移住サポーター

チャレンジするまちの移住支援最前線⑤田村市

2022年1月26日
田村市
  • チャレンジするまち

たむら移住相談室
田村サポートセンター
(左から)菅野千恵子さん
影山奈美子さん
佐久間貴代さん

  • どのぐらい相談を受けているか
    2021年度は12月時点で約40件
  • どのような移住イベントを企画しているか
    主幹産業の農業と林業の魅力を伝え、移住希望者と地元の方をつなぐイベント
  • 今後やってみたい企画は
    移住者が地元の方とのつながりを広げるコミュニティスペースをつくりたい

――田村市では移住希望者向けにどのような支援を行っているのでしょうか。

菅野さん 市内石森にある複合型テレワークセンター「テラス石森」内に移住ワンストップセンター「田村サポートセンターを設け、移住相談や地元の方とのつながりをつくるイベントの企画運営など、移住をお考えの方に対する支援全般を行っています。ウェブサイト「たむら暮らし」では県や市の支援制度を紹介しており、申請のサポートなども行っています。

――皆さんご自身もUターンや移住を経験されているそうですね。

菅野さん 私は田村市出身で、13年間東京で販売員の仕事をしていました。もともと地元が大好きでいつか帰りたいと考えており、社会経験を積んで仕事のスキルを身に付けた後に、地元で挑戦できる場を求めて帰ってきました。田村市の方は表に出ることや発信することが苦手でも、内に秘めた思いが強い方が多い人の魅力が強みのまちだと捉えています。

影山さん 私も田村市出身で、高校卒業後に服飾を学ぶために田村市を出て、結婚を機に隣の三春町へUターンしました。私の同級生も進学や就職で田村市を離れる方が多かったのですが、私と同じように結婚や、子どもを自然豊かな場所で育てたいと戻ってくる方がとても多いです。子育て世代になってやっと気づける田村市の豊かさもあると思っています。

佐久間さん 私は千葉県出身で、結婚を機に田村市の隣にある小野町に移住しました。近々田村市に引っ越す予定です。この地域は関東と比べて夏の夜の快適さがまったく違います。自然が多く星空もとてもきれいで、ものすごく子育てがしやすいと感じます。

――実際に相談される方はどのぐらいいらっしゃるのでしょうか。

菅野さん 2021年度は、12月時点で新規就農相談会での出展なども含め約40件の相談を受けています。私たちが開催しているイベントを通じて興味を持って下さった方や、起業を希望している30~40歳代の方からのご相談が多いです。

農業と林業の魅力伝えるツアーを企画

――移住者向けにどのようなイベントを企画しているのでしょうか。

菅野さん 昔から農業や林業が盛んな田村市ですが、担い手不足の現状があります。そのため、イベントの柱の一つとして、新規就農を希望している方や林業に興味がある方をターゲットにしたイベントを開催しています。2021年12月には「林業体験ツアー」として、1泊2日でチェーンソーを使った伐倒の体験や、森林組合の方と交流できるイベントを開催しました。参加した5人のうち、当初田村市への移住を検討している方は2人だったのですが、終了後に移住に前向きになった方もいらっしゃいました。田村市で体験できることは、住んでいる私たちが思う以上に魅力的なのだと感じさせられました。

一方で、若い就農者が増えてきている状況もあります。先日は、東京出身で田村市に移住し、夫婦で有機栽培農家を始めた稲福さんという方をお招きしたオンラインイベントを開催しました。稲福さんは産品を使い、「黒豆甘酒」やブルーベリージャムなど加工品を販売する「福福堂」も経営しているアグレッシブな方です。イベントには9人に参加していただきました。

――イベントの企画段階で気を付けていることはどんなことですか。

佐久間さん 体験だけではなく、地元の方の話を聞いて交流することで、移住前の段階から地域の方とのつながりをつくることを意識しています。人とつながることでより地域のことを知ってもらい、安心して移住を決めて頂けると思います。また、農業や林業に興味を持ってもらい、田村市を選んでもらうにはどんなことをどのように伝えるべきかを意識しています。参加者からの要望を拾い上げながら次の企画に生かしていきたいです。

――ご協力くださる地元の方からの反応はいかがでしょうか?

菅野さん 地元の農家さんや林業従事者の方に事業へのご理解を頂き関係を構築するところから始め、最近は「役に立てるなら協力したい」と意見を伝えてくれる方が増えたと感じています。生業を次の世代につなげるために移住者を増やしていこうという意識が地元の方にも少しずつ芽生えてきているのではないかと感じています。

移住希望者と田村市をつなぐ企画を充実させたい

――住まいの確保のしやすさではいかがでしょうか。

菅野さん 田村市には空き家がかなり多く、最近では居住の問い合わせも増えてきています。ウェブサイト「田村地域空き家の窓口」では空き家や相談会などのイベントの情報を発信するなど、マッチング事業にも力を入れています。

――今後予定している支援策などあれば教えてください。

菅野さん 新型コロナウイルス感染症の影響で最近はオンラインのイベントが中心でしたが、来年度は実際に田村市に来て、農業や林業などの体験をしてもらえるような企画を充実させていきたいです。やはり現地で体験して、地元の方と交流することで、暮らしの温度感が伝わると実感しました。

影山さん 結婚して子どもを持つ身という立場を生かして、子育て世代向けのイベントを充実させていきたいです。例えば首都圏にお住まいで移住して子育てをしたいと考えている方に、自分が田村で育った経験や思いを伝えていきたいと思っています。

佐久間さん 移住後に地域の方とのつながりを広げるお手伝いができるようなイベントの企画や、拠点づくりを進めていきたいと考えています。

――最後に、皆さんの田村市の好きな場所について教えてください。

菅野さん 片曽根山です。遠くから眺める景色も頂上からの景色も素晴らしく、頂上からは安達太良山や郡山の街並みも見えます。Uターンするかどうか悩んでいた時に、ふと片曽根山のことを思い出して、車で登った頂上から田村市の景色を眺めたときに「田村市のために働きたい」という思いが固まりました。

佐久間さん 片曽根山にある「片曽根森林公園」によく子どもと遊びに行きます。幅広い世代の子どもが遊べるアスレチックや長い滑り台があります。屋内にトランポリンなどがある「児童館」には、スタッフの方が常駐していて安心できる遊び場です。

影山さん 田村サポートセンターがある「テラス石森」です。廃校になった旧石森小をリノベーションしてサテライトオフィスやコワーキングスペースとして使われているのですが、スタッフがDIYしている場所もある手作り感のあるスポットです。小高い丘の上に立っているため、コワーキングスペースからの眺めは絶景です!


■田村サポートセンター
住所:〒963-4313 福島県田村市船引町石森字舘108番地
Tel:050-5526-4583
E-mail:contact@tamura-ijyu.jp

田村市・東京リクルートセンター
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2丁目24−12 WeWork 渋谷スクランブルスクエア内
Tel:03-5447-7748

※所属や内容は取材当時のものです。