移住者インタビュー

好きを身近にしたくて楢葉町に移住。子どもたちは友達が増え、夢を見つけた

2023年12月12日
楢葉町
  • 移住
  • 子育て

・家族構成:父、娘(高校1年生)、息子(中学1年生)の3人暮らし
・移住後の住まい:楢葉町の町営住宅
・移住前の居住地:埼玉県川口市
・移住年月:2022年7月

趣味のキャンプを楽しめて温泉が身近にある楢葉町に惹かれ、埼玉県川口市から移住した小池さんファミリー。都会から離れた暮らしを楽しんでいます。父の悟さんは町内の運送会社で仕事をしていて、娘の優衣さんは電車でいわき市の平工業高校に、息子の奏太朗さんは楢葉中学校に通っています。奏太朗さんがよく遊びに行くというみんなの交流館ならはCANvas(以下、CANvas)で、移住後の暮らしや学校生活についてうかがいました。

楢葉中学校では模擬会社で経営を学べる

――移住のきっかけを教えてください。

悟さん 移住する4~5年前から年に4回ほど、家族で楢葉町の天神岬スポーツ公園へキャンプをしに来ていました。私はキャンプと温泉が好きで、いつかは身近で楽しめる場所に移住したいと考えていたんです。楢葉町と周辺地域にはキャンプ場が多く、天神岬温泉しおかぜ荘(以下、しおかぜ荘)と道の駅ならはなどの温泉があります。現在は別の仕事をしていますが、天神岬スポーツ公園には何度も足を運んでいたので支配人の方とも顔見知りで、公園の仕事を紹介してもらい、前職を退職したタイミングで移住を決めました。

――移住すると聞いた時、二人はどんな気持ちでしたか?

優衣さん 正直、はじめはあんまり乗り気ではありませんでした。友達とも離れちゃうし。

奏太朗さん お父さんがそう言うなら…というかんじでした。

――学校にはすぐ馴染めましたか?

優衣さん 転校してすぐに話しかけてもらえて、卒業した後の今も仲良しです。埼玉に住んでいた時は5クラスで190人ぐらい同級生がいましたが、楢葉中学校は同級生が1クラス16人しかいなくて、びっくりしました。もっと驚いたのは、男女関係なく初めて話す人からも下の名前で呼び捨てにされること(笑)高校でも同じなので、土地柄なんですかね。

奏太朗さん 転校してきた時、楢葉小学校の6年生は20人でした。人数が少ないから1ヵ月ぐらいで仲良くなれました。給食はおいしいし、人数が少ないからなのか川口市にいた頃より量が多いのもうれしいです。金曜日は麺メニューで、カレーうどんや塩ラーメンが出るのが楽しみです。川口市の小学校では教室で給食を食べていましたが、楢葉小学校ではホールに全校生徒が集まります。それで学年に関係なく友達ができました。仲の良い友達も多いので、今のほうが楽しいです。

優衣さん 給食は校内で作っているから、出来立てなんです。こっちにきて初めて食べたメニューは「ツナごはん」。シーチキンをお醤油やみりんで炊いた混ぜご飯で、おいしいよね。

悟さん 小、中学校は給食費が無料なので助かっています。

――楢葉中学校での学校生活はどうですか?

奏太朗さん 部活は卓球部とバドミントン部があり、卓球部を選びました。先輩とペアを組んでいて、いつも優しく教えてもらっています。

優衣さん 楢葉中学校では中学生が運営するNalys(ナリーズという模擬会社を授業の一環として設立していて、自分たちで商品を考え地域の企業と連携して販売しています。私たちは、町内でサツマイモを生産する福島しろはとファームとサツマイモを使ったハート形のパウンドケーキを開発して、文化祭と東京・日本橋にある福島県の物産館、日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテで販売しました。私が転校してきた時には商品が完成していましたが、販売方法を外部の方から指導してもらえたのは面白かったし、いい経験になりました。

――優衣さんは移住当時、中学3年生。進路はどのように決めましたか?

優衣さん 近くの高校はふたば未来学園しかないし、どんな学校があるのかわからなくて進路先は直前まで悩みましたが、先生が親身に相談に乗ってくれました。高校では専門知識を身に付けたいと考えていて、お父さんが工業高校出身だったこともあり、いわき市にある県立平工業高校の土木環境工学科に進学することにしました。

――通学時間はどのぐらいですか?

優衣さん 通学時間は1時間ぐらいで、同級生だと私が一番遠くから通学しているみたいです。家から最寄りの竜田駅までは歩いて10分で、常磐線に乗っていわき駅で降り、バスに乗り換えて学校に行きます。高校では、小学生の頃から憧れていた弓道部に入りました。帰宅は早くて午後8時、残って自主練をすると午後9時になることもあります。朝練がある日は6時19分発の始発で学校に行きます。電車に合わないと待ち時間が出てしまうので、いつも乗り遅れないように命がけで電車に乗っています。埼玉に住んでいた頃は長い時間電車を待ったことがなかったので、慣れるのにちょっと苦労しました。

CANvas、天神岬スポーツ公園…広い遊び場が魅力

――移住の準備はスムーズに進みましたか?

悟さん 最初の移住相談から実際の移住までは4ヵ月ほど。いざ移住となってからは3回足を運びました。1回目は移住相談窓口の担当者と面談して、2回目に入居できそうな町営住宅を案内してもらい、3回目に住む場所を決めました。子どもの転校手続きもスムーズでしたね。

――楢葉町での生活はいかがですか?

悟さん 静かで夜ぐっすり眠れるようになりました。奏太朗は小学生のころ、月1回ぐらいは体調を崩していましたが、移住してから丈夫になったような気がします。

奏太朗さん 移動は歩きか自転車で、部活も始まったので川口市にいた頃より運動量が増えたからかな。

悟さん 子育てをする環境としては、ゲームセンターとかではなく広くて遊べる場所が多いのは良いですね。町内でも顔見知りが多いので、安心感はあります。
普段の買い物は町内のブイチェーンネモトを利用しています。もともと魚屋さんだったようで、刺身がかなりおいしいです。ただ、水曜は定休日なので富岡町のさくらモールとみおかに行きます。特別な買い物がある時はいわき市のイオンモールいわき小名浜に行ったり、南相馬市の南相馬ジャスモールに行ったり。いわき市は生活圏内ですね。ただ、町内にある診療所は診療時間が短く不便ですね。間に合わない日は18時まで診察している広野町の馬場医院に行きます。

――奏太朗さんはどこで遊ぶことが多いですか?

奏太朗さん CANvasに集まって友達とゲームしていることが多いです。CANvasでは毎年ゲームの大会が開かれているので、今年は出場したいです。天神岬スポーツ公園にはポケモンGOのレアなポケモンがいるのでよく行きます。お正月には、天神岬スポーツ公園に友達だけで初日の出を見に行きました。

悟さん 天神岬スポーツ公園は子どもだけでも安心して行かせられる場所なんです。初日の出のときには炊き出しもあって、町外からも人が集まってくるんですよ。

――休日、家族で出かける時はどんなところに行きますか?

悟さん 基本的にそれぞれで過ごしていますが、しおかぜ荘には歩いても行ける距離なのでよく行きます。楢葉町の温泉は塩分含有量が多く、なめるとしょっぱいんです。しおかぜ荘よりも道の駅ならはのほうが塩分濃度が高くて、湯冷めしにくいし、あたたまります。外食する時は、ここなら笑店街のラーメン屋麺joyなごみ家や焼肉屋のならは亭によく行きます。

優衣さん なごみ家は味噌ラーメンが超おいしいです。

楢葉町にはあったかい人が多い

――家族と一緒に移住してくる子どもたちにどんなことを伝えたいですか?

優衣さん 楢葉町はあったかい人が多いです。先生との距離も近いし、中学校の校長先生なんてね、親戚のおじさんみたいなかんじでめっちゃフレンドリーなんですよ(笑)最初は乗り気じゃなかったとしても、住んでいると良いところがたくさん見つかります。

奏太朗さん みんなあたたかい人ばかりなので、すぐ仲良くなれます。

――これからチャレンジしてみたいことがあれば教えてください。

優衣さん 資格取得と、勉強と部活の両立を頑張りたいです。平工業高校の土木環境工学科ではOBの現場を見学させてもらえることが多くて、人の暮らしを支える橋や建物を作る現場で現場監督の仕事がしたいという夢が見つかりました。

奏太朗さん お父さんがやっていた柔道に挑戦してみたいです。お姉ちゃんと同じ平工業高校に進学して、柔道部に入りたいです。

悟さん これから家族でいろんなキャンプ場に行くのが楽しみです。

小池悟(さとる)さん、優衣(ゆい)さん、奏太朗(そうたろう) さん

悟さんは1974年生まれ。現在は楢葉町の運送会社に勤務している。優衣さんは中学3年生、奏太朗さんは小学6年生の時に埼玉県川口市から移住。優衣さんは平工業高校1年生で、弓道部に所属。奏太朗さんは楢葉中学校1年生で卓球部に入っている。

※所属や内容は取材当時のものです。
文・写真:五十嵐秋音