移住サポーター

移住支援のその先へ。人と人、人と地域をつなぐプロジェクト創造拠点「田村市・東京リクルートセンター」

2022年7月29日
田村市
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首都圏在住者と福島県田村市をつなぐ「田村市・東京リクルートセンター」は、渋谷駅東口のランドマークタワー「渋谷スクランブルスクエア」の37階、コミュニティ型コワーキングスペース「WeWork」内に2021年10月に開設されました。

9路線が乗り入れる渋谷駅直結の抜群のアクセス環境と、都内を一望できる明るく開放的なワーキングスペースには、IT、ベンチャー、外資系企業などがオフィスを構え、人と人との出会いと交流が業界を越えたシナジーを生み出しています。

文化・流行の発信地、渋谷ならではのオープンでクリエイティブな環境です。

開かれた地域への入り口

田村市・東京リクルートセンターの特徴は、移住相談対応や就職情報の発信はもちろん、田村市内の地域と人をつなぐコミュニティづくり、交流イベントの企画・運営、企業マッチング、出店相談、VR現地体験に至るまで、現地コミュニティと連携しながら多岐に渡るプロジェクトを展開していること。

そして、それらプロジェクトのひとつひとつが、地方に関心を寄せる若者に地域と関わりながら新しい人生を拓くきっかけを提供していることです。

「地域と関わりたい人、地方に関心がある人は気軽に来て欲しい」と、「地域プロデューサー」として同センターの運営に携わる松本卓也さんは語ります。

田村市リクルートセンター 松本さん

松本さん「生き方や働き方の多様化が進むなかで、特に今20代前半の方はコロナ禍で学生生活や就職活動、キャリア形成に制限が生じたこともあって、今の暮らしへの違和感や今の仕事を続けていくことへの不安感を抱えている方も多いです。 そうした方の中には、“何か”をして地域に貢献したい、“何か”もっと社会の役に立つ実感が持てる活動や仕事がしたい、でもその“何か”が分からない…という、漠然とした悩みを抱えている方も多いですね。 このセンターでは、相談者さん一人ひとりの人生と向き合い、『その“何か”ってなんだろう?』と一緒に答えを探すところからサポートできる体制を整えています」

田村市・東京リクルートセンターでは地域と関わりたい人とより多くの交流機会を持てるよう、相談対応と並行して田村サポートセンターと協働で、オンラインを中心に毎月2~3回ほどイベントを開催しています。

これらのイベントが、“何か”を求めて地域との接点を探す若者と、田村市のさまざまな地域課題とをつなぐ懸け橋になっています。

ファインドローカルプロジェクト:今年5月から6月にかけて開催した、①自分の人生を振り返り、②地域で活躍する人の話を聞き、③今後のアクションを考える、全3回のワークショップ。自己発見をしながら自分らしく地域と関わる方法を探ることができます。

松本さん「僕自身、横浜市で生まれ育ったのでいわゆる“田舎”を持っていないんです。首都圏で生まれ育った人は僕と同じように、地方と関わりたくてもその方法が分からない、リアルな暮らしのイメージが持てないという人も多いのではないかと思います。一方で田村市は、過疎化や、空き家・遊休農地の増加といった地域課題が、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故により更に加速した“課題先進地域”。新しい発想で地域課題に取り組める若い力を、地域全体が必要としています。

少子高齢化に起因する課題など他地域に先駆けて表面化しているものもあるので、田村市で成功事例を作ることができれば全国の自治体の先例にもなりえますし、課題が多い分、“関わりしろ”も多い。地域のために何かしたいという想いのある人にとっては、とてもやりがいを感じる地域だと思うんです。地方への想いがある方と若い力を求めている田村市をつなぎ、実際に行動に移すことができれば、それぞれがより豊かな未来を描けるはず。そう考えて、ここではさまざまな方法で両者が関わり合うきっかけを作っています」

たむら地域再生プロジェクト:田村市で活躍するキーパーソンと、地域活性化や地方暮らしに興味のある人が集う課題解決型のコミュニティ。現実の地域課題をテーマに、それとどう向き合うか、自分には何ができるかを考え、同じ志を持つ人とつながることもできます。

また、田村市で生まれ育った若者は進学や就職をきっかけに故郷を離れ、そのまま首都圏で暮らす方も多くいるので、そうした方々にも、ぜひ気軽にイベントやプロジェクトに参加してほしいと言います。

松本さん「田村市にゆかりのある方が気軽に集えるような交流会も開いていて、故郷を出たばかりの方や故郷が恋しいという人も参加されています。今年5月に横浜で開催した『タムラナイト』というイベントには、都内の大学に通う田村市出身の女の子が参加してくれて、田村市のまちづくり法人『一般社団法人Switch』のメンバーと交流する中で『私も田村のために何かをしたい!』と言ってくれたんです。

彼女は教育格差や、都市と地方の教育価値観のギャップに関心を持っているので、現地と首都圏の学生同士をつないで、お互いに新しい学びが得られるような教育系のコミュニティを作ろうと企画しています。

今は現地と東京をオンラインで気軽につなげますし、東京にいながらでも故郷のためにできることってたくさんあるんですよね」

タムラナイト:田村市にゆかりのある首都圏在住者が、もっと気軽に交流できる場をつくりたいという想いからスタートした交流イベント。田村市のまちづくり法人「一般社団法人Switch」や移住者と連携を図り、現地のキーパーソンとも出会い交流できる。

田村市・東京リクルートセンターでは、首都圏在住者と現地をつなぐだけでなく、現地で活動する地域コミュニティに首都圏在住者を呼び込む活動も行っています。

面積の約62%を森林が占める田村市の恵まれた森林資源をいかし、人を呼ぶコンテンツを作れないかとスタートしたのが、「もりのび」という親子向けの交流イベントです。

 松本さん「自然と暮らしの距離が近く、自然と共生している感じがあるところが田村市のよいところだと思うんです。それなのに、少子化で小中学校の統廃合が進みバス通学をする子どもも増えていて、自然とのつながりが希薄になり、近くて遠いものになっているのが現状です。『もりのび』を通して地域の人と山遊びのスペシャリストなど、森林資源を魅力的に使える外部の人をつなぐことで、地域の子どもたちにとっては里山の魅力を再発見するきっかけになりますし、都会から参加する親子にとっては自然体験や親同士、子ども同士の交流の場になっていて、地域に新しい学び合いの場が生まれています。

 この活動も首都圏の大学に通う学生さんが中心メンバーとなっていて、田村市に半移住する形で関わってくれているんですよ」

もりのび:竹や木材を使ったすべり台づくり・基地づくりなど、森で遊びながら学べるプロジェクト。山遊びのスペシャリストとして知られる「原っぱ大学」主宰の塚越暁さんを先生として招きました。

地域と関わる豊かさを、自ら体現していきたい

「廃校のプールを活用して、田村市初のナイトプールを作れないか?」

「休耕田畑をフィールドに、農地をシェアするコミュニティが作れないか?」

「東洋一とも言われる鍾乳洞「あぶくま洞」と流行りのアウトドアサウナを組み合わせ、田村市ならではのコンテンツを作れたら。」

田村市と地縁がない方でも関わりやすく、ワクワクするようなアイデアはいくつもある。
そしてそれらは、地域内外の人の力が合わさり走りだす日を待っている――。

松本さんがこうしたプロジェクトを通してコミュニティづくりを行う背景には、ご自身の経験と田村市のために力を尽くす地域の方々への想いがあります。

松本さん「僕自身、幼い頃から地域の大人と関わったり、お祭りなどの地域行事に参加したりして地域コミュニティに育ててもらった実感があって。そうした豊かな交流がある地元を後輩世代にも残したいと思って、学生時代に地元のコミュニティの活性化に取り組んでいたんです。

田村市でも今、地域の方々が人と人とのつながりを次の世代に残そう、より良い地域をつくろうと一生懸命に活動をしていて、自分も何かの助けになりたい、一緒に頑張りたいと自然と思うんですよね。何か問題が起こった時も都会のようにお金で解決するのではなく、互いに助け合ってコミュニティの力で乗り越えていく。僕自身、田村市の人のそういうところに共感したし、心地良いと感じています」

コミュニティファームでの地域活動の様子

ひと月の3分の1は田村市に行くという松本さんは、「出張だけでなく旅先も常に田村市なんです」と笑います。 

松本さん「やっぱりプロジェクトを進めている僕自身が、心から楽しんで田村市と関わっているか、実感を持って現地の暮らしの豊かさを人に伝えられるかってとても大切だと思うんです。

プライベートも含めた一個人として田村市との関わりをちゃんと持ちたいと思って、週末は家族と一緒に田村市に行って地域の方と家族ぐるみで付き合っています。

移住をゴールにした支援は移住したところで終わってしまうけれど、地域コミュニティとのつながりや人間関係を構築するところを目標にすれば、移住した後も永く縁が続いていきます。目の前にいる人が叶えたい暮らしや、やりたいことを実現するサポートをして、人と人、人と地域の縁をつないでいく。ここから生まれたプロジェクトやコミュニティが、いつか必ず田村市のためになると信じているんです」

“課題先進地域”である田村市には、地域と関わりたいと思う人を柔軟に受け入れる余白があります。その“関わりしろ”に、あなたが探している自分らしい居場所や活躍のチャンスがあるかもしれません。

地域と関わりたい人、地方に関心がある方は、ぜひ気軽に「田村市・東京リクルートセンター」のイベントやプロジェクト、相談窓口をご活用ください。

地域への入り口は、いつでも開かれています。

■田村市・東京リクルートセンター
住所: 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2丁目24−12 37階(WeWork 渋谷スクランブルスクエア内)
Tel:03-5447-7748
E-mail:contact@tamura-ijyu.jp
営業時間:10:00〜20:00  年中無休 ※年末年始は除く
※相談対応は事前予約制となりますので、あらかじめメールまたはお電話にてご連絡いただきますようお願いします。ご相談は、対面、オンライン、お電話でも承ります。

■田村市のイベント情報(随時更新)
最新のイベント情報は、田村市の移住定住サイト「たむら暮らし」と田村市のSNSに随時掲載していますので、ぜひチェックを!
HP:https://tamura-ijyu.jp/events
Facebook:@tamuragurashi
Instagram:@tamuragurashi

■田村市の支援制度
田村市の暮らし、住宅、仕事・起業、子育て、就農に関する支援制度情報は、田村市の移住定住サイト「たむら暮らし」にまとめて掲載されています。移住・定住にかかる負担を大幅に軽減できる制度になっているのでぜひご活用ください。
https://tamura-ijyu.jp/

※所属や内容は取材当時のものです。
取材・文:高田裕美 写真:鈴木優太