事業紹介

【企業紹介】玄武岩原料のサステナブルな断熱材で世界的シェアを誇る企業が富岡町に進出

2023年10月6日
ROCKWOOL Japan合同会社 COO(最高執行責任者)
イアン・ラッセル 氏
イギリス出身。2010年にROCKWOOLに入り、アジア圏のコマーシャルディレクターやインドでの工場の立ち上げ、日本を含むグローバルなエリアでの船舶&オフショア事業などに関わる。2021年6月より現職。

玄武岩から製造され断熱材などとして多く用いられる岩綿(がんめん/ストーンウール)。玄武岩から作られた岩綿は、他の素材から作られる断熱材に比べて高い断熱性や耐火性、遮音性をもち、建築物や船舶、自動車など、さまざまな分野で活用されている。また、その高い断熱性によりエネルギー効率を高めることでCO2削減が図れること、何度でも新しい岩綿にリサイクルできることなどから、地球環境保護の観点からも需要が高まっている。

この断熱材の製造で世界トップクラスのシェアを誇るデンマークのROCKWOOLグループの日本法人が、2021年、富岡町に本社兼工場を開設した。時代が要求するサステナブルなニーズに応えるその事業の展望について、COO(最高執行責任者)のイアン・ラッセル氏に話を聞いた。

譲受額の3倍の予算を投じ工場をアップグレード

現在ROCKWOOL社が富岡町で運営する工場は、もともとは別企業の岩綿(ストーンウール)製造工場だった。しかし2021年、経営悪化により工場が閉鎖。ROCKWOOL社が2021年8月に旧企業の事業を譲受した。東日本大震災以前にも浜通りを訪れたことがあり、この地域の美しさを知っていたというラッセル氏は、原発事故の影響を受けたこの地での操業について、「富岡町の状況をあまり知らないデンマークのスタッフからは不安の声もあったが、富岡町の放射線量の測定値が海外の他の地域と比較しても問題なかったこと、国や町も放射線に関する情報をオープンに知らせてくれたことが信頼感に繋がり、徐々にポジティブな意見に変わっていった」と振り返る。

事業譲受後は、譲受に要した費用の約3倍の資金を投入して工場のアップグレードを実施。グループが誇る独自技術を製品化できる機器の導入にも取り組み、ハイレベルな生産体制を構築した。さらに今後、倉庫など物流に関する設備もアップグレードしていく予定だという。生産力を高め、日本での需要が安定すれば、いずれは第2、第3の工場を建設するビジョンもあるという。

環境に配慮しつつ日本経済に刺激を与える仕事ができるはず

そうした企業活動の中で避けて通れないのが、雇用の確保だ。電気関連のエンジニアなど専門性が求められる分野での人材確保においては難しさを感じているというが、業界経験やスキルにおいてとりわけ高い縛りを設けてはおらず、広く門戸を広げている。

「ROCKWOOLはデンマークでは80年以上の歴史がありますが、日本ではまだ出来たばかりの新しい会社であり、広く知られているとは言えません。しかし、新しい会社だからこそ、今このタイミングで会社に参加してもらえれば、今後の会社を引っ張っていくリーダー的存在として活躍できると思います。ROCKWOOL 社で長くキャリアを作りたいと考える方にぜひ来て欲しいと考えています。」

ROCKWOOLグループは、ビジネスをローカルで積み上げることを一つのポリシーとしているという。本社のスタッフが常に滞在し経営を担うのではなく、現地のスタッフを育て、現地の感覚で運営することが、グループの理想的なスタイル。立ち上げが安定すればラッセル氏も今の立場を譲ることになるそうだ。そのためにも、組織の将来を担う若手スタッフの採用・育成は必須だという。

「ROCKWOOLグループはこれまで、一度拠点を置いた国からは撤退をしたことがありません。慎重に足場を固め、長く地域に投資をする会社です。日本での断熱材の需要の高さを考えれば、ROCKWOOLグループの日本市場への投資が止むことはないでしょう」とラッセル氏。環境に配慮しつつ日本の経済に刺激を与えるような仕事を提供したいと語った。

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■ROCKWOOL Japan合同会社
デンマークで創業した、80年以上歴史のあるROCKWOOLグループの日本法人。岩綿を用いた外壁用断熱材、空調システム用断熱材、船舶&オフショア用断熱材、産業用断熱材の市場で世界トップクラスのシェアを誇る。ヨーロッパ、北米、アジアの40ヵ国に51の製造施設を運営している。
〒979-1151 富岡町本岡字赤木100-22
https://www.rockwool.com/jp/

※所属や内容は取材当時のものです。
取材・文:髙橋晃浩