「人」を大切にしながら、地域の未来をつくる。福島の復興を支える「福浜大一建設株式会社」

(左)𠮷村 健さん
東京都出身。2024年に福浜大一建設へ入社。以前は東京電力HDに勤務し、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉資材調達センター所長などを歴任。現在は、福浜大一建設にて人材育成や採用、組織づくり、新規事業などの業務に携わっている。
(中)山本 恵さん
いわき市出身。2005年に入社。総務部で人事を中心に担当。社内で初めて産休・育休を取得した経験を持ち、ファミリーサポート休暇制度の導入やDX化など働きやすい環境づくりに取り組んできた。1児の母。
(右)吉田安希永さん
南相馬市出身。2023年、夫の地元である大熊町に家族で帰町し、2024年、福浜大一建設ふたば支店に入社。現在は事務を担当。2児の母。
福浜大一建設株式会社は、いわき市に本社を置く総合建設会社です。2023年には大熊町にふたば支店を構え、東京電力福島第一原子力発電所に関連する工事をはじめ、復興を支えるさまざまな事業に携わっています。
同社が何より大切にしているのが「人」です。制度を整えるだけでなく、社員の声を取り入れながら、誰もが働き続けやすい環境づくりを進めています。その背景には、どのような考えがあるのでしょう。今回は、常務の𠮷村健さん、総務部の山本恵さん、ふたば支店の吉田安希永さんに、働きやすい環境づくりや仕事のやりがい、大熊町での暮らしについて伺いました。
Q1. 現在、ふたば支店で手掛けている仕事について教えてください。
𠮷村さん:
東京電力福島第一原子力発電所構内の廃炉関連工事や、中間貯蔵施設に関連する工事などを手掛けています。具体的には、ガレキ撤去業務や建物の修繕工事などを手掛けています。
具体的な施工実績としては、構内の津波安全対策として防潮堤をつくる工事などにも携わってきました。
実は、この東京電力福島第一原子力発電所に関連する仕事を始めるにあたっては、会社として非常に慎重な検討を重ねてきました。社員や協力企業、そして社員のご家族にも実際に現地を見学してもらう機会を設け、全員で安全面を確認しながら3年かけて参入を判断しました。

吉田さん:
地域の暮らしを支える施設の建設にも携わっています。これまでに、大熊町再生賃貸住宅や双葉駅前の商業施設、復興祈念公園の管理棟などの建設を手掛けてきました。復興が進み、まちが変わっていく様子を身近に感じています。

Q2. 吉田さんの入社までの経緯と現在のお仕事、大熊町での暮らしについて教えてください。
吉田さん:
2023年4月に「学び舎 ゆめの森」が大熊町で開校するタイミングで、南相馬市から夫の地元である大熊町に家族で帰町しました。
自宅から職場が近かったこともあり求人に応募し、建設業は未経験でしたが採用していただきました。現在は、ふたば支店全体の事務、放射線管理業務を担当しています。請求書の処理やお金の管理のほか、社員や協力企業の社員の方が東京電力福島第一原子力発電所の構内に入るための登録や申請なども行っています。大熊町に暮らしてみると、若い世代や町外から移住してきた人も多く、「これから新しいまちをつくっていくぞ」というような前向きな空気を感じます。
子どもたちが通う「学び舎 ゆめの森」には、自分の好きなことや興味のあることを探究する授業があります。裁縫や車、動物など、テーマは子どもたちが自分で決めます。演劇の授業もあって、子どもたちは毎日とても楽しそうに通っています。
学校の運動会には町民の方も参加します。同じチームになった人たちとは、自然に自己紹介から始まるのがこの町の特徴です。そこから顔見知りになって、町の中でのつながりも増えました。

Q3. 子育てと仕事を両立するうえで、働きやすい制度や職場のサポートはありますか。
山本さん:
当社には「ファミリーサポート休暇制度」があります。通常の有給休暇とは別に、年間50時間まで取得できる有給の休暇制度です。1時間単位でも1日単位でも取得でき、子供の看護や学校行事、家族の介護や本人の不妊治療などにも利用できます。
急に休まなければならないときには、「ここはやっておくから大丈夫だよ」と周りがカバーしたり、仕事の期限を調整したりしています。一方で、「ここまでは自分でやりたい」という本人の気持ちもあります。休むことだけを優先するのではなく、本人の意思も尊重しながら、必要なところを周りで支えるようにしています。
有休を取って旅行に行ったことも、社内では自然と会話にのぼります。そうした日常の雰囲気が休みの取りやすさにつながっているのかもしれません。

吉田さん:
入社する前は、建設業は休みが取りにくいイメージがあったのですが、実際に働いてみると、休みも取りやすく、家庭の事情にも柔軟に対応してもらえます。
「ファミリーサポート休暇」は、子どもの体調不良や学校行事などのときに利用しています。
以前、子どもが体調を崩して学校から連絡が来たときも、周りの方が「いいから早く帰りな」「こっちは大丈夫だから」と送り出してくれました。次の日にも「お子さん、大丈夫だった?」と声をかけてくれて。子育てを経験してきた方も多い職場なので、安心感があります。
Q4. 働きやすい職場づくりについて、どのようなことを大切にしていますか。
山本さん:
仕事を続けていると、子育てはもちろん、家族の介護や自分自身の体調など、さまざまな変化がありますよね。そうした変化があっても楽しく働けるよう、ファミリーサポート休暇や男性の育休取得など、会社でもさまざまな制度が整えられてきました。
DX化も進んでいて、現場にずっといなくてもできる仕事を増やすなど、働き方も少しずつ変わっています。
また、社長は社員の「声」を大切にしてくれます。昨年行われた社員旅行も、「旅行に行きたい」と社員から声が上がったことがきっかけでした。業務を止めるわけにはいかないので、沖縄や九州などから行き先を選べる形で3回に分けて実施したんです。
会社の60周年に行ったまちのクリーン作戦も、「社員同士でもっと交流できる機会をつくりたい」という声から生まれたアイデアです。みんなでごみを拾い、そのあと一緒にお弁当を食べました。普段はなかなか話す機会のない社員同士が顔を合わせ、部署を越えて交流するきっかけにもなりました。

吉田さん:
私も社員旅行に参加をして、名前は知っていても顔がわからなかった方と話すことができました。それまでは社内の電話帳を見て「この人は誰だろう」と思うこともあったのですが、旅行をきっかけに顔と名前がつながったんです。
電話がかかってきたときも「あの人だ」と顔が浮かぶようになって、以前より身近に感じられるようになりました。仕事のやり取りもしやすくなったと感じています。
𠮷村さん:
社長は常々、「人こそが最大の経営資源」と話されています。社員の声にも耳を傾けながら、みんなでよりよい会社をつくっていこうという姿勢が、社内全体に根づいていると感じます。
そうした取り組みを続けるなかで、2024年度には「福島県ワーク・ライフ・バランス男女共同参画大賞」を受賞しました。2026年8月には、県が主催する「知事と語る『ふくしまイクボス対話』」に、佐藤社長と仕事と育児を両立する社員2名が参加し、働き方改革や社内制度について内堀知事と対話をする機会もありました。

Q5. 仕事のやりがいや双葉郡で働く魅力、これからこの地域で働きたい方へのメッセージをお願いします。
吉田さん:
自分たちの会社が手掛けた場所を通ったとき、子どもたちに「あそこはママの会社の人達がつくったんだよ」と話せることを誇らしく思います。自分たちの仕事がまちの中に形として残っていくことも、大きなやりがいです。
大熊町では、新しい施設やお店が少しずつ増え、まちが変わっていく様子を身近に感じられます。自然の中で子どもたちをのびのび育てながら、これからのまちづくりにも関わっていけることは、この地域で暮らし、働く魅力だと思います。
また、会社には困ったときに声をかけ合い、支え合える人たちがいます。仕事だけでなく、自分の暮らしや家族との時間も大切にしながら働きたい方に、仲間になってもらえたらうれしいです。
山本さん:
この地域は、元の姿に戻していくというだけではなく、これまでになかったものが次々と生まれています。これからどんな地域にしていくのかを、自分たちも一緒に考えながらつくっていける場所だと思います。
建設業は、まちや暮らしを支える仕事です。当社でも、一人ひとりが自分の生活を大切にしながら、安心して働き続けられる環境づくりを進めています。地域が変わっていく今だからこそ、その変化に関わり、自分自身も成長していける。そんな仕事に興味がある方と、一緒にこれからの地域をつくっていきたいですね。

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【基本情報】
企業名:福浜大一建設株式会社
代表者:代表取締役 佐藤 毅
事業内容:総合建設業
所在地:〒971-8101 福島県いわき市小名浜字中原16-1(本社)
〒979-1308 福島県双葉郡大熊町大字下野上字大野576(ふたば支店)
TEL:0246-54-8111
FAX:0246-54-8118
URL:https://fd-const.com/
(2026年9月取材)
インタビュアー:奥村サヤ / 撮影:古関マナミ