移住サポーター

移住者と地元の人をつなぐ架け橋に。南相馬の移住相談窓口「よりみち」

2022年12月29日
南相馬市
  • まちづくり
  • 移住

2022年7月に南相馬市原町区にオープンした「よりみち」。移住相談の対応から移住・定住に至るまでのプロセスをワンストップでサポートするほか、移住者と地域の人をつなぐイベントの開催にも力を入れています。

「よりみち」では、どんな交流が生まれているのでしょうか。先日開催された移住者交流会の様子や、これから予定している移住者のコミュニティ形成について、代表の後藤彩さんにお話を伺いました。

移住者同士が親睦を深める交流会を「よりみち」で開催

2022年10月27日、「よりみち」にて移住者を対象とした交流会「What’s in your Camera Roll?~最近の1枚で語ろう!~」が開催されました。

「よりみち」スタッフを含めた参加者15名の中には、福島県出身で一度県外での暮らしを経験してからU・Jターンした人もいれば、生まれも育ちも福島県とは関係がなく、縁があって南相馬市に移住してきたIターン者も。職業も、南相馬市が推し進めるロボット産業に携わるエンジニアから市役所関連、保育士などさまざまでした。

異なるバックグラウンドをもつ参加者たちですが、「南相馬市への移住者」という共通点をベースに、和やかに交流会は進行していきました。

交流会のメインイベントである「最近の1枚」では、それぞれがスマートフォンのカメラロールからお気に入りの1枚を選んでプレゼンテーションを行いました。南相馬市に関連する写真を選ぶ人がいる一方で、「旅行先で印象深かった風景」「飼っているペットの決定的瞬間」など、プライベートにまつわる写真を選ぶ人も。シンプルな企画ですが、意外な風景や表情が写された写真に笑いが起こり、会場は一体感に包まれていきました。

1時間ほどで交流会がお開きとなった後も、お客さんから「お母さん」と親しまれている、大阪府から移住した女性が営む韓国料理店「食彩亭 釜山」へ場所を移し、さらに親睦を深めたようです。

参加者に感想を尋ねると、「これまで自分と同じように南相馬市に移住して来た人と交流する機会がほとんどありませんでしたが、今日は写真の前で一緒に笑い、あれこれ話ができておもしろかったです」、「ロボットのエンジニアさんをはじめ、普段接することのないさまざまな職種の人とお話ができて楽しかったです。こういう機会があれば、また参加したい」といった声が聞かれました。

「移住者同士の交流の場が少ない」、「つながりが増えない」という声に応えて

「よりみち」代表の後藤彩さん

今回の交流会を企画した「よりみち」代表の後藤彩さんに、その活動についてお話を伺いました。

後藤さんは熊本県出身で、2021年9月に福島県郡山市から南相馬市に生活拠点を移した移住者のひとりです。
「移住後、首都圏20代が南相馬市でチャレンジしたい事業を考える事業化実現プログラムの運営に携わっています。現在はこちらに加え、『よりみち』で南相馬市の移住に関する総合的なサポートや仕事暮らし体験プログラムづくりなどを行っています」
さらに、移住者を紹介するドキュメンタリー動画の制作など、南相馬市での暮らしに関心がある方に、移住後の生活を具体的にイメージしてもらえるコンテンツ作りにも取り組んでいるそうです。

「よりみち」での活動を通して、今まで以上に多くの地元の人、そして移住者と関わりを持つ機会が増えたという後藤さん。そうした中で見えてきたニーズのひとつが、移住者コミュニティの形成だったそうです。

「南相馬市には、鹿島区、原町区、小高区の3つの地区がありますが、移住後、普段の生活範囲を超えた交流が少ないという課題がありました。これに対して、移住者が区の垣根を超えて交流して他のまちを知ってもらうイベントを、各区持ち回りで実施していこうと取り組んでいます。
とくに原町区は仕事の事情で移住してくる人が多いまちです。その方たちは、普段接する相手が同じ会社の人や、子どもの友達の親など限られた交友関係になりがちです。新しい出会いの場を求める声も上がっていました」

そうした要望に応えて、今回の交流会を開催したといいます。

南相馬に足を運んでもらう機会をつくりたい

今後は移住者同士だけでなく、移住者と地元の人をつなぐコミュニティづくりにも注力していきたいと後藤さんは言います。その拠点のひとつとして考えているのが、「シェアファーム」です。

「よりみち」を運営するMYSH合同会社のメンバーは、2021年から地元の人と一緒に畑を耕し、野菜も育てています。MYSH合同会社ではこの畑を、南相馬市に人を呼び込み、地域とつながるためのコンテンツにしたいと考えています。

「簡単に言うと、移住者やまちの外から来た人が、地元の人と畑をシェアできる仕組みです。自分の畑があれば、まちの外に住んでいても手入れや収穫のために南相馬市を定期的に訪れるようになりますよね。移住となるとハードルが高いかもしれませんが、地方に別荘をもつような感覚で『南相馬市に畑をもつ』サービスができたらと思っています。今はトライアル段階ですが、実現に向けて準備を進めているところです。

また移住後に、地方暮らしの魅力の一つとして『畑で野菜を育てたい』と思う方にも、まずはシェアファームに来て畑のある暮らしを体験して、地元の人と仲良くなり、その後家庭菜園や、休耕地を借りた農業にチャレンジする流れができたらいいなと思います」

県外移住者の実家から送られてきたみかん。「ご自由にどうぞ」と並べられていた

移住希望者のなかには、都会ではなく地方での暮らしに憧れを抱いている人も少なくありません。しかし、知り合いのいない世界に飛び込むのは簡単なことではありません。「シェアファーム」は、移住する前の段階の人や知り合いが少ない移住者に南相馬市の人と関わる機会をもっていただくためのアイデアなのです。

「自然あふれる場所で畑仕事をしたり、地元の人と雑談したりという生活に憧れて移住してきた人も多いです。でも、いざ暮らし始めてみると、なにをきっかけに接点をもてばいいのかわからないんですよね。そこをつなぐ役割を『よりみち』が担えればと考えています」

良い意味で人付き合いが気軽。だから暮らしやすいまち

ワンストップで移住を支援している「よりみち」。今後も、市外の方が南相馬市を知ってから移住に至るまでのフェーズに沿った企画を行なっていく予定です。
「例えば、一番はじめの『南相馬を知る』というフェーズでは首都圏でのイベント開催やSNS・ブログでの発信、『南相馬を体験する』というフェーズでは移住体験プログラムを提供するといったように、なんとなく南相馬市を知った人が、南相馬市への興味を深め、次にちゃんと訪れやすくなる。そういう流れをみんなでつくっていきたいと思っています」

今後も続々と新たな取り組みを行っていく予定だと話してくれました。

最後に、後藤さんに南相馬市の好きなところを伺いました。すると返ってきたのが「人付き合いが良い意味で気軽なところ」という回答でした。

「ここでは、外から来た人に対してとやかく干渉するのではなく、でもほどよい距離感で受け入れて、様子を見て、何かと親切にしてくれます。「〇〇がしたい」と言っていたら『こんなのがあるけど、取りあえず参加する?』と全く予想していない方向から声を掛けてくださったり。そこが南相馬市のよいところであり、私自身も好きなところです」

受け入れ体制やコミュニティができ始め、自分が求める距離感で地元の人と付き合える南相馬市は、移住したい人にとって、”入りこみやすい”まちだと言えます。

■みなみそうま移住相談窓口「よりみち
住所:〒975-0004 福島県南相馬市原町区旭町1-46-4
TEL/FAX:0244-26-8518
E-mail:info@minamisoma-yorimichi.jp
受付:10:00~17:00(火曜日休業)
相談方法:電話、メール、オンライン、対面でのご相談を受け付けています。
オンライン相談は19時まで受け付けておりますので、ぜひご活用ください。
HP:https://minamisoma-yorimichi.jp/

■後藤さんの移住ストーリーは過去のMAGAZINE記事でも紹介しています
https://mirai-work.life/magazine/429/

取材・文:岩崎 尚美 撮影:中島 悠二