ふくしま12市町村の冬でも登れる低山4選
福島12市町村には初心者でも登りやすい標高1,000メートル以下の低山が数多くあります。雪の中を歩く登山は特別な装備が必要ですが、まだ雪が降り積もる前の低山なら特別な装備なくハイキングができます。今回は、登山道が比較的整備されていて冬ならではの景色も楽しめる南相馬市、川俣町、田村市から登れる低山をご紹介します。
目次
冬の低山の魅力は?
低山登山は、山頂に立つ喜びや自然の中でしか味わえない風景など、登山の醍醐味を気軽に味わうことができるレジャーです。夏場の低山は平地よりも暑く感じられるのが一般的で、草が生い茂り、虫も多くいるため避ける登山者が多くいます。一方、まだ積雪のない冬は、寒さで澄みわたるような空気感を味わえる低山登山におすすめの時期です。日没が早いため、早めの入山下山と寒さ対策を心掛ければ、ここでしか見られない自然の豊かさが感じられます。入山の際には、万が一に備えてクマよけの鈴などを忘れずに携行しましょう。
登山を始める前に知っておくべきことはこちらの記事でもご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/11248/
2024年に登山道を再整備。南相馬市「国見山」
標高:564メートル
おすすめルート:高倉登山口~山頂往復(A)、押釜登山口~山頂往復(B)、国見山森林公園~山頂往復(C)
コースタイム:A=3時間、B=3時間30分、C=1時間30分
東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故と2019年の東日本台風の影響を受けて登山道が荒廃していましたが、2024年に再整備が完了しました。中腹にある展望台「展望の丘」からは南相馬市市街地の先に太平洋が一望でき、天気の良い日は宮城県の金華山まで見ることができます。
積雪がなければ冬でも快適に登ることができます。高倉登山口・押釜登山口は常磐自動車道南相馬ICから車で15分ほどというアクセスの良さも魅力。最短コースは中腹の国見山森林公園から登るルートで、移動の負担が少なく気軽に登れる山としても愛されています。登山道は一部整えられていないところがあり、道順を示す看板は少ないので登山アプリなどで地図の用意をお忘れなく。
詳しくはこちら
https://www.city.minamisoma.lg.jp/portal/sections/18/1820/18703/25357.html
■高倉登山口
所在地:福島県南相馬市原町区高倉字尻掛1-3地先
駐車場あり
■押釜登山口
所在地:福島県南相馬市原町区押釜字大谷地163-49地先
駐車場あり
■国見山森林公園
所在地:福島県南相馬市高倉字東国見36-4地先
駐車場あり
※写真は南相馬市提供
冬ならではの現象も楽しめる川俣町「口太山」
標高:842メートル
おすすめルート:猿滑りの滝経由・口太山登山口往復
コースタイム:約1時間40分
口太山(くちぶとやま)は登山道と山頂が整備された登りやすい山で、川俣町と二本松市にまたがっています。山頂には大きな樹木が少なく、遠くの景色までよく見渡すことができます。降雪は少ないため、冬でも登ることが可能です。
口太山登山口から登り始めてまもなくのスギ林には平らな岩から水が流れ落ちる「猿滑りの滝」があります。ここでは1~2月の冬季に、雫が瞬時に凍りついてできる逆さの氷柱「氷筍(ひょうじゅん)」を見ることができます。春にはヤマツツジの花を探しに行く登山者も多くいるのだそう。ほかに、うず高く伸びた石柱のある「石尊神社」に立ち寄れるコースも初心者におすすめです。
詳しい情報はこちらからご覧ください。
https://www.town.kawamata.lg.jp/site/kanko-event/kankou-yama3-tozan.html
■口太山登山口 駐車場
所在地:福島県伊達郡川俣町大綱木西馬道4
トイレ:簡易トイレあり
※写真は川俣町提供
愛称は田村富士。田村市のシンボル「片曽根山」
標高:719メートル
おすすめルート:田村市片曽根山森林公園周辺駐車場→舗装路経由で山頂 往復
コースタイム:約1時間50分
田村市の中心部である船引町から気軽に登れる山です。外観の美しさから「田村富士」と呼ばれ、ロードレース大会の名前に採用されるなど、地域のシンボルとして愛されています。山頂には展望デッキがあり、船引町全体が見渡せ、ベンチや東屋もあるため頂上でゆっくり休憩ができます。
登山口は田村市役所から車で5分ほどの利便性の高い距離にあります。12月から1月に登る人も多く、登山道は主に車でも通れるアスファルトで舗装されたコースです。山頂までは車で行けるため車通りがあります。交通事故や路面の凍結には十分注意して歩くようにしましょう。
■田村市片曽根山森林公園
所在地:福島県田村市船引町船引字四城内前196番地2
トイレ:駐車場にあり(凍結時以外使用可能)
※写真は田村市提供
晴れた日は太平洋まで見渡せる田村市「移ヶ岳」
標高:994メートル
おすすめルート:移ヶ岳東登山口往復コース
コースタイム:約1時間20分
特に秋から冬にかけて登山者が多く、山の東側を経由して山頂を目指す「東登山口」と、西側を経由する「西登山口」の2つの登山口があります。東側のルートのほうが距離はありますが、比較的傾斜が緩やかなため、初心者は東登山口から登るのがおすすめです。東登山口には駐車場がありませんが、700メートルほど手前の西登山口そばにある瑞峰平駐車場を利用しましょう。
山頂は視界をさえぎるものがなく、日本百名山の安達太良山や吾妻連峰、那須連峰が見渡せ、晴れた朝には太平洋が見えることもあります。山頂付近は狭い岩場で傾斜がありロープを使って登るため、手袋や滑り止め軍手などの装備は忘れずに。
■移ヶ岳 瑞峰平駐車場
所在地:福島県田村市船引町北鹿又
トイレ:駐車場にあり(冬季閉鎖)
※写真は田村市提供
まとめ
東北・福島県というと雪が多いイメージを持っている人もいるかもしれませんが、12~1月は積雪のない低山も多くあり、長く登山シーズンを楽しめます。ご紹介したもののほかにも、福島12市町村から入山できる低山は多くあります。ぜひ冬ならではの景色を探しに行ってみてください。
初心者でも登りやすい福島12市町村の低山はこちらの記事でもご紹介しています。
https://mirai-work.life/magazine/11248/
※内容は公開当時のものです。
取材:佐藤萌加 文:五十嵐秋音