支援制度

5年間探して見つけた理想の移住先。空き家を改修しながら暮らす、田村市での新生活

2022年9月13日
田村市
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移住する前は横浜駅から電車で約10分の住宅街に住んでいた白石孝行さん、ちひろさん夫妻。2022年4月に3人のお子さんと自然豊かな景色が広がる田村市滝根町に移住しました。現在は空き家バンクに登録されていた物件を借り、家族で改修をしながら暮らしています。そんな白石さん一家に、空き家を借りて暮らすことにした経緯や田村市での生活についてお聞きしました。

子どもがのびのび暮らせる場所を探し各地へ足を運んだ

左からちひろさん、次女、孝行さん。

都会を離れのびのび子育てをしたいという思いがあり、2018年頃から移住を検討していた白石さん一家。当時から東京の奥多摩や山梨で開催されていた移住者の家を見て回るツアーなど、移住者向けのイベントに家族で参加していたといいます。

しかし、はじめから家族全員が移住に対して前向きではなかったようです。

ちひろさん「夫は父方の実家が岩手にあるので、家の周りに畑や田んぼが広がる風景を見慣れていたみたいですけど、私にとって田舎はテレビやネットで見る別世界だったんです。だから、はじめは地方への移住に対して抵抗があったし、夫とすごくもめました。でも、夫に誘われて移住のイベントに一緒に行くにつれ、田舎のイメージが変わっていきました」

子育てをしやすい場所を求め、さまざまな場所を訪れていた白石さん一家でしたが、ピンとくる場所がなかなか見つからなかったそう。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で移住関連のイベントは中止。移住先探しが順調に進まずモヤモヤしていた時期もあったといいます。

そんな時に孝行さんが見つけたのが、移住者に向けて全国各地の情報を提供している、東京の「ふるさと回帰支援センター」でした。スタッフの方に移住相談をするなかで、福島12市町村は全国的に見ても移住者に対する補助がとても手厚いことを知ります。

孝行さん「福島県は父の実家に行くときに通ったことがある程度で、当初は移住先として考えていませんでした。しかし、移住前に現地に下見に行く際の交通費や宿泊費が補助される『ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金』の存在や、子育て世代への補助が手厚いことを知り、試しに訪れてみることにしました」

田村市の程よく田舎なところが気に入った

ちひろさん「2021年の8月頃から、交通費等補助金を利用して福島12市町村を家族で見て回り始めたんです。どの市町村もそれぞれに良さがあって魅力的な地域だなと感じました」

福島12市町村の中で海沿いに位置する、南相馬市も視野に入れていたという白石さん一家。なぜ田村市を選んだのか聞いてみると…。

孝行さん「子育てのしやすさや仕事の探しやすさなども重視して移住先を探していましたが、僕が一番大切にしていたのは自分がピンとくるかこないかでした。今考えると、田村は小さい頃から訪れていた岩手の風景に似ていたから、ピンと来たのかもしれません」

ちひろさん「田舎へのイメージが変わったというものの、はじめての移住なので田舎すぎない場所がいいなと思っていました。そういった意味で田村市は、市内に大きなスーパーもあるので普段の買い物は不便がないし、東北新幹線が通る郡山市までは車で約50分で行けるし、程よく田舎でちょうどいいなと思いました」

現在、孝行さんは郡山市で働き、ちひろさんは田村市内のスーパーで働いているそう。市内の仕事は限られていますが、多くの仕事がある郡山市へのアクセスも悪くないため仕事探しの心配はなかったと孝行さんは話します。

移住してから約4カ月がたち、お子さんは学校にも慣れ、のびのび田村での暮らしを楽しんでいるといいます。お子さんが通っている小学校は2017年に開校したばかり。学校がスクールバスを運行しているので、送り迎えをする必要もないようです。

約5年間、各地で移住先探しをした白石さん一家。現在の暮らしぶりをどう感じているのでしょうか。今後の展望と合わせてお聞きしました。

孝行さん「福島に移住してきてからは、子どもたちとレジャー施設に行ってもあまり人混みに巻き込まれることがなく、子どもたちだけでなく自分ものびのび生活できているなと感じますね。今後は内装業の経験を活かして、田村市内の空き家を改装してゲストハウスを開きたいと考えています」

ちひろさん「近くの畑を通りかかると、ご近所の方が野菜をくれたり、子どもたちに収穫をさせてくれたりします。都会に住んでたらなかなか経験できないことを子どもたちも経験できていて、いいなと思いますね。地域のコミュニティにうまくなじめるか心配でしたが、近所の人がみんな優しく受け入れてくれたので何の心配もいりませんでした。農業の知識はまだありませんが、将来、近所の方に教えてもらいながら家の前の敷地で畑をやりたいと思っています」

手厚いサポートのおかげで理想の空き家を発見。

現在、白石さん一家は田村市滝根町にある2階建ての物件を借りて暮らしています。移住先を探す上でネックになるのが住まい探し。白石さん一家はどのようにして住まいを見つけたのでしょうか。

孝行さん「現地訪問と並行して、ネットでも福島12市町村の情報を収集していたところ、田村市への移住相談ができる『田村サポートセンタ―』を見つけました。さっそく2021年の10月に空き家を探していることを伝えると、空き家バンクに登録されていた空き家をいくつか紹介してくれました」

もともと改装をするつもりで空き家を探していたという孝行さん。賃貸で改装が可能な空き家は少ないため、住まい探しには時間がかかると思っていたそうですが、意外と早く条件に合う物件が見つかったそうです。

改装前の様子(白石さん提供)

孝行さん「いま住んでいる物件の他にも紹介していただいたのですが、この物件は空き家だった期間が他の物件よりも短く、改装が必要な箇所が少なかったんです。それに、敷地もかなり広いし、少し高台にあるので周りの田園風景がきれいに見える。すぐに気に入りました。家を借りながら改装をしてもいいかどうかの交渉も、田村サポートセンターのスタッフの方が大家さんと交渉してくださり、スムーズに賃貸契約ができました」

市内の大型スーパーへも車で約10分ほどで行くことができるので、利便性の面でも気に入ったとちひろさんは話します。

賃貸契約を結ぶと、孝行さんは横浜での仕事を辞め、改装のために一足早く2022年3月に田村へ単身移住。1カ月間、市が運営するチャレンジハウスという施設に泊まりながら改装を進めたといいます。

孝行さん「壁を抜いたり、断熱材を入れたりと大掛かりな作業も1人で行ったので、すごく大変でした。妻と子どもが4月に移住してきてからは家族で壁にしっくいを塗ったりと楽しく改装ができたのでよかったですね。まだ直したいところはたくさんありますが、住みながらゆっくり直していければなと思っています」

家族みんなで壁にしっくいを塗り改装を進める(白石さん提供)

ちひろさん「実はお風呂場のクロスは私が張り替えました。穴が空いて失敗したところもあるけど、家族で一緒に楽しく改修をできているのでいいかなと思ってます。家の前のスペースが空いているので、ウッドデッキもあったら良さそうだねと夫と話したりもしています。2階はまだ手を付けられていないんですけど、子ども部屋を作る予定です」

子ども部屋の話をしていると「もう壁紙も決めてるよ」とお子さんがにっこり。家を借りながら改装をするという暮らしのスタイルをお子さんたちも楽しんでいるようです。

改装後のリビング

白石さん一家は田村サポートセンターから空き家の紹介の他にも移住前の現地訪問の際に泊まる宿泊施設の紹介などたくさんサポートを受けたそう。

ちひろさん「補助金の申請って難しい言葉が並んでいてややこしいことがありますが、スタッフの方が申請の仕方を教えてくれるので、スムーズに手続きができました。あとは、移住することが決まったら子どもたちが通う予定の学校への訪問のアポを取ってくださったり、困ったことないですか?とこまめに聞いて気にかけてくださったりもして、ほんとうに無料でいいの?っていうぐらい親身にしてくださいました。田村市への移住を考えている方はまず田村サポートセンターに相談をしてみることをオススメします!」

田村への移住を考えたらSwitchの運営する窓口へ相談を

田村市に拠点を構え地域課題の解決、地域づくりを行う一般社団法人Switch。同社では、移住に関する支援サポートを行う「田村サポートセンター」や、空き家の紹介などをしている「空き家の窓口」を運営しています。

「田村サポートセンター」では移住相談をはじめ、現地調査のお手伝いや支援制度のご紹介をしています。インターネットでは分からない情報をスタッフの方が詳しく教えてくださいます。相談は無料です。

空き家を利活用したい方へ、ご希望に近い物件の紹介・マッチングも行っている「空き家の窓口」。スタッフが念入りなヒアリングをもとにあなたにピッタリの空き家を紹介してくださいます。田村市の空き家をお探しの方はぜひお問い合わせください。


■田村サポートセンター
住所:〒963-4313 田村市船引町石森字舘108(テレワークセンター「テラス石森」内)
Tel:050-5526-4583
E-mail:contact@tamura-ijyu.jp
営業時間:10:00〜20:00  年中無休(年末年始は除く)
※相談対応は事前予約制となりますので、予めメールまたはお電話にてご連絡ください。

■田村市・東京リクルートセンター
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Tel:03-5447-7748
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営業時間:10:00〜20:00  年中無休 ※年末年始は除く
※相談対応は事前予約制となりますので、あらかじめメールまたはお電話にてご連絡いただきますようお願いします。ご相談は、対面、オンライン、お電話でも承ります。
紹介記事:https://mirai-work.life/magazine/1926/

■田村地域空き家の窓口
住所:〒963-4313 田村市船引町石森字舘108(テレワークセンター「テラス石森」内)
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営業時間:10:00~17:00(土日祝日を除く)
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■田村市の移住定住サイト「たむら暮らし」
田村市の暮らし、住宅、仕事・起業、子育て、就農に関する支援制度情報は、田村市の移住定住サイト「たむら暮らし」にまとめて掲載されています。イベント情報も随時更新しています。ぜひチェックしてみてください!
HP:https://tamura-ijyu.jp/
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白石孝行さん ちひろ さん

お二人とも1982年生まれ、神奈川県横浜市出身。2022年3月に田村市滝根町にある空き家の改修のため孝行さんのみ単身で移住。4月には3人のお子さんを連れちひろさんも移住し、現在は家族5人で田村市での田舎暮らしを満喫中。

※内容は取材当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。
取材・文:永井 章太 写真:中村 幸稚