生活・その他

おもてなしの心をすべての人に 「宿泊業」で地域を発信するフタバ・ライフサポート

2023年9月25日
広野町
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双葉郡で2つのホテルを経営する株式会社フタバ・ライフサポート(以下、フタバ・ライフサポート)。双葉郡を仕事や観光で訪れる人たち、避難先から地元に戻ってくる人たち、どんな人にも「安心して安らげる場所」を提供しています。

同社の従業員の約半分は、福島県外や町外からの移住者です。未経験者も積極的に受け入れており、2023年9月現在はフロント担当とレストランの調理担当の正社員を募集しています。

浪江町出身の代表・志賀崇さんと、調理担当の井戸川祐綺(ゆうき)さんに、働く上で大切にしていることや仕事のやりがいなどをうかがいました。

誰もが安らげる場所を双葉郡に

広野町にある「温もりの宿 ホテル双葉邸(以下:双葉邸)」と浪江町にある「やすらぎの宿 双葉の杜(以下:双葉の杜)」の2つのホテルを経営するフタバ・ライフサポートは、2015年に宿泊業を開業。双葉郡に復興の仕事で訪れる人や、視察や観光で訪れる人、そして東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による避難指示で町外に避難している人たちが町に戻ってくる際の宿泊場所として、どんな人も「我が家のようにくつろげる空間」を目指しています。

最初に開業した双葉邸の主なお客様は、復興従事者のみなさんでした。志賀さんは「遠くから自分たちのふるさとのために働きに来てくれている人たちに、いわゆる『宿舎』ではなく、我が家のように安らげる場所を提供したいと思いました。ご飯だって、あたたかい、美味しいものを食べてもらいたい。それは、震災前からサービス業に携わる自分としては当たり前の思いでした」と話します。

双葉の杜は2020年7月、「道の駅なみえ」にほど近い場所にオープン。仕事や観光で訪れる人だけでなく、浪江町から避難し、震災から12年経ったいまも自宅に戻れない町の人たちが、「一時帰宅」という形で自宅の片付けやお墓参り、お祭りなどで町を訪れた際の宿泊場所としての役割も果たしています。

客室はすべての部屋に畳のスペースがあり、靴を脱いでリラックスできます。そこには、「我が家のようにくつろいでほしい」というおもてなしの心が表れているだけでなく、浪江町に戻ってくる人に年配者が多いことを考慮し、ふるさとでの時間をゆったり過ごしてほしいという思いも込められているのだそうです。

2023年9月現在、従業員はパートの方を含めて約50人。「目の前にいるお客様に喜んでもらうこと」を一番に考える志賀さんは折に触れ、その思いを従業員に伝える機会もつくっているそうです。「双葉郡には、復興事業で働きに来る人や町に一時帰宅する人など、地域特有のニーズもまだあります。従業員には、そのような現状を理解しながら、宿泊する人に合ったおもてなしを提供してほしい。そうしたモチベーションのある人と一緒に働きたいと思っています」

やりたいことに挑戦できる職場

フタバ・ライフサポートでは、ホテルでの宿泊だけでなく食事も楽しんでほしいと、宿泊者はもちろん、日帰りでも利用できるレストランやバーを併設しています。双葉の杜のレストラン「請戸の浜」では、地元の請戸漁港で水揚げされた魚介類を中心とした郷土料理を提供しています。

2023年4月に入社した調理担当の井戸川祐綺さんは、福島県新地町出身の20歳。別業種の仕事を経て、学生時代から抱いていた「自分のお店を持ちたい」という夢の第一歩を、ここ双葉の杜で踏み出しました。

「飲食の仕事は未経験でしたが、とにかく毎日が充実しています。和食が好きなので和食の技術を学ぶのはとても楽しいし、フレンチや洋食などさまざまなジャンルの料理の経験を積めるので、本当に勉強になります」と笑顔で話す井戸川さん。見たことのない大きな魚をおろすのに苦労したり、まかないで作った料理がレストランのメニューに昇格したりと、日々充実している様子。「上司は職人肌なので厳しいのですが、納得できる指導をしてもらっていますし、さまざまなことに挑戦させてもらえるのでありがたいです」

シェフ出身の志賀さんも、「井戸川さんが面接に来た時、自分の若い頃を見ているようと言いますか、目標に向かうひたむきでピュアな気持ちを応援したいと思いました。さまざまなジャンルの料理を提供する現場で、経験豊かな先輩たちから多くを学んでもらいたいですね」と見守ります。

地域や業務との相性も大切に

県外や町外から就職を希望する人たちとのマッチングも大切にしています。浪江町で暮らし、働くにあたっては、まだ生活インフラが整いきっていないのが現状です。コンビニやスーパーが早く閉まる、品ぞろえが少ない、店自体も少ないので買い物で遠出するためには車が必要など、町の復旧は進行形です。ただ、そういった状況であるからこそ、癒しや交流の場所として宿泊業や飲食業が必要とされている部分も大きいと思われます。

「移住して就職先を決める、というのは非常に大きな決断です。地域の現状も理解する必要がありますし、会社や業務自体との相性もあります。ですので、すぐに就職先として決めるのではなく、ホテルに宿泊しながらまずインターンシップやアルバイトからはじめてみて、この地域やこの仕事を好きになってもらってから、正式にここで働くことを検討してもらいたいと考えています」と志賀さん。インターンシップでは現場を学びながらその人に合った働き方を提案していきたいと考えているそうです。また本採用が決まれば町内で移住・定住をサポートする「まちづくりなみえ」と連携して住居探しをサポート。浪江町には移住者のための家賃補助制度もあります。

震災と原発事故から12年が経過したいま、今後の会社の展望と求める人材についてうかがいました。

「宿泊だけでなく、食事を楽しみに来るお客様も増やしていきたいと思っています。現在でも冠婚葬祭などの利用はありますが、少し贅沢な家族での食事など、地元の人にも観光で来た人にも利用してもらえたら。また、浪江町には福島国際研究教育機構(F-REI(エフレイ)ができたことで、今後外国からのお客様が増えることも予想されますので、インバウンド対策にも力を入れていきたいです。館内では2ヵ国語表示や翻訳機の設置などを進めています。ここで働く人たちにも、地域の魅力を発信し、情報提供していくようなモチベーションを持ってもらいたいと思います」

単なる宿泊業、飲食業にとどまらず、地域の魅力を発信する拠点を目指すフタバ・ライフサポートで、地域を支え、おもてなしの心を届ける仕事に挑戦してみてはいかがでしょうか。

フタバ・ライフサポートの求人はこちら。
https://futabatei.jbplt.jp/

福島12市町村の、観光業を含めた営業・接客・飲食関連の求人はこちらをご覧ください。
https://mirai-work.life/work/joblist/#industries=sales_service


■株式会社フタバ・ライフサポート
双葉郡で復興事業に従事する人たちや避難指示解除に伴い地元に戻ってくる人たちに「安心して安らげる場所」を提供することを目指し、2015年4月に設立。2015年5月広野町に「温もりの宿 ホテル双葉邸」、2020年7月浪江町に「やすらぎの宿 ホテル双葉の杜」を開業。ホテルフロント業務、清掃業務、レストラン調理業務などで、パートを含め、2事業所で約50人の従業員が勤務する。

住所:〒979-0402 双葉郡広野町下北迫字二ツ沼45-32
TEL:0240-23-6810

ホテル やすらぎの宿 双葉の杜(浪江町)
https://hotelfutabanomori.com/

温もりの宿 ホテル双葉邸(広野町)
https://www.futabatei.me/

※所属や内容は取材当時のものです。最新の求人情報は公式ホームページの採用情報をご確認いただくか、直接お問合せ下さい。
取材・執筆:山根麻衣子 写真:五十嵐秋音