大熊町の短期滞在で町民と触れ合い、まちの魅力に触れた「移住・就労体験ツアー」
ふくしま12市町村移住支援センターは、地方での仕事や生活の体験を通じて第2の故郷を見つけることができるサービス「タイミートラベル」を運営する株式会社タイミーと連携して、大熊町での移住・就労体験ツアーを企画しました。今回は2024年11月26日から30日にかけて行われたツアーの様子をご紹介します。
大野駅前の「にぎわい創出」が新しいフェーズへ
タイミートラベルは、気になる地方で仕事をしながら暮らしを体験したいユーザーと、働き手を求める市町村をマッチングするサービスです。今回の就労体験は福島12市町村内では初めての試みとなります。
今回のツアーは、同11月30日に開催された「KUMA・PRE(以下、クマプレ)」の閉館イベントに合わせて開催されました。イベントのタイトルは、「クマ・プレR6(アールロク)~これからも、よろしく~」。これまでクマプレが大切にしてきたつながりや活動が、これからの大熊町に引き継がれ、広がっていくことを発信しようと企画されました。
原発事故で全町避難となり、2019年4月に一部で避難指示が解除された大熊町は、JR大野駅周辺を「復興の核」と位置づけ計画的なまちづくりを進めています。大野駅からほど近い場所にあるクマプレは、「大野駅西プレオープンの場」と位置付けられ、情報発信やイベントが行われてきました。地域の活動拠点として親しまれてきましたが、2025年3月に大野駅西口に産業交流施設「CREVAおおくま」、商業施設「クマSUNテラス」が開業するのを前に、2024年12月に3年間の役目を終えました。
クマプレの施設長(当時)である角田涼太さんは、移住体験ツアーをきっかけに移住した人の一人です。
角田さんは趣味である鉄道の旅の途中に、JR大野駅で下車したことがきっかけで未来ワークふくしま移住体験ツアーに参加。「ふくしま12市町村移住サポーターガイドツアー」でも大熊町を訪れ、埼玉県からの移住を決心しました。「町民の皆さんは大熊町に誇りを持って楽しく暮らしている。皆さんと接しているうちに、人のよさやまちの魅力のとりこになっていました」と当時を振り返ります。
今回のツアーにあたり、「短期間の滞在で町民と触れ合い、まちの魅力を感じてほしい」と話してくれました。
角田さんの移住ストーリーはこちらで読むことができます。
https://mirai-work.life/magazine/10071/
交流会、準備、本番で地域の魅力を体感
今回大熊町にやってきたのは、静岡県の大学生土屋新太さんと、東京都で店舗デザイナーをしている小室南々海さんです。今回、どうして大熊町に足を運んでみようと思ったのでしょうか。
「大学で地域の活性化について学んでいます。2024年の夏にインターンとして楢葉町の地域おこし協力隊の活動に参加しました。地域の方と交流するなかで『この地域の活性化は、12市町村全体の足並みが揃わなければなしえない』という話を聞き、いろいろな地域を見てみたいと思うようになりました」(土屋さん)
「被災地はどこまで復興しているのか、自分の目で確かめたいと思い応募しました。店舗デザイナーの仕事をしているので、大熊町でどんなお店を作れるかという興味もあります。短い滞在ですが住民の方々と深く関わり、大熊町について学びたいです」(小室さん)
ツアー1、2日目は大熊町立学び舎ゆめの森や町内を見学し、地域の復興状況を見学。2日目の夜はクマプレのスタッフや地域住民との交流会に参加し、3、4日目は就労体験として、ツアー5日目に開催される閉館イベントの準備を行いました。
二人は、これまでクマプレで開催されたイベントのチラシや開催当時の写真をガラスに貼る作業やポップの作成などを、スタッフと連携しながら進めていきます。
イベント当日は、町民のほか、クマプレがきっかけでつながり合った人たちも多く訪れにぎわいました。二人は来場者への接客と、クラフト体験ブースでのサポートを担当。クマプレをめぐるさまざまな人の想いに触れ、より大熊町の魅力を体感できたようです。
「また訪れたい」「仕事のアイデアが生まれた」
土屋さんは「スタッフや地域の方たちと心を通わせられた感じがします。交流会で住民の皆さんとお酒を飲みながら震災前から今に至るまでの話や大熊町の未来について話せたのは貴重な体験でした」と、町への興味が深まった様子。「これを機に、関係人口として関わるのもいいなと感じました」と話してくれました。
小室さんは大熊町を見て回ることで、店舗デザイナーとしてのアイデアが浮かんできたと言います。「こうした移住・就労体験ツアーがなければ大熊町に来ることもなかったので、学びが多い時間を過ごすことができました。もし私が思うようなデザインができる機会があれば、移住してしまうかも」と、新しい発見があったようです。
角田さんはクマプレの閉館後、CREVAおおくまで大熊町の情報発信を続けていくのだそう。「これまで大切にしてきた『地域の人と人とのつながり』や『交流を通じて笑顔あふれる場』をつくる文化は引き継いでいきたいと考えています。これから訪れる人が大熊町のファンとなり、将来的には移住を考えてもらえるような魅力的なまちづくりをしていきます」と意気込みます。
自分に合った移住先を知りたいなら、まちの魅力や人に触れてみることから始めるのが近道です。ふくしま12市町村移住支援センターでは、福島12市町村の魅力を感じることができる移住体験ツアーを実施しています。「福島12市町村に興味がある」「移住を検討する材料がほしい」と考えているみなさん、まずは移住体験ツアーやイベントなどに参加してみてはいかがでしょうか。
移住体験ツアーやイベントはこちらのページでご紹介しています。
https://mirai-work.life/topics/#
福島12市町村で興味のある移住先を体感できるモデルコースもぜひご覧ください。
https://mirai-work.life/modelcourse/
文・写真:和田学