知らない大人とごはんを食べたり、話をしている様子が見られて成長を感じました」と話します。「親同士が仲良くなるにも、何かのきっかけが必要。親としてもそうですが、こども園で保育士をしていると、ママ・パパ同士が悩みを共有できる場が必要だと思います。移住してきた子育て中の方は、こういう場で友達づくりができれば楽になるんじゃないかな」
参加者もスタッフも、終始和やかな雰囲気の中で進められた交流会。はじめは少し距離が離れ気味だった参加者のみなさんも、協力して同じ作業を行い、ゆっくり食事をすることで、いつの間にか打ち解けていったようでした。
とみおかプラスでは今後も、地元住民も移住者も一緒に、大人も子どもも楽しめる交流会を予定しています。企画を担当している根本直哉さんは、「移住して終わりではなく、移住後も悩みや不安を相談してもらえる関係性でありたいと思っています。こうしたイベントを機に悩みを打ち明けてもらって移住者のサポートにつなげられたら」と話してくれました。
福島12市町村にはほかにも、気軽に参加できる地域交流会を開いている市町村が多くあります。知り合いがいない土地への移住でも、こうした機会があれば地域のコミュニティに入りやすくなります。福島12市町村への移住を考えている人は、各市町村の交流会の情報を探してみてはいかがでしょうか。
南相馬市の移住相談窓口「よりみち」が開催している地域交流会のレポートはこちら。
>https://mirai-work.life/magazine/7252/
■とみおかくらし情報館(富岡町移住相談窓口)
所在地:富岡町大字小浜字中央338
TEL:0240-23-6983
営業時間:10:00~17:00
HP:https://www.tomioka-iju.jp/
※所属や内容は取材当時のものです。
文・写真:五十嵐秋音