【徹底解説】首都圏からふくしま12市町村へ行くには?

移住や二拠点居住の支援に力を入れる、福島12市町村。お試し住宅や移住体験ツアーなど、現地の暮らしを体感できる取り組みが始まっていますが、自ら足を運んでまちを回ってみることも大事です。
首都圏から福島12市町村を訪れるには、どのようなアクセスが便利なのでしょうか。ひとことで福島12市町村と言っても、非常に広範囲で、交通インフラも大きく異なります。ここでは、エリアごとにご案内します。

双葉郡沿岸部の広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町へは、特急ひたち
双葉郡内で特急ひたちが停まるのは、広野駅、富岡駅、大野駅(大熊町)、双葉駅、浪江駅の5つ。東京都内から行く場合は、品川駅、東京駅、上野駅から乗車し、1日に3本運行している仙台行きの特急ひたちであれば乗り換えなし。東京からは約3時間~3時間半で到着します。
楢葉町にある駅(Jヴィレッジ駅、木戸駅、竜田駅)には特急が停まらないので、いわき駅で常磐線各駅停車に乗り換えが必要ですが、いわき駅までは特急ひたちが1時間に1本の頻度で走っていますし、乗り継ぎの待ち時間もほとんどありません。

広野駅~浪江駅までの駅は、竜田駅(8:00~17:00のみ有人)以外は無人駅です。Suica専用自動改札機と精算機はありますが、特急ひたちは全席指定席でもあるので、基本的に切符は事前のオンライン予約や乗車駅で目的地まで購入しておくことをおすすめします。
復路の切符は、広野駅、富岡駅、大野駅、双葉駅、浪江駅では指定席券売機(営業時間8:00~20:00)で発券できるだけでなく、電話口でオペレーターと会話しながら購入することもできますので、無人駅でも安心です。

ただし、上記以外の駅には、切符の券売機がありません。券売機がない駅で乗車をする際には、Suicaで入場するか、駅舎内に設置された機械で乗車駅証明書を発行し、降車した駅で運賃を支払います。

駅前には、意外と何もないのが双葉郡のフツー
無人駅が多いことからも分かるように、駅前は人家が少ないところが多いのが双葉郡。生活の基本は車移動なので、電車を利用するのは通勤通学客とビジネス出張の人たちがほとんどです。
駅到着後は、タクシーでの移動が通例です。多くの場合、電車の到着時間に合わせてタクシーが待っていてくれますが、台数が少ないので、急ぎの用事などがある場合は予約を入れておくと確実です。タクシーの運転手さんは地元の人が多いので、目的地までスムーズに送迎してくれることが多いです。
現在は浪江駅のみですが、「なみえスマモビ」というオンデマンド交通もあります。駅に着いてからスマートフォンで配車手配をすると数分で到着。浪江町内でしたら、ほぼどこへでも運行してくれます。
また、駅前でお土産や軽食などを購入できるのは富岡駅前の「富岡町観光案内所」(2022年11月時点では、日曜定休)や「富岡ホテル」フロント、広野駅東口のコンビニ「ニューヤマザキデイリーストア 広野みらいオフィス店」のみで、場所も品数も限られます。特急ひたちの車内販売で飲み物やスナック菓子等は購入できますが、お土産や車中の食事などは、町内のお店や、楢葉町と浪江町にある「道の駅」(それぞれ最寄り駅から歩15分程)などで事前にご購入ください。もし、いわき駅で特急に乗り換えで時間に余裕がある場合は、いわき駅構内のコンビニ「NewDays」で駅弁を買うこともできます。

電車が通っていない川内村、葛尾村へのアクセス
川内村は富岡町から車で30分ほど。富岡駅から1日3本バスが走っていますが、電車の時刻とリンクしていないため、タクシーかレンタカーをおすすめします。
特急ひたち以外で行く場合は、東北新幹線で郡山駅へ。そこから磐越東線に乗り換え、船引駅(田村市)で下車。船引駅からは、川内村と葛尾村に向かうバスが運行しており、それぞれ1時間ほどです。
車の運転ができる方でしたら、川内村へはいわき駅か富岡駅で、葛尾村へは郡山駅でレンタカーを借りて向かうのがよいでしょう。車があれば、蛙の詩人・草野心平ゆかりの天山文庫や、季節の花や紅葉の美しい葛尾大尽屋敷跡公園など、自然豊かなスポットに足を運ぶことができます。

田村市へは東北新幹線+磐越東線で
田村市へは、東北新幹線で郡山駅へ出て、磐越東線に乗り換えて市役所のある船引駅まで約25分と便利です。船引駅周辺は、徒歩圏内に飲食店や旅館も多く、着いてすぐにお食事や温泉が楽しめます。バスに乗り継げば、川内村や葛尾村へも1時間以内で行くことができます。
田村市内には船引駅を含めて6つの駅がありますが、田村市は広いので、鍾乳洞で有名なあぶくま洞や星の村天文台へ向かうなど、その後の移動を考えると、船引駅か郡山駅でレンタカーを借りる方が便利です。

飯舘村、川俣町へは、福島駅からバス利用
飯舘村、川俣町に向かう場合は、ともに東北新幹線で福島駅に向かい、そこからバスで40分~50分で中心地に到着します。飯舘村、川俣町に向かうときに注意してほしいのは、冬の寒さです。温暖な気候の福島12市町村の中で、飯舘村、川俣町は最低気温がマイナス10度以下になることもあり、もちろん雪も降ります。レンタカーを借りる人は雪道運転に慣れていないと大変です。
なお、飯舘村には現在レンタカーサービスがありませんので、レンタカーを使う場合は福島駅か南相馬市の原ノ町駅で借りることになります。冬が寒いということは、星もきれいに見えるということ。防寒をしっかりして、降り注ぐような星空を堪能してください。

仙台からも来られる南相馬市
南相馬市へは、双葉郡沿岸部と同じく、特急ひたちと常磐線各駅停車を利用するのが便利です。仙台行きの特急ひたちであれば、市の中心部である原ノ町駅へは東京から乗り換えなしで来ることができます。小高駅へは浪江駅で、鹿島駅へは原ノ町駅で特急から常磐線各停に乗り換えます。
なお、東京方面から小高駅以北の駅で降りる場合、JR東日本の定めるSuicaの管轄エリアが異なるため、そのままSuicaでは改札を出られません。特急ひたち車内か降車駅での乗車運賃の清算、またはあらかじめ紙の切符の購入が必要となります。
また南相馬市の場合、仙台駅まで東北新幹線を利用して、仙台から約1~1.5時間ほど常磐線で南下するルートもあります。特急ひたちを利用するよりも交通費が高くなりますが、本数が多い東北新幹線で仙台に出たほうが効率よく移動できることもあるでしょう。

高速バスで弾丸日帰りも!?
最後に、高速バスでの行き方を紹介します。
東京駅からいわき駅まで高速バスを利用すると、特急ひたちの半額に近い運賃で、約3時間で着くことができます。運行本数はほぼ1時間に1本ありますので、その先の移動手段となるいわき駅発の常磐線の時刻表に合わせて利用すると便利です。そのうちの東京駅13:00発の1本のみが富岡町中心部まで延びていて、道の駅ならは、Jヴィレッジにも停車しますが、そこからの二次交通がないため少し使いづらいです。
高速バスは、行きより帰りに利用することをおすすめします。いわき駅発東京駅行きの始発は5:00発→東京駅8:33着。東京でお勤めの人は9時の出勤に間に合わせることもできます!新型コロナウイルスの流行で減便したため最終便はいわき駅19:00発ですが、22:33に東京駅に着くのでその日のうちに帰宅できそうです。節約したい方、バス移動が苦手でない方は高速バスでの移動も検討してみてください。
いかがでしたでしょうか。ご自身の体力やお財布と相談しつつ、快適に福島12市町村までいらしてください。
タクシーやレンタカー利用の案内をしましたが、地元の方と仲良くなれば大抵の場合、車で迎えに来てくれる、というのが地方のいいところでもあります。
なお、福島12市町村への訪問には、往復交通費や宿泊費の一部補助が受けられる制度が準備されていますので、是非そちらもご活用下さい。
■ ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金
福島12市町村への移住を検討されている方に向けて、往復交通費や宿泊費の補助が受けられる「ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金」について詳しくご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/1372/
https://mirai-work.life/support/transportation/
■浪江町のデマンド交通「なみえスマモビ」の利用方法
文末には、福島12市町村の最寄り駅からの二次交通手段となるカーシェアやレンタカー情報も掲載しています。
https://mirai-work.life/magazine/2630/
文:山根 麻衣子