生活・その他

ふくしま12市町村のまちを体感!代表的なマラソンイベントを5つ紹介

2024年7月8日

福島12市町村への移住後は、自然を感じつつスポーツを楽しみたいと考えている人も多いのではないでしょうか。そんな人には、マラソンがおすすめです。マラソン大会に出て自然豊かなまちを走ると、人のあたたかさやまちの文化・伝統に触れることができます。
今回は、まちをより深く知るのにもぴったりな、福島12市町村のマラソンイベントをご紹介します!

目次

サッカーの聖地を走る「Jヴィレッジハーフマラソン」

東日本大震災の被災地域の復興を願う「復興マラソン」として、2019年から開催されているマラソン大会です。サッカーのナショナルトレーニングセンターとして名高い楢葉町の「Jヴィレッジ」を発着点として、楢葉町と広野町を走ります。

写真提供=Jヴィレッジ

サッカー日本代表の練習でも使用される美しいピッチでウォーミングアップできるのは、サッカー好きにもたまらないはず。この大会ならではの魅力です。アップダウンの激しいタフなコース設定ですが、走り切った時の達成感はひとしお。沿岸のコースは解放感があり、走りやすく、太平洋を一望できる絶景ポイントもあります。
楢葉町の復興のシンボルである「ここなら笑店街」や、広野駅前通り商店街もコースに含まれており、沿道の声援を受ければ、復興に向かう地域の活気を感じられます。

レース中は、補給食として地元名産の茶まんじゅうや、みかんなどが提供されることもあるのだとか。広野町産のみかんはみずみずしく、栄養と水分が同時に補給できることから、出場者からは「レースの途中で味わえる甘酸っぱさが最強!」と絶賛の声が上がっています。

写真提供=Jヴィレッジ

2023年の大会では、ゴール地点で焼き芋や豚汁の振る舞いがあったほか、周辺地域の飲食店などが出展するイベント「Jハーフ商店街」も同時開催されました。完走後も疲れた体を癒しながら、地域の魅力が味わえる大会です。
また、子ども向けにピッチを開放してサッカーなどのさまざまな遊びができるイベント「遊び村」もあり、ランナーだけではなく家族で楽しむこともできますよ。

■Jヴィレッジハーフマラソン
開催時期:12月
エントリー時期:7月~10月
距離:ハーフ(高校生以上男女)、10km(一般・高校男女)、5km(一般・中高男女)、1km(小学男女)
主催:Jヴィレッジマラソン実行委員会、広野町、楢葉町

村のあたたかさを感じる「川内の郷かえるマラソン」

写真提供=かわうちラボ

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故による川内村の全村避難が解除された直後の2016年、住民の帰還を願う児童による「子どもたちの夢企画」としてスタートしました。大会名の「かえる」は、川内村に生息するモリアオガエルに由来するほか、避難住民とランナーが「帰る」場所でありたい、村を新しく「変える」イベントにしたいという意味が込められており、復興の希望となる大会です。また、村名の「川内」が結ぶ縁として、プロランナーの川内優輝選手が毎年ゲストランナーとして出場しており、力強い走りを間近で見ることができます。

稲刈り前の、毎年9月に開催される大会で、コースは黄金に輝く田園風景を眺める田んぼ道。秋の川内村の豊かな自然の中を気持ちよく走ることができます。アップダウンが少ないため初心者でもチャレンジしやすく、親子で出場する小学生から60歳以上まで、さまざまな年代のランナーが参加します。記録を目指す人ばかりではなく、「仮装賞」を目指してユニークな服装で出場するランナーもいます。

ランナーが口をそろえて語るこの大会の良さは、なんといっても地元住民のあたたかさ。村じゅうでランナーをもてなす空気ができており、沿道からは子どもからお年寄りまで、絶えず住民の声援が飛びます。
完走者には村民手作りの陶器メダルが授与されるなど、アットホームな雰囲気を楽しむことができます。

村の人の優しさやおもてなしを肌で感じることのできるこの大会は、多くのランナーから愛されており、「また川内村で走りたい!」と毎年出場するリピーターも多いようです。

■川内の郷かえるマラソン
開催時期:9月
エントリー時期:4月~7月
距離:ハーフ(18歳以上男女)、10km(高校以上男女)、5km(中学以上男女)、3km(中学男女・年齢不問男女)、1.5km(小学男女・ファミリー)
主催:川内の郷かえるマラソン大会実行委員会

片曽根山を望む「田村富士ロードレース大会」

写真提供=田村富士ロードレース大会実行委員会

2023年に42回目の開催となった、地域に根付く伝統ある大会です。東日本大震災直後の2011年9月にも開催され、地域を盛り上げました。「田村富士」とも呼ばれる片曽根山の美しい山容を眺められる絶景コースを求めて、県外からも出場者が集まります。

発着点となる田村市運動公園は清潔感のある施設。レースの前後は陸上競技場と体育館が開放されるため、ベストな環境でウォーミングアップやクールダウンができます。

アップダウンの多いタフなコースが特徴。終盤に長い坂があるため、ペース配分が大切です。難しいコースで自分の実力を試したいという人にはぴったりでしょう。
一方、出場区分が細かく分けられているため、ほかの大会と比べて入賞しやすい傾向もあります。マラソン初心者でも入賞を狙える可能性があるということは、大きなモチベーションに繋がるでしょう。

また、高校生区分では、陸上競技の強豪校として知られる県立田村高校の陸上部も毎年出場しています。実力のある選手と肩を並べて走ることができ、レベルの高いレースも期待できるかもしれません。

■田村富士ロードレース大会
開催時期:10月
エントリー時期:7月~8月
距離:10km(一般男女、高校男子)、5km(一般・中学男子、高校女子)、3km(中学・一般女子)、2km(小学4~6年男女、親子)、クロカンウォーク
主催:田村富士ロードレース大会実行委員会

野馬追文化を感じられる「野馬追の里健康マラソン大会」

写真提供=南相馬市

南相馬市で開催される大会です。一般の部は5km、10km、ハーフと幅広いコース設定となっており、レベルに合わせて選ぶことができます。ウォーキング大会も同時開催しており、全国から3,000人近いランナーやウォーキング愛好者が集います。

2023年に第36回を迎えた歴史ある大会です。スムースな運営で移動などの流れがわかりやすく、こまかな距離表示からペース配分がつかみやすいため、大会初心者でも参加しやすいと評判です。ハーフのコースには急坂もありますが、登り切ればゴールまではほぼ下り坂。特徴を把握すれば、高順位も十分に狙えるコースです。10kmや5kmは全体的にゆるやかなコースなので、坂道が苦手なランナーにもおすすめです。

完走後は、豚汁が無料でふるまわれるほか、地元特産品があたる抽選会もあり、気軽な力試しとして参加するだけでも楽しめるでしょう。

コースは、相馬野馬追のメイン会場すぐそばに位置する雲雀ヶ原(ひばりがはら)陸上競技場を発着点とし、まちなかを走ります。スタート前には野馬追が出陣する合図として鳴らされるほら貝が鳴り響いたり、沿道では馬がランナーを見守っていたりと、レース中にも地域の伝統を感じることができます。

ランナーの士気を高める出陣のほら貝演奏(写真提供=南相馬市)

■野馬追の里健康マラソン・ウォーキング大会
開催時期:12月
エントリー時期:8月~9月
距離:ハーフ(一般男女)、10km(一般男女・高校生男子)、5km(一般男女・中学生男子)、3km(小学5・6年男子・中学生女子)、2km(小学3・4年男子・小学3~6年女子・親子ペア)、1.5km(小学1・2年女子・小学2年男子)
主催:野馬追の里健康マラソン大会実行委員会

まちの復興を知る「とみおか復興ロードレース」

写真提供=富岡町

東日本大震災以前は「とみおかロードレース大会」が開催されていた富岡町。全町避難によって途絶えていた文化を取り戻すとともに、まちの復興を後押しするため、避難指示解除後の2017年に「とみおか復興ロードレース大会」として新たなスタートを切りました。

10kmコースの前半は、太平洋を一望できる直線コース。富岡漁港を横目に、潮風を感じながら走ることができます。5kmコースと10kmコースの後半は、田んぼ道を駆け抜けます。富岡の豊かな自然を感じることができるとランナーからも評判のコースです。会場は富岡町の中心地にも近く、復興に向かう町の様子を知ることができます。

また、ゲストランナーでシドニーオリンピック金メダリストの高橋尚子選手の存在も、この大会の魅力の一つ。高橋選手は第1回大会から毎回ゲストとして参加しており、伴走やハイタッチなどでランナーを励まし、大会を盛り上げています。言葉を交わせる距離感で金メダリストと走れるのは、とみおか復興ロードレース大会ならではの良さといえます。完走後のトークショーも必聴です。

■とみおか復興ロードレース大会
開催時期:10月
エントリー時期:5月~7月
距離:10km(一般男女)、5km(一般男女)、3km(中学生男女)、2km(小学生男女)、1km(親子)
主催:富岡町、公益社団法人富岡町さくら文化・スポーツ振興公社

友人同士で楽しめる駅伝大会も要チェック!

自己ベストを目指して挑戦するマラソンも良いですが、友人や職場の同僚と一緒に走ることを楽しみたい人には駅伝大会もおすすめです。

飯舘村では、2022年から「いいたてナイター駅伝」が始まりました。真夏の開催ですが、夕暮れの飯舘村には涼しい風が吹き、快適に走ることができます。職場仲間や学校、クラブなど、村外からの参加も可能です。ナイターに照らされた競技場の周りには出店もあり、まるでお祭りのような夜を楽しむことができる大会です。

また、大熊町では震災前からのまちの伝統でもある「おおくま駅伝」が、2023年から13年ぶりに復活しています。震災前は、約300チームが参加する県内有数の駅伝大会でした。「多くの思い出が詰まったおおくま駅伝を復活させたい」という住民の提案により、再開にこぎつけました。新しいまちづくりが進められる大熊町でランナーがたすきをつなぐ、復興の力強い活力が感じられる大会です。

また、福島県には県内59市町村がそれぞれチームを組む「ふくしま駅伝」という大会があります(一部は連合チーム)。白河市から福島市まで、福島県を南から北へ縦断する96.3kmのコースを16人で繋ぎます。福島12市町村もそれぞれ参加していますが、震災後は選手不足の市町村もあるようです。ランナーとして実績があれば、選手として声がかかることもあるかもしれません。

まとめ

マラソンイベントは、移住した人だけでなく、移住を考えている人にもぴったりのイベントです。走りながら街並みを見ることで、車で走るときには気が付くことのできないまちの風情や自然の美しさに気が付くこともあります。また、沿道の声援やふるまいなどを通して住民と関わることで、まちのあたたかさを感じられるでしょう。

福島12市町村には、さまざまな距離の大会があるため、少しずつ走る距離を伸ばしていきたいという人の練習にもぴったりです。また、いわき市で開催される福島県唯一のフルマラソン大会「いわきサンシャインマラソン」の会場にもアクセスしやすいため、フルマラソン出場を一つの目標としても良いでしょう。

目標達成を目指して走る楽しさを感じられるだけでなく、まちの新しい魅力を発見することもできるマラソン大会。ランニングが好きな人は、ぜひチャレンジしてみてください!

※内容は記事公開当時のものです
文:五十嵐春菜