移住サポーター

各市町村の移住担当者に聞く!我がまちの住まい探し 川内村編

2022年7月15日

移住者と地域に寄り添い、空き家をマッチング~かわうちラボ

せせらぎにはイワナが泳ぎ、池にはモリアオガエルの合唱がこだまする清流の里、川内村。

村の移住相談窓口である一般社団法人かわうちラボでは、移住者の住まいの課題を解決し緑豊かな里山暮らしを叶えるべく、空き家活用に取り組んでいます。汗をかきつつ丁寧な空き家マッチングを進める、かわうちラボの活動を取材しました。

のどかな中山間地、川内村の住環境とは?

福島県双葉郡の中西部に位置し、阿武隈山地の最高峰・大滝根山を背後に抱く川内村は、林業やワイン醸造に力を入れる中山間地の人口約2,400人(帰還率約8割)の村です。村内に信号機は2つしかない小さな村ですが、豊かな地下水をポンプで汲み上げるため水道いらずで、また、点在する集落を結ぶように光ケーブルが敷かれていて、高速通信のインターネット環境も整っています。

日常の買い物は、コンビニや商店、飲食店が入る村内の複合商業施設「YO-TASHI(ヨータシ)」や産地直売所で済ませつつ、週末は隣接する田村市・富岡町・いわき市にある量販店やショッピングモールまで足を延ばすことで、必要なものは手に入れることができます。

村では住宅不足の解消に努めるため、震災後に新たに村営住宅157戸を整備し、民間アパート建設の支援も行い20戸のアパートが建てられましたが、村営住宅の空き状況は数件程度で、空室が出始めた民間アパートも家賃が6万円程と高止まり傾向にあるため、移住を希望する人の住まいの選択肢はまだまだ限られているのが実状です。

そこで今、2021年10月に開設された「川内村移住・定住支援センター」の窓口業務を担うかわうちラボが推進役となって、村内の空き家活用にも力を入れ始めています。

かわうちラボでは移住希望者からの相談に応じて、村営住宅や空き家バンク物件を管理する不動産事業者の株式会社ニーズに最新の空き状況を照会するだけでなく、まだバンク登録には至っていない、村内の人脈を通じて独自で把握している空き家情報も含めて、移住希望者に住まいの提案をしています。

空き家マッチングの流れ(一般社団法人かわうちラボ 提供)

約120件の空き家を調査し、「眠れる資源」を発掘

かわうちラボでは昨年度119件の村内の空き家の状態を調査し、A~Eの5段階で評価。大きな修繕をせずに住める状態の約30件の物件を中心に、所有者に対して売却・賃貸などの空き家活用の意向確認を進めています。


すぐに住める物件は、既に村内や周辺市町村の賃貸アパートに住んでいて、ライフステージの変化などで一軒家に引っ越したいという“2段階移住”の人が希望することが多いそうです。一方、県外からの移住希望者の中には、「多少修繕が必要な物件でもいいので、初期費用を抑えて自分でDIY改修をしながら住みたい」という人も一定数いるとのこと。

2021年度「川内村空き家等調査」結果 (一般社団法人かわうちラボ 提供)

「何回も川内村に通って移住を検討してくださるので、私たちとしても選択肢を広げてご紹介できるようにしたいと思っています」と、移住相談員の新田さんは語ります。

移住者の希望と所有者の希望、物件の状態といった複数の条件を加味して物件内覧をアレンジできるのも、ワンストップ窓口で情報を把握しているかわうちラボだからこその強みです。

川内村移住・定住支援センター(かわうちラボ) 相談員 新田 美千夫さん

所有者・移住者それぞれの想いを大事に、住まいをつなぐ

空き家所有者の一番の悩みでもあるのが、家財道具の処分です。川内村では、空き家バンクへの登録を促進するため処分費用の補助制度を用意しており、かわうちラボでも、家主からの相談に応じて制度の紹介や様々なサポートを行っています。

取材当日、新田さんは既に入居予定日が迫っている空き家の家財を整理するため、家主の仕分け作業を手伝うことになりました。額入りの賞状や祖母から譲り受けた着物など、捨てるに忍びないものは「保管」、家主が廃棄していいと思う家具で、新しい借主に使うかどうかの判断を委ねるものは「確認」と、処理業者が作業しやすいように指示を書いたふせんを貼っていきます。そこで暮らしていた時の思い出話に耳を傾けながらも、家主が迷う時には背中を押してあげるのも、相談員の役目です。

食器棚の中に残っているものがないか、細かくチェック

また、かわうちラボでは空き家所有者だけでなく、移住者に対しても丁寧にマッチングサポートをしています。2021年8月に川内村に移住した稲部文世さんもその一人です。

「東京から葛尾村に移住して2年ほど経ち、そろそろ一軒家に住みたいと考えていた時に、川内村も候補として考えていたので、かわうちラボに問い合わせをしました。その時は、これだと思う物件に巡り合えなかったのですが、半年ほどして『いい物件があるけど、どうだろうか?』と改めて連絡をもらったんです。

私のことを覚えていてくれたことが素直に嬉しかったですね。そうやってやり取りを再開して、この家の購入を決めました。前の家主さんも移住者で、内装や調度品がとても素敵だったこともあり、一目惚れでした」と、当時を振り返ります。今では、家の前に広がる畑で農作業に精を出しながら、犬の散歩がてら訪れるご近所さんとお茶を飲んだり、野菜を頂いたりと田舎暮らしを満喫しているそうです。

一枚板のテーブル等、木のぬくもりを感じる稲部邸

若者・子育て世代にやさしい、村独自の住宅支援制度

川内村では2022年度から新たに移住者向けの住宅支援制度を拡充しました。県外だけでなく県内からの移住者も対象にしていることや、若い世代や子育て世代には加算額を設けて手厚い支援を行っているのがその特徴です。

移住者の悩みごとはかわうちラボがサポートしつつ、村は補助金制度で応援するという官民両輪での支援で、移住者にやさしい村を目指しています。
川内村の移住支援制度チラシ 

移住者を対象とした川内村の住宅関連補助金

問い合わせ先

移住や住まいに関する相談全般一般社団法人かわうちラボ 
(川内村移住・定住支援センター) 
📞 0240-23-7040 
📠 0240-23-7048 
📧
kawauchi.iju@k-labo.or.jp
村営住宅、空き家バンク物件、
民間アパートの空室状況について 
株式会社ニーズ 川内支店 📞 0240-25-8741
📠 0240-25-8742 
📧 ホームページの問合せフォームから 
移住者向け補助金制度について川内村 総務課企画政策係📞 0240-38-2111
📠 0240-38-2116 
📧 kikaku@vill.kawauchi.lg.jp 

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。