晴れでも雨でも子どもが遊べる施設が充実、浪江町の「道の駅なみえ」
小さな子どものいる家族、あるいは近い将来子どもを持つことを考えている世代にとって、移住先での子育て環境は外せないチェックポイントです。今回は、福島12市町村内の子育て応援施設のひとつとして、浪江町にある「道の駅なみえ」をご紹介します。子ども連れの来館者にやさしい数々の工夫とは?
施設運営を担う一般社団法人まちづくりなみえの企画・広報、山﨑篤只さんにご案内いただきました。
フードテラスにはキッズメニュー、畳敷きの小あがりも
道の駅なみえは、町内を東西・南北に走るメイン道路、国道114号と国道6号の交差点に位置しており、車で来場する場合のアクセスは抜群です。JR浪江駅からも徒歩で20分程度ですが、子ども連れの場合は呼ぶとすぐ来てくれるオンデマンドタクシー「なみえスマモビ」が便利でしょう。
メインエントランスに入ると、浪江町の公式キャラクター「うけどん」がお出迎え。その後ろには誰でも弾けるピアノが設置されていました。
物販エリアには、浪江産の野菜や海産物・各種加工品をはじめ豊富な産品が揃う「いろどり産直いなほ」と、かわいらしいパンが並ぶ「まちのパン屋さん ほのか」があります。買い物カートと並んでかわいい幼児用カートがありました(4台)。ハンドルやクラクションもついていてキッズに大人気だそうです。
奥のフードテラスには3店舗が入居し、麺類やカレー、丼もの、デザートなどを提供しています。どのお店にも子ども用カトラリーやとりわけ用の器が用意されていました。キッズ専用のメニューは、うどんセット、カレー、パンケーキの3種類。この日は、キッズカレーをおいしそうに食べているお子さんに写真撮影のご協力をいただきました。
フードテラスに幼児用チェアは用意されていますが、小さな子連れのときはやはり座敷があると楽なもの。そんなときに使えるのが、フードテラス手前にある談話コーナーです。畳敷きのスペースには、大きなテーブルと座椅子、幼児用チェアのほか、ちょっとしたおもちゃや絵本もあります。もちろん、ここでお食事してもOK。便利ですね。
たくさん遊べるラッキー公園とキッズルーム
子育て世代から見た道の駅なみえのポイントは、こうした充実の物販・飲食施設に加えて、屋外と屋内の両方に子どもの遊び場があることでしょう。
まず屋外は「ラッキー公園 in なみえまち」です。ふくしま応援ポケモンのラッキーをメインモチーフにした複合遊具が並び、子どもたちは大喜び。背後にある請戸川河畔の親水公園ともつながっており、広々とした空間で遊ぶことができます。
実はこの公園、ポケモンをモチーフにした公園としては全国初。2021年12月の開園当初は、「Pokémon GO」のゲームアプリとの連携が行われたため、「子どもたちよりポケモン探しに来た大人たちでいっぱいになるという想定外」(山﨑さん)もあったとか。いまでは想定通り、親子連れでにぎわっているそうです。
特大ラッキーの姿を見て大人でもテンションが上がりそうですから、ときどき「元気が良すぎて転んでしまったり、食べた直後に遊具に乗って気分が悪くなったりするお子さんもいらっしゃいます」(山﨑さん)とのこと。せっかくですから楽しく遊べるよう、少しだけ気をつけたいですね。
一方、雨の日でも遊べるのが屋内のキッズルームです。中からラッキー公園が見える位置にあり、10~17時まで予約不要で利用できます。重量制限がある遊具もありますが、クライミングウォールあり秘密基地のような滑り台あり、小学校低学年くらいまで十分楽しめそうな空間でした。
町民の声を反映した品ぞろえ
もうひとつ、道の駅なみえならではと言えるのが、テナントとして入居している無印良品の店舗で子ども用の服や靴を購入できることです。現在の浪江町内には食品スーパーやコンビニはあるものの、衣類や生活雑貨に関する買い物環境は整っているとはまだまだ言えません。そんななか、「子ども用の衣類がほしい」という町民の要望に応えて取り扱いを開始したそう。「基本的な生活用品は道の駅に来れば揃えることができます」(山﨑さん)。
最後に、忘れてはいけないのがトイレ回り。おむつ交換台を備えた個室は、多目的の「みんなのトイレ」が2か所、女子トイレの中にも1室あります。
エントランスで出迎えてくれた「うけどん」の斜め後ろには、おむつの自販機(福島県内の道の駅では初の設置とのこと)がありました。その向かいは授乳室です。流し台に湯わかしポットあり。個室にはカギがかかるので、赤ちゃんもお母さんも落ち着いて過ごせそうです。
進化する浪江町の活気を感じられる道の駅
道の駅なみえがグランドオープンした2021年3月は、ちょうど新型コロナウィルス感染拡大の真っ最中でした。開業直後、施設の運営にかなりの苦労があったことは想像に難くありません。しかし、コロナの収束とともに来場者数は右肩上がりで、いまや週末ともなれば駐車場がすぐ満車になるほど人気の施設に。「お子さん連れでゆっくり過ごしたい方は、やはり平日がおすすめ」(山﨑さん)とのことです。
開業当初から道の駅の広報を担当してきた山﨑さんは、ここ数年で浪江町の様子は大きく変わったと言います。
「活気が出てきましたね。道の駅には、お子さま連れはもちろん様々な方にご来館いただいていますが、最近は福島国際研究教育機構 (F-REI:エフレイ)をはじめ町内にいろいろな施設ができたことで、外国人のお客様もよく見かけるようになりました」
また、道の駅なみえでは児童・生徒の職場見学や職場体験も受け入れているそうです。
「2022年と2023年は、職業・社会体験施設キッザニアが運営する『Out of KidZania in ふくしま相双』というプログラムの受け入れ先となり、小中学生にパン作りや販売スタッフを体験してもらいました。また、町内のなみえ創生小学校・中学校からの見学や体験のご希望にも対応しています。こうした活動は生徒さんの数が多くないからこそ可能なことで、お子さんがそういう環境で教育を受けられることも、ここに暮らすメリットのひとつではないかと思います」
百聞は一見に如かず。進化を続ける浪江町を訪れて、ぜひ道の駅なみえの各施設を体感してみてください。
■道の駅なみえ
住所:浪江町大字幾世橋字知命寺60
TEL:0240-23-7121
URL:https://michinoeki-namie.jp/
営業時間:10:00~18:00 (キッズルームは17:00まで、その他店舗により異なります)
定休日:毎月最終水曜日(併設の「なみえの技・なりわい館」の大堀相馬焼コーナーは毎週火・水休)
駐車場:普通車103台
※所属や内容は取材当時のものです。
文:中川雅美(良文工房) 写真:中村幸稚