イベント

【移住セミナーレポート】第3回ふくしま12市町村移住セミナー レポート(2022年3月8日開催)

2022年3月23日

ふくしま12市町村移住センターでは、移住をご検討されている方や新しいお仕事をお探しの方により多くの求人情報をお届けするため、さまざまなスタイルで情報を発信しています。

今回は、去る2022年3月8日(火)にオンラインで開催された『第3回ふくしま12市町村移住セミナー』の模様をレポートします。

川俣町・富岡町・葛尾村・田村市で活躍する移住者が登壇

このイベントにゲストとして登壇したのは以下の4名の方々です。

  • 谷口豪樹さん(福島市在住、川俣町にて起業)

    株式会社smile farm代表。埼玉県出身。2013年に前職で福島に転勤。川俣町山木屋地区で花き農家をしていた義理のお父様の影響で農業に触れ、2018年、川俣町のアンスリウム栽培計画事業立ち上げと同時に会社を立ち上げアンスリウムを生産。現在は米やイチゴも手掛け、2022年からは観光農園の運営もスタート。
  • 辺見珠美さん(富岡町在住)

    一般社団法人とみおかプラス勤務。東京都大田区出身。大学で原子力と放射線について学び、2012年、当時川内村にあった福島大学うつくしまふくしま未来支援センターいわき・双葉地域支援サテライト(現・富岡サテライト)の放射線担当職員として移住。現在はとみおかプラスで移住相談担当として従事。
  • 堺亮裕さん(楢葉町在住、葛尾村勤務)

    一般社団法人葛力創造舎勤務。大阪府富田林市出身。大学で防災・復興を研究する中で楢葉町の復興に関わり、大学卒業と同時に楢葉町に移住。2021年4月より葛力創造舎に勤務し、葛尾村の風土や文化を探求しながら、まちづくり、地域のコミュニティづくりに関わっている。
  • 久保田健一さん(田村市在住)

    一般社団法人Switch代表。田村市出身。広告代理店で10数年にわたり広告業界に関わる。東日本大震災後、自らの働き方を考え直す中で地域に目を向け、地元田村市にデザイン会社(株式会社Shift)やまちづくり会社であるSwitchを立ち上げ。事業サポート、地域課題の解決、交流・賑わい作りに関わる。

今回のセミナーでは、冒頭にふくしま12市町村移住支援センターから12市町村の概要・現状及びセンターの取組について説明したあと、ふくしま12市町村移住支援センター 藤沢烈センター長をファシリテーターに、上記の4名の方々にお話をうかがいました。

12市町村には挑戦できる環境がある

藤沢 移住を決断するにあたって、みなさんそれぞれ何を最も重視しましたか?

谷口 僕は「やりがい」です。川俣町はアンスリウムの栽培事業に乗り出してからわずか3年で日本一の生産量を誇るまでになり、川俣アンスリウムのブランドをつくることに成功しました。川俣ドリーム、12市町村ドリームといえると思います。12市町村には挑戦できる環境があります。自分が好きなことを仕事にできます。このやりがいが感じられなかったら、移住先は他の県でもよかったのかなと思っています。

 一つは「人」です。地域のおっちゃんたちとお酒を飲むのが大好きで、飲んでいると地域のいろんなことを教えてくれます。その人との関わりのなかでどんどん地域を好きになっていくことができました。
もう一つは「気候」です。僕が生まれ育った大阪はコンクリートジャングルで、夏は本当に蒸し暑くて大嫌いでしたが、楢葉町は夏でも山と海からとても爽やかな風が吹いて過ごしやすいです。この地域のそうした気候が大好きで、外に出ることが以前より多くなりました。

辺見 私は川内村からいわき市を経て富岡町に住むことになりましたが、富岡町に来ることになった大きな決め手は、とても素敵なお家を紹介してもらったことでした。家に求める条件とタイミングがぴったりハマって、「この家に住みたい」って思えました。その家はもともと川内村にいた時の友達の親戚の家で、不動産屋さんに情報が出ているような物件ではなかったのですが、地域の人達とのつながりを持てたことで、そうした幸運にも出会えたということだと思います。

久保田 私はもともと地元の出身なのでみなさんとは少しスタンスは違いますが、「理想とする生活が成り立つか」ということが一つの軸だと思います。その軸が仕事にあるのか、生活スタイルにあるのかは人それぞれだと思いますが、受け入れる側としては、それぞれの方が求めるものを提供できるかどうか、それを可視化してあげる作業が必要になるかと思っています。

住環境に必要なものは事前に調べておいたほうがいい

藤沢 実際に移住されてみて、生活で困ったことはありましたか?

 最初は車ですね。新卒でそのまま福島に来たので最初は車が買えなくて、1年ぐらい自転車が移動手段でした。向かい風が強い日は前に進めなかったり、逆に追い風だったら勝手に30kmぐらいスピード出たりする日もありました。でも、自転車であちこち移動したことで地域を知ることができ、楽しかったです。

谷口 僕もまず車が困りごとでしたが、僕の場合は雪道の問題ですね。埼玉にいた頃から運転は日常的にしていましたが、雪道を運転した経験はなくて、スタッドレスタイヤを履いたこともありませんでした。しかも、仕事を始めてからはマニュアルの軽トラックを運転しないといけなかったので、初めはとても怖かったです。

藤沢 ひと口に福島の12市町村と言っても内陸の川俣町は比較的雪が降りますからね。一方、海に面する地域は雪はほとんど積もらないと思いますが、辺見さん、いかがですか?

辺見 富岡はほとんど積もらないです。ただ、冬ということで私が困ったのは、最初に住んだ川内村が想像以上に寒かったことですね。それまでは灯油を使ったことがなくて、ファンヒーターも持っていませんでした。冬は家の中でも氷点下になるぐらいにとても 寒くて、大家さんが心配してファンヒーターを貸してくれてました。自分の住環境に必要なものは事前に現地の人に聞くなどして調べておくことが大事ということを痛切に感じましたね。

藤沢 我々ふくしま12市町村移住支援センターでは、「ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金」という制度をご用意しています。年間5回まで使える、おそらく他の地域にはない補助金制度ですので、これから移住を検討される方には、この補助金を使って、季節のいい時期にはもちろん冬の福島もぜひ事前に感じていただきたいですね。

田舎は「楽しいことに忙しい」

久保田 福島に来る前と来た後でイメージが違ったようなことがあればぜひ聞いてみたいのですが、いかがですか?

 「田舎って思ったより忙しいな」というのが第一印象でしたね。農業は1年を通していろいろとやることがあるし、みなさん家が大きいので掃除も大変です。スローライフと言ってはいるけれど、むしろ都会の人達より忙しくしている。なのにみんな楽しそうにしているというところに、いい意味でのギャップを感じました。

辺見 本当に忙しいですよね。山菜採りなんてタイミングを逃しちゃうとすぐに伸び過ぎてしまうので、年間スケジュールをしっかり組んでおかないといけません。でも、ただ忙しいのではなくて「楽しいことに忙しい」という感じです。

藤沢 移住してみて「うれしい」と思ったことはどんなことでしょうか。

谷口 たった一日会わなかっただけで「どうした?」みたいな感じでみんな心配してくれます。そういう温かさ、家族みたいな関係に触れられる時がうれしいですね。

久保田 以前よりも自分事として、納得しながら仕事ができていることが、うれしいというか、以前とは違うのかなと思っています。

辺見 私は友達が増えたことですね。東京にいた時よりも移住してからのほうが人間関係が広くなりました。ただの知り合いとかではなく、自分の想いに共感してくれたうえでつながった仲間ばかりだと思っています。

 僕も、人との縁が一番ですね。新卒で福島に来たので最初はいろいろ仕事ができなくて迷惑をかけたこともありましたが、いろんな人と関わりを持つ中で少しずつでも成長できていると感じさせてもらえて、とてもありがたいと思っています。

来てもらえれば、僕らが楽しい顔をしている理由がわかります

藤沢 最後に、これから移住を考える人たちにひと言ぜひお願いします。

辺見 足りないものはいろいろありますけど、それを自分達の手で作っていくというか、自分達で地域に彩りをつけていく楽しさがあります。一緒にその仲間になりませんか?と伝えたいです。

 僕は、住まいは楢葉町、仕事は葛尾村ですが、楢葉町にも葛尾村にも魅力的な文化がたくさんあります。その他の地域にもよく足を運んでいますが、12市町村は本当に色とりどりで楽しい場所ばかりだと感じています。ぜひ一度遊びに来ていただきたいなと思います。

久保田 地域の側に受け入れる人がちゃんといますよということを感じていただければありがたいと思います。移住していただくことは僕ら受け入れる側にとっても良い変化が起きるきっかけになるので、まずは来て、頼っていただきたいです。

谷口 「住めば都」ではないですけど、住んでみてわかる良さがたくさんあると思います。まずは来て体感してもらえれば、僕らが楽しい顔をしている理由がわかると思うので、ぜひ12市町村に来てください。

藤沢 みなさん、本日は長時間ありがとうございました!

※このセミナーの模様は福島イノベーション推進機構のYouTubeチャンネルでアーカイブ配信されております。ぜひそちらもご覧ください。