各市町村の移住担当者に聞く！我がまちの住まい探し 田村市編
田村市にはどんな物件が多い？地域全体で一戸建てが多く、集合住宅は中心部の船引地区に集中」
阿武隈高原に位置する田村市は、福島県の中央部にあり東北新幹線が停まる郡山駅から磐越東線で船引駅まで約25分、郡山JCTから磐越自動車道で船引三春ICまで約20分、田村スマートICまで約25分とアクセスが良い地域です。田村市には、市役所（本庁舎）があって商業施設が多く集まる中心エリア＝船引地区と、自然豊かな環境を生かした農業や林業が盛んな4つの地区（滝根、大越、都路、常葉）があります。
物件の種別としては田村市全体で「一戸建て」が多いです。アパートなどの集合住宅は、船引エリアに集中しています。滝根、大越、都路、常葉の４地区は、一戸建てに住まう方が多く、集合住宅は、各地区に数棟のアパートしかないのが実情です。
今回は、市の担当者、「空き家の相談窓口」の担当者、田村市で集合住宅の仲介を行う不動産会社に、それぞれ住まい探しのコツをお教えいただきました。
空き家探しのススメ なぜ、空き家があるのに、空き家情報が出てこないの？
移住や田舎暮らし＝「空き家」や「古民家」などを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、テレビや雑誌等で取り上げられる「安くて」「かっこいい」空き家の情報が見つかるケースは多くはありません。日本では「空き家」が増えているというニュースがあるため、空き家を貸したがっている・手放したがっているという人も多いのではないか？と思われる方もいるかと思います。
しかし、地方の空き家には様々な事情があって、なかなか情報が出てこないのです。
家の所有者の事情
- 先祖代々の家を自分の代で終わらせるわけにはいかない
- 手放すことで、近隣の方から何か言われるかもしれない
- 家財道具や仏壇を処分する費用がない
- 盆暮れ正月は使っているし、空き家ではなくて「実家」だ
- いつか子や孫が使うかもしれない
など、様々な理由で、「家を手放さない」方も多いのです。
不動産会社の事情
日本では、不動産の売買・賃貸借契約は、原則「当事者取引」か「不動産会社」を入れた契約となります。
当事者同士で契約をすれば、仲介手数料等を支払わなくて良いので、金銭的なメリットがありますが、何かあったときに当事者同士で解決しなくてはいけないリスクもあります。特に、空き家等の古い家の場合には、見た目ではわからないような家の傷みや、隣家との境界問題、売主・貸主側の相続の問題などもあるので、専門家に入ってもらった方がトラブルになった時に解決しやすい部分もあります。
しかし、不動産会社が古い空き家を案内しても「イメージと違った」と成約にならないケースも多く、空き家を積極的に取り扱わない、という不動産会社もあるのが実情です。
そうは言っても、不動産会社が全く取り扱っていないわけではありません。
では、どうやって空き家情報を探せば良いの？
物件の探し方としては、主に以下の2つの方法があります。
①不動産会社の物件を探す
②市が運営する空き家バンクや、地域の団体が運営する地域の空き家の相談窓口に登録されている物件を探す
①不動産会社の物件を探す
不動産会社によっては、「売買」だけをやっているところ、「賃貸だけ」をやっているところなど、様々なタイプもありますので、ホームページや電話・メール等で問い合わせをしてみるのも1つの方法です。
田村市の不動産会社一覧
| 商号 | 営業所の所在地 | 電話番号 | ホームページ |
| (株)アップ ポイント | 〒963-4312 田村市船引町船引字扇田231-1 | 0247-81-1571 | http://uppoint-tamura.com/ |
| アドレス(株) 田村店 | 〒963-4312 田村市船引町船引字反田80 | 0247-61-5145 | https://www.address-web.co.jp/about/shop/shop_tamura/ |
| シンエイ興業 | 〒963-4312 田村市船引町船引字砂子田178 砂子田コーポ102 | 0247-82-2122 | https://www.zennichi.net/m/shinei/#pg_top |
| 田村産業(株) | 〒963-4317 田村市船引町東部台一丁目8 | 0247-82-0720 | http://www.tamurasangyo.co.jp/ |
| ハウジング スタイル (株) | 〒963-4316 田村市船引町芦沢字霜田31 | 0247-82-5519 | http://www.zennichi.net/m/housing_s/index.asp#pg_top |
| 富士工業 (株) | 〒963-3601 田村市滝根町菅谷字沖田15 | 0247-78-3355 | http://www.fuji-i.co.jp/profile.html |
②市が運営する空き家バンクや、地域の団体が運営する地域の空き家の相談窓口に登録されている物件を探す
不動産会社が取り扱わない物件でも、所有者からの相談を受けて、空き家を希望者にマッチングできるように、自治体や地域の団体が制度や活動を行っている場合があります。田村市の場合は、自治体として田村市が「田村市空き家・空き地情報バンク」を整備しています。また、田村市移住ワンストップセンターを運営する（一社）Switchが「田村空き家の窓口」をテラス石森に設置し、こちらのサイトでも空き家の情報を紹介しています。
田村市空き家・空き地情報バンクに登録されている物件を探す（田村市役所）
https://tamura-c07211.akiya-athome.jp/
田村空き家の窓口に登録されている物件を探す（（一社）Switch）
https://tamura-akiya.com/
空き家の相談員が教える、空き家探しのコツ「まずは集合住宅や公営住宅で仮住まい。地域に入ってみてから、資金を貯めて、エリアをじっくりリサーチ」
移住するなら「空き家」で。でも失敗はしたくないから、購入ではなくできれば「賃貸」で始めたい、と思う方も多いでしょう。しかし、空き家を手放したい所有者の多くは、「どうせなら売りたい」という方も多いのが実情です。
空き家の「賃貸」はなかなか出ません。田舎の古い家の賃貸の場合には、都市部のマンション等のように、何かあっても全て「所有者が修繕」を負担してくれるものでもありません。所有者としては、安い賃料で貸し出し、修繕を依頼されるリスクがあるなら、物件を手放したいと思う方が多いのです。
空き家バンクで賃貸物件が出てくるケースもありますが、同じニーズを持つ移住希望者もいるので、すぐに決まってしまう場合もあります。
とりあえずは、地域の集合住宅や公営住宅に入ってみて、地域の人と仲良くなるうちに、本当に希望する地区や物件を紹介してもらい、物件を見つけている人もいます。こうした二段階の移住も1つの方法です。
（（一社）Switch 田村地域空き家の窓口 相談員 佐久間 朱妙さん）
集合住宅探しのススメ
田舎では集合住宅があるエリアは限られます。最初の「田村市にはどんな物件が多い？」でも触れましたが、アパートなどの集合住宅は、船引エリアに集中しています。滝根、大越、都路、常葉の４地区は、一戸建てに住まう方が多く、数棟しかアパートがないのが実情です。
今回、田村市で集合住宅の情報を取り扱う不動産会社「（株）アップポイント」の佐久間社長に、田村市船引地区の集合住宅の探し方を教えていただきました。
佐久間 幸彦 さん
(株)アップポイント、代表取締役社長。住宅メーカー勤務を経て、地元田村市に平成12年4月にアップポイントを創業。田村市や隣接する三春町などを中心に、土地・建物の不動産売買、賃貸等の仲介のほか、不動産オーナーからの委託を受け、賃貸の集合住宅の管理業務等も行なっている。
◆ 集合住宅の数
Q どれくらいの集合住宅（アパート等）の物件がありますか？
A 田村市船引地区には、築年数の古いものから、新築のアパート等を含めておよそ190カ所、1500世帯のアパートがあります。工業団地が増えたり、大規模な牧場ができる計画があったり、阿武隈高原一帯で風力発電が進む動きもあり、新しい物件が増えています。郡山や浜通りといった東西にも出やすく、阿武隈高原に沿って南北にも出やすい田村市は、通勤する上でも便利なので、新しいアパートなども増えています。
◆ 物件タイプについて
Q どんな物件が多いですか？（単身向け/ファミリー向けなど）
A 1LDK〜2DKの物件が約５割、2LDKの物件が約３割と、単身/ファミリーどちらでも使えるサイズの物件が多いです。田村市には大学や専門学校等がないので、単身向けの物件、一部屋の1R～1DKは多くはなく、全体の約２割程度です。
◆ 家賃相場
Q 家賃の相場はどの程度ですか？
A 1LDK〜2DKの物件は5万円台が中心です。築年数の新しいものは6万円台のものも多いですね。2LDK以上になると金額も5万円台後半に上がり、築年数の新しいものは7万円台になります。先ほど、単身向けの物件が少ないと言いましたが、その中でも新しい物件は少なく、割と古い物件が多いのが実情です。築25年以上と古さもあって、家賃は和室の１Kは3万円前半が中心です。
◆ 物件の空き状況
Q 集合住宅は比較的空いていますか？
A 2021年12月時点での空室率は、約10％。募集中の物件は、100〜150戸くらいです。1〜3月の年度末に物件が増えますが、転勤や就職等で2〜4月に入居する人が増えるので、また数は減っています。
佐久間社長の、移住者住まい探しエピソードと移住を希望する方へのアドバイス
事業の立ち上げで田村市に移住することになったAさんは、寝泊まりと事務所機能ができればということで、アパートを探しにいらっしゃいました。起業に当たっては様々なお金が必要になるので、古いアパートでも大丈夫というお話を聞いて、物件を紹介しました。
新しいアパート等も増えていますが、家賃もその分高くなります。古い物件も味わい深いものもあります。物件のオーナーによっては、DIYをすることをOKしてくれる方もいらっしゃいます。
空き家の賃貸を希望する人もいますが、なかなかそうした物件は出にくい。家に庭等がなくても、田村市は車で5分も走れば、自然豊かな風景が広がります。どんな住まい方をしたいのかを教えてもらえれば、その人に合った暮らし方の相談に乗りますので、ぜひご相談ください！
アップポイントのホームページ、物件情報はこちら
http://uppoint-tamura.com/
https://www.athome.co.jp/list/estate/buk/kr/068054/
公営住宅のススメ
田村市では、移住希望者向けの市営住宅を用意しています。
物件の購入は慎重になりたい、移住して転職をするとなると住宅ローンも組みにくい、空き家を賃貸してもらえるように地域の方と仲良くなりたい等、移住・定住希望者が居住する住宅を取得するまでには時間を要します。そこで、田村市では、定住の検討期間の住居として利用できるよう、移住者向けに一部の市営住宅の入居者を募集しています。
諸条件があるので、詳しくはサイトをご覧ください。
移住希望者向け市営住宅（地域対応活用住宅）入居者募集
田村市で使える住宅支援制度はこちら
田村市には、移住者向けの住宅に関する支援制度も充実しています。ぜひ、活用してみてください。
◆ 空き家リフォーム補助
市外から転入する方を対象に、空き家バンク物件のリフォーム費用を補助します。
【お問合せ】
田村市 企画調整課
TEL : 0247-61-7615
URL : https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/1/souseikurashi.html
◆ 「住んでふくしま」空き家の改修を補助
県内に定住するための空き家改修等に、補助金最大250万円を交付。
【お問合せ】
県中建設事務所 建築住宅課
住所 : 〒963-8540 郡山市麓山一丁目1番1号
TEL : 024-935-1462
URL : https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065b/sundefukushima.html
◆ 転入子育て世代 空き家リフォーム補助
市外から転入する子育て世代が空き家バンク物件のリフォーム
⇒空き家リフォーム補助
⇒子ども（15歳以下）1人あたり10万円を支援
【お問合せ】
田村市 企画調整課
TEL : 0247-61-7615
URL : https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/1/souseikurashi.html
◆ 「来て ふくしま」 住宅取得を支援
県外から県内に移住・定住するために住宅を取得する方
〇補助基本額：最大70万円
〇補助加算額：最大30万円
【お問合せ】
福島県 建築指導課
住所 : 〒960-8670 福島県福島市杉妻町2-16
TEL : 024-521-7528
URL : https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065b/kitefukushima.html
◆ 転入子育て世帯 住宅取得補助
市外から転入する子育て世帯（15歳以下の子を持つ世帯・転入する直前に連続して3年以上市外に在住）が転入から3年以内に住宅を新築した際に、100万円を補助します。
支援内容／取得額1,000万円以上の物件に対し100万円
県外からの転入者は上記と併用可。
【お問合せ】
田村市 企画調整課
TEL : 0247-61-7615
URL : https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/1/souseikurashi.html
※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。