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【南相馬市】雇用就農に必要なスキルや考え方を1年で学べる「みらい農業学校」が2024年4月に開校

2023年8月25日
南相馬市

「移住して農業を始めたい」という人の中には、実際に農業を生業にできるまでのイメージがうまくつかめないという人もいるのではないでしょうか。そんな人におすすめしたいのが、南相馬市が2024年4月に同市小高区で開校する「みらい農業学校」。農業法人などに就職し収入を得ながら働く「雇用就農」に必要なスキルや考え方を1年で学べる農業スクールです。新規就農への第一歩として、実践を重ねながら農業の知識を得ることができます。

農業を生業とする第一歩は雇用就農

開講する農業学校のイメージ(南相馬市提供)

近年、独立して生計を立てる農業者は全国的に減少している一方、法人化している農業経営体(農事組合法人・会社・団体)は増加傾向にあり、南相馬市でも2010年から2020年の10年間で35経営体から45経営体に増加しています。

農業はこれまで家族経営が中心でしたが、経営と家計のお金の管理が混同しやすく、農業の経営状態を正確に把握することが難しい状況にありました。これを法人化することで、お金の流れが明確になり、経営判断がしやすくなります。また、対外的な信用度が増すことで融資を受けやすくなり、取引がスムーズになるなどのメリットもあります。さらに、社会保険(健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険など)への加入が義務付けられるため、従業員にとっても安心して働ける環境になります。こうした理由から、戦略的に事業を継続・拡大する農業経営体が増えているのです。

加えて、企業が新たなビジネスチャンスとして農業分野に参入し、収入の柱としようとするケースも増加しています。

雇用就農については、未経験であっても受け入れ可能な企業が多く、働き手としては土地や農機具などの初期投資を必要とせず毎月収入を得ながら農業にチャレンジできます。実際、南相馬市で2018年から2022年までの5年間で新規就農した67人のうち、8割以上が「雇用就農」でした。

みらい農業学校の大きな特長は、雇用就農に必要なスキルや考え方を1年で学べる点にあります。農業者を育成する学校は全国に700校近くあるといわれていますが、その多くは独立就農にフォーカスしており、雇用就農にフォーカスした学校はほとんどありません。みらい農業学校では、農業のトレンドを押さえたうえで地域の実情に見合った、稼げる農業経営のノウハウを学ぶことができるのです。

就農の先まで見据えたカリキュラム

一般的な農業学校の多くが就学期間を2年間に設定している一方で、みらい農業学校は1年間としています。独自のカリキュラムで就学期間を凝縮することで農業を志す人の経済的な負担を抑え、スムーズな就農につなげられることも、大きな特徴の一つです。

講師を務めるのは、全国の農業学校で教壇に立つプロフェッショナル。また、地元の農業事情を熟知した農業者も参加し、全国のトレンドと地域の実情の双方から、営農のポイントや販路を広げていくコツを知ることができます。

みらい農業学校で習得できる主なスキルは、以下の4つです。

①どんな作物にも応用できる農業の原理原則
②農業機械の操作方法
③ドローンなどスマート農業で使える機器の操作方法とデータの活用方法
④財務諸表の読み方など経営に役立てられるマネジメントスキル

座学と農場での実践学習を通して、特定の作物の栽培方法ではなく、どんな農産物の生産にも対応できるような土や水、肥料の管理の仕方といった農業の原理原則を学ぶことができます。

また、就農後のミスマッチを防ぐため、在学中は複数の農業法人でインターンシップに参加できます。実際の職場の雰囲気や作業内容を事前に知ることで、自分に合った就職先を選べるでしょう。JAや農機・農材メーカーなど、就農後に役立つネットワークづくりの機会も多く用意されています。卒業後の営農に役立つキャリアアップ講座の開講も予定しており、就農後の悩みを相談できるサポート窓口も設置予定です。

卒業後の集いの場にもなる「みらい農業学校」。農業者同士がつながりを持ち、ともに地域の農業を高め合える拠点になりそうです。

南相馬市の就農支援制度

南相馬市では、在学中や卒業後の就農をサポートするさまざまな支援制度を用意しています。

・在学中、就農後の住宅支援
離職して移住、入学する人は1万7,500円~で南相馬市小高区の市営住宅を利用できます。卒業後に移住して就農した人に対しては、民間賃貸住宅の家賃を最長2年間、月額最大6万円補助する制度も設けられています。

・農機具の運転免許取得費の補助
効率的に作業を行うために必要な運転免許はさまざま。例えば、土壌作りに欠かせない大型のトラクターを運転するには「大型特殊自動車第一種免許」が必要です。南相馬市では、就農後1年以内に農業機械の運転に必要な免許取得に要した経費の一部を補助する制度を用意しています。

南相馬市は今後、みらい農業学校を、国が実施する「就職準備資金」の認定研修機関として申請します。認定されれば、学生は在学中に年間最大150万円の給付金を受けることができます(給付には条件があります)。

南相馬市による、このほかの就農支援制度について詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.city.minamisoma.lg.jp/portal/business/norinsuisan/seido_shien_yuushi/2/index.html

みらい農業学校の設立を前に、既に南相馬市の就農者の環境にも少しずつ変化が出てきています。2023年夏には、南相馬市農政課によるコミュニティ支援の一環として、新規就農者同士が交流するLINEグループが立ち上げられ、新規就農者ならではの悩みの共有や意見交換の場になっているといいます。農政課の担当者は、「農業者の皆さんが持つ悩みを私たち行政に伝えていただくことが、本当に困っていることに手が届く支援策を検討することにつながります」と期待を寄せます。

現地見学会・オンライン説明会を実施

南相馬市は2023年7月から、2024年4月に入学する第一期生の募集を始めました。2023年度内に5回の現地見学会と随時オンライン説明会を予定しています。

【現地説明会】
第1回:2023年 9月 2日(土)
第2回:2023年10月14日(土)
第3回:2023年11月 4日(土)
第4回:2023年12月16日(土)
第5回:2024年 2月 3日(土)
※日程は変更となる場合があります。

・時間
12:10~15:40

・場所
小高交流センター(南相馬市小高区本町2丁目28)
※JR小高駅から送迎可

【オンライン説明会】
2023年 8月26日(土)10:00~
※日程は追加を予定しています。詳しくは公式Webサイトをご確認ください。

上記の日程で調整がつかない場合は個別相談も実施しています。詳しくは開設準備窓口へお問い合わせください。

■みらい農業学校 開設準備窓口
南相馬市復興企画部 イノベ政策課
住所:〒975-8686 南相馬市原町区本町2-27
TEL:0244-24-5406
E-mail:innovation@city.minamisoma.lg.jp

説明会の申し込みや、より詳しい情報はみらい農業学校ホームページでご確認ください。
https://agri-innovation.jp/mirai/

また、福島12市町村への移住に向けた現地活動にかかる交通費等を1年度につき最大5回補助する支援制度があります。ぜひご活用のうえ現地説明会や個別相談に足を運んでみて下さい。
※当制度の利用には条件があります
https://mirai-work.life/support/transportation/

まとめ

みらい農業学校には、新規就農を後押しするさまざまなカリキュラムが用意されています。未経験者を受け入れている農業法人は多いですが、農業学校で学んだ上で就農できれば、思い描いた農業者としてのキャリアにより早く近づけるはずです。就農に興味を持っている人は、ぜひ説明会や個別相談に参加してみてはいかがでしょうか。

福島12市町村の雇用就農関連の求人はこちらでご紹介しています。
https://mirai-work.life/work/joblist/#industries=agriculture_forestry_fishery

※内容は取材当時のものです。最新の情報はみらい農業学校ホームページでご確認ください。
文:五十嵐秋音