支援制度

葛尾村の田舎暮らしを体験できるコテージ風「お試し住宅」

2024年7月12日

2021年9月に始まった葛尾村の「お試し住宅」。当初は村の中心部を走る国道399号(通称 あぶくまロマンチック街道)沿いにありましたが、より実際の葛尾村の生活に近い“田舎暮らし”を体験してほしいと、2024年4月に移転しました。リニューアルしたお試し住宅を、葛尾村移住・定住支援センターの郡司あゆみさんと菅野海琴(みこと)さんに案内していただきました。

木のぬくもりを存分に味わえる、ぜいたくな造り

村のランドマーク・葛尾村復興交流館「あぜりあ」から車でおよそ15分。目的地に辿り着くか、やや心配になりながら山道を進むと、シックな色合いの外装と煙突が目を引く素敵な一軒家が見えてきます。築13年、まだ真新しさを感じる2階建てのコテージのような佇まいです。

間取りは3LDK。1階にはリビングとダイニング、和室が2部屋、キッチンや洗面、バスルーム、トイレなどの水廻りがあり、2階には8畳ほどの部屋が1室あります。玄関を入るとすぐに、壁も床も無垢材が使われたリビングダイニングが広がり、木のぬくもりを存分に感じることができます。10畳以上あるスペースにはL字型のソファーやテーブル、大型のテレビ、ダイニングテーブルが置かれ、家族4〜5人で過ごすには十分です。

キッチンは3口のガスコンロに食器洗い乾燥機がついたビルトインタイプ。シンク、調理台も広く使い勝手が良さそうです。

ほかにも冷蔵庫や炊飯器、電子レンジ、電気ポットなどのキッチン家電、食器類も揃っており調理の心配はありません。

葛尾村ではごみの種類によって袋が異なります。村内の商店やガソリンスタンドなど、指定された販売店で購入する必要があるため注意してください。

ごみの出し方について詳細はこちらから確認できます。
https://www.katsurao.org/soshiki/2/gomi.html

1階のリビングにつながる、障子で仕切られた和室は6畳と8畳。レンタルできる布団を敷いて寝室として使うこともできます。

バスルームは大きな窓から明るい日差しが差し込み、朝風呂にはもってこいのくつろぎ空間です。

2階の部屋も1階同様に壁も床も無垢材が使われ、大きな窓からは四季の変化を楽しめます。Wi-Fiの環境も整っているので、リモートワークにもピッタリです。

室内には夏の暑さや山間部特有の芯から冷える冬の寒さ対策のために、エアコンと薪ストーブが完備されているので、安心です。

移住に大切なことはリアルな不便さを体感すること

葛尾村移住・定住支援センターの(左から)菅野さん、郡司さん

お試し住宅として、山間の住宅を提供することになった経緯についてお聞きしました。
「以前の住宅は近くに村の復興交流館『あぜりあ』やコンビニエンスストア、飲食店があり、生活するには良い場所でした。でも、果たして移住を考えている方の田舎暮らしとイメージが合っているのかと、村関係者からも意見が出たのです。そこで、夜は真っ暗、買い物に行くにも車がないと困るような、実際の葛尾村での暮らしにより近い場所で探そうということになりました」(郡司さん)

郡司さんたちが求める住宅探しが難航する中、二地域居住であまり使われていなかったこの家屋に見当をつけ、家主にお願いしたところ、快く承諾していただきました。その後、村の了承を得て2024年4月から新しいお試し住宅として利用することになりました。

「最初の利用者は滋賀県在住のアーティストの方で、ご自身の創作活動のために2週間ほど利用されました。とても静かな環境で創作に没頭できたようです」と菅野さん。滞在中、散歩中に村の人と話ができたことや体験農園での農作業に満足した様子だったといいます。

静かな環境のお試し住宅は、創作活動やリモートワークには良い環境ではあるものの、生活する上では不便な場所にあります。葛尾村は車社会。お試し住宅近くまでの公共交通機関はなく、タクシーの営業所も村内にはないため、車での移動が基本になります。レンタカーは、新幹線が停車する最寄り駅がある、50キロ近く離れた郡山市などで借りる必要があります。

リアルな“葛尾暮らし”ができる環境で、より実際の生活をイメージしてもらうために、郡司さんはお試し住宅での滞在中に、生活の基盤となる村外のスーパーや病院などのある地域へ実際に足を運んでみることをおすすめしています。
「葛尾村には大型スーパーやドラッグストア、大きな病院がありません。ですので、交通の利便が良い都会の方はピンとこないかもしれませんが、村での暮らしは車で約30分の、隣の田村市船引町などの周辺市町も生活圏になります。また、移住前にはぜひ、葛尾村の冬の寒さも体感してほしい。移住を考えている方には、お試し住宅を利用して実際の生活環境や気候を体験していただきたいです」

お二人が感じている、葛尾村の暮らしの魅力を聞いてみました。

菅野さんは、福島県二本松市からの移住者です。「まったくの他人である私に、郡司さんや初対面のおじいちゃん、おばあちゃん、村の人たちが優しくて、困った時は当たり前のように手を差し伸べてくれることに感激しました。今ではすっかり家族のような関係です。自然の豊かさはもちろん、人の優しさや、穏やかな時間の流れが葛尾村の魅力です」と話してくれました。

郡司さんは、長年葛尾村で地域おこしに関わる仕事に携わっています。「ここは都会に比べたら不便です。だからこそ自分たちの生活を豊かにする工夫や、人とつながり助け合い、昔ながらの暮らしができる、というところでしょうか」

自然の魅力を感じ、村民との関わりを生む場所に

今後、葛尾村移住・定住支援センターでは、お試し住宅の利用者をどのように迎えていくのでしょう?

「利用者からは、もっと村を案内してほしかった、村民と交流がしたかった、という声も上がっています。その声に応えるために、村では農作業を通じて村民と交流ができる体験農園を整備しました。お試し住宅の利用中に苗の植え付けを体験して、収穫の時期にまた来てもらう。行き来しているうちに、本格的な移住につながればうれしいです」と郡司さん。

菅野さんも「これまでは村を散策したり郷土料理を作ったり、先輩移住者と交流したりと、こちらで用意したコンテンツを体験してもらう移住体験ツアーを行ってきました。今後は個人の希望をもとに、オーダーメイドの体験プログラムを提供することも考えています。移住相談があれば、空き家の見学や村内の案内なども積極的に行っていく予定です」と意気込みます。

「都会では味わえない豊かな田舎暮らし」ができる葛尾村への移住に興味のある人は、まずはお試し住宅を利用して、自然の魅力と人のあたたかさを体感してみてはいかがでしょうか。

葛尾村のお試し住宅について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://konnichiwa-katsurao.jp/hajimemashite/trial

葛尾村移住・定住支援センターでは、空き家・空き地の紹介や相談も行っています。
https://konnichiwa-katsurao.jp/hajimemashite/akiya/

福島12市町村で提供しているお試し住宅は以下の記事でもご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/1360/


■葛尾村移住・定住支援センター「こんにちは かつらお」
〒979-1602 福島県双葉郡葛尾村大字落合字落合20番地1
HP:https://konnichiwa-katsurao.jp
MAIL:ijyu@konnichiwa-katsurao.jp
TEL:0240-23-7727
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定休日:月

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の情報は葛尾村移住・定住支援センターにお問い合わせください。
取材・文:和田学