福島12市町村に空き家はどれぐらいある?? 市町村ごとの空き家事情を見てみよう!
移住において一番重要と言っても過言ではない住まい探し。賃貸(アパート、空き家)、売家、公営住宅などいろいろ選択肢がありますし、一人暮らしか家族で住むかによっても選択肢は違ってきます。
今回は、福島12市町村への移住を検討しているあなたに向けて、各市町村の空き家事情とそれぞれ独自に設けている住宅関連の支援制度をお届けします。
空き家を探したいなら「空き家バンク」をチェック!
特に地方では大きな空き家の問題。少子高齢化等が原因とされ、放置された空き家、空き店舗が社会問題となるケースもありますが、一方では「空き家を購入し住みたい」「お店を始めたい」という需要はあるものの、なかなか情報が行き届いていない現状もあります。
「ではどうやって空き家の情報を集めればいいの?」
そんな方にぜひチェックしていただきたいのが、各自治体やまちづくり公社などが運営している「空き家バンク」です。空き家バンクとは、自治体が空き家・空き地の有効活用を進めるために、貸したい方、売りたい方に物件情報を登録していただき、住民やこれから居住を検討されている方に物件情報を提供する仕組みです。
それぞれ異なる地域性の福島12市町村。どうやら住まいの傾向も異なるようです。さっそく各市町村の空き家事情を一緒にチェックしてみましょう!
南相馬市
南相馬市は、国の重要無形民俗文化財に指定されている相馬野馬追の開催地として知られています。品川駅・東京駅・上野駅から乗り換えなしで移動できる常磐線の特急「ひたち」が原ノ町駅に停車する他、仙台からも「ひたち」で移動することができ、アクセスに優れたまちです。
そんな南相馬市の空き家バンクに登録されている物件は20件(2022年2月10日時点)。そのうち売却物件が8割です。いずれも戸建で、小さい物件で2DK、大きいものだと6LDK相当の二階建て物件まであり、夫婦やカップルはもちろん、子供連れでの移住にも対応可能です。売却物件は400万円〜3,000万円と幅が広く、賃貸は7万円〜10万円が相場になります。
田村市
自然豊かな場所である一方、コンビニやスーパーなどが揃い、日常の買い物に困らない利便性も魅力の田村市。
そんな田村市の空き家バンクに登録されている物件は7件(2022年2月14日時点)。すべて売却物件です。300万円〜600万円が相場となっています。
賃貸物件が全くないわけではなく、アパート等の単身者向けの物件は、田村市や近隣市町村の不動産会社が扱っているケースもあります。
【支援制度】
- 住宅環境整備子ども応援事業
市外から転入する子育て世代の、空き家バンク物件のリフォームに対し、空き家リフォーム補助に加えて子ども(15歳以下)1人あたり10万円を追加支援しています。 - 転入子育て世帯住宅取得補助事業
市内に定住するために住宅を取得し転入した子育て世帯や、転入後3年以内に市内に定住するため住宅を取得した子育て世帯で、いずれも転入する直前に連続して3年以上市外に在住していた世帯に対して、取得額1,000万円以上の物件に対し100万円の補助金を交付しています。 - 空き家改修支援事業補助金
市外から転入する方を対象に、空き家バンク物件のリフォーム費用を最大60万円支援しています。
川俣町
福島県中通りに位置する川俣町。澄んだ空気と良質な水で育つブランド地鶏「川俣シャモ」、長い歴史を誇る「川俣シルク」などが自慢の特産品です。近年はアンスリウムなどの花きの栽培も広がっています。
そんな川俣町の空き家バンクに登録されている物件は14件(2022年3月1日時点)。そのうち9割が売却物件です。売却は110万円〜700万円、賃貸は5万円が相場になります。
【支援制度】
- 住宅取得支援奨励金
県外から川俣町に転入して1年以内に住宅(新築・中古住宅)を取得した方に対し、取得費用の一部を最大200万円支給しています。 - 川俣町空き家改良支援金(福島県外からの移住者)
定住することを目的として空き家を購入し改修する県外からの移住者に対し、改良費を最大100万円支給しています。 - 木造住宅耐震改修支援事業補助金
木造住宅の耐震改修工事にかかる費用最大100万円を補助しています。 - 住宅新築等支援金
空き家の除却費用、除却後の新築費用、空き地への新築に最大260万円を支給しています。 - 二地域居住支援金(福島県外からの二地域居住者)
自治会活動等への参加や空き店舗の活用、空き家へ居住する二地域居住者に対し、単身60万円、世帯100万円を支給しています。 - 空き店舗活用事業補助金
中心市街地の空き店舗を集客や賑わい創出を目的として活用する際の店舗改修費、付帯設備費、賃貸料を補助しています(改修・付帯設備費最大100万円、店舗・敷地・駐車場の賃貸料ひと月の上限10万円とし3年間)。
浪江町
先端産業の誘致など新しいまちづくりに積極的に取り組む浪江町。東京ー浪江駅間はJR特急ひたち号で乗り継ぎなし、約3時間で到着します。
そんな浪江町の空き家バンクに登録されている物件は4件(2022年1月28日時点)。すべて売却物件です。1,000万円前後が相場となっています。
また町内の不動産会社でも賃貸物件の取り扱いがあります。
【支援制度】
- 移住者向け住宅支援補助金
町内不動産会社が管理する賃貸物件に入居する移住者の家賃の一部を補助しています(月額1万円[最長2年] )。 - 移住者住宅取得事業補助金
新規転入に伴う住宅取得費用(建築または購入)の一部を補助しています(基礎補助額:100万円)。
富岡町
2.2kmにも及ぶ桜並木「夜の森桜トンネル」は町を代表する観光スポット。官庁系の施設が多く、周辺自治体に比べて物件も多めです。
富岡町の空き家バンクは民間の不動産事業者の事業再開が進んだことから2020年に事業を終了。現在は民間事業者が空き家をはじめとする各種物件を仲介しています。12市町村内では比較的物件数も安定しています。不動産情報サイト「アットホーム」によれば、2022年2月時点の富岡町の賃貸物件の家賃平均相場は5.96万円となっています。
【支援制度】
- 富岡町定住化促進対策住宅助成金
住宅の取得、またはリフォームをした場合に、経費の15%または300万円のいずれか低い額を補助しています。
楢葉町
Jヴィレッジ、海が望める天神岬スポーツ公園などに多くの人が訪れる楢葉町。寒暖差が少なく過ごしやすい町です。
そんな楢葉町の空き家バンクは一般社団法人ならはみらいによって運営されています。登録されている物件は4件(2022年3月9日時点)。そのうち5割が売却物件で、売却額は200万円〜750万円となっています。賃貸物件は2階建てで部屋数の多い家族向けの一戸建てが登録されており、家賃は10万円〜12万円となってます。
町内には民間の不動産会社もあり、複数の賃貸物件を扱っています。アットホームによれば、2022年2月時点での平均家賃は7.32万円となっています。
【支援制度】
- 結婚新生活支援事業
楢葉町で新たに結婚生活を送る方に対し、住居や引越しに係る費用に対して最大30万円を補助します。
広野町
「東北に春を告げる町」がキャッチフレーズの広野町。温暖な気候を活かしてみかんやバナナの栽培を行っています。東京駅から広野駅へはJR特急ひたち号で約2時間半ほどです。
広野町には現在空き家バンクはありませんが、民間事業者が賃貸・売買物件を仲介しています。アットホームによれば、2022年2月時点での賃貸物件の平均家賃は6.69万円となっています。
【支援制度】
- 空き家住宅改修補助
町内施工業者により住宅の改良をする町民等を対象に、予算の範囲内で工事費用の一部を補助金として交付しています。
飯舘村
阿武隈高原を吹き抜ける冷涼な風が心地良い飯舘村。総面積の約75%を森林が占めるという山あいの村です。
そんな飯舘村の空き家バンクに登録されている物件は5件(2022年3月16日時点)。そのうち6割が賃貸物件です。売却は1,000万円、賃貸は6〜8万円が相場になります。賃貸物件はいずれも6部屋以上あり子供連れの家族での居住も可能な二階建ての一戸建てとなります。
【支援制度】
- 空き家等購入補助金
定住のために空き家を購入された際に最大200万円補助しています。 - 住宅修繕等補助金
定住のために空き家を購入後、リフォームする際の費用を最大100万円補助しています。
葛尾村
年間を通して気温差が少なく農畜産業が盛んな葛尾村。若手の畜産農家がコンピューターを使った最先端の養鶏を営むなど、チャレンジできる村としても注目です。
そんな葛尾村の空き家バンクに登録されている物件は1件(2022年3月9日時点)。賃貸物件です。賃料は応相談となります。
また葛尾村では、県外から村内へ移住定住するため住宅を取得し「補助対象住宅」を購入する方に向けて「「来て かつらお」住宅取得支援事業補助金」を支給しています。支給額は最大100万円です。
葛尾村には現在不動産会社はありませんので、お住まいをお探しの際は村役場へのご相談をおすすめします。
川内村
国の天然記念物に指定されているモリアオガエルの繁殖地である平伏沼(ヘブスヌマ)があり、村の至るところでカエルをモチーフにしたキャラクターが目に入る川内村。お子さんがいらっしゃる家庭への支援制度が充実しており、子育てにはピッタリの村です。
そんな川内村の空き家バンクは一般社団法人かわうちラボにて運営されています。登録されている物件は2件(2022年3月10日時点)。いずれも売却物件です。500万円程度の物件が登録されています。
双葉町
2022年6月の避難指示解除予定に向け新しいまちづくりへの準備が急ピッチで進む双葉町。11年ぶりの居住再開に向け、町では2022年6月を目安に「空き地・空き家バンク事業」を開始すべく準備を進めています。
大熊町
2022年春にかつて町の中心部だったJR大野駅周辺で避難指示が解除され、新しいまちづくりがいよいよスタートする大熊町。
町内には不動産会社があり、主に単身向けの賃貸物件を取り扱っています。家賃5万円~6万円の物件が多くなっています。
また一般社団法人おおくままちづくり公社のサイト上に「不動産利活用支援事業」のページを設けています(2022年3月23日現在準備中となっています)。
【支援制度】
- 来て「おおくま」
大熊町内へ居住する際の家屋取得費用を最大500万円補助しています。
まとめ
市町村が全ての物件情報を把握しているわけではありません。
そんなとき、外部のサイトから情報が見つかることもあります。住むといっても、不動産会社の不動産物件、市町村が分譲する団地、公営住宅、空き家など様々な種類の物件があります。種類によって探し方も異なってきますので、「ふくしまぐらし」の住まい情報もぜひご参照ください。
(公社)福島県宅地建物取引業協会、(公社)全日本不動産協会福島県本部でも、県内の物件情報を紹介しています。
いかがでしたでしょうか? 中には100万円ほどで購入できる物件もあるということに驚かれた方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
空き家バンク事業は自治体によってはまだまだ運用がこれからのケースもあり、登録物件数は今後大きく変化していく可能性もあります。住まい探しは出会いのタイミングが大切です。ぜひ定期的に各自治体のサイトをチェックし、あなたにぴったりの住まいを見つけてください。
※内容、支援制度は2022年3月当時のものです。最新の支援制度については各自治体のホームページをご確認いただくか移住相談窓口にお問い合わせください。