チャレンジするまち

チャレンジするまちの移住支援最前線⑭成田朱実さん(葛尾むらづくり公社)

2022年3月25日
葛尾村

      一般社団法人葛尾むらづくり公社
      地域プロジェクトマネージャー・移住支援員
      成田朱実さん(写真)
      事務局長代理兼葛尾村移住・定住支援センター統括
      米谷量平さん

      • 成田さんはどんなお仕事をしているの?
        東京から移住し移住相談窓口の相談員として勤務
      • 葛尾村の生活はどう?
        村じゅうで気心が通じ合っているようで、あいさつのように「どぶろく飲んでいけ」と声を掛けていただく
      • どんな相談員になりたい?
        相談者の方に人生相談をしてもらえるまで関係性を築きたい

      2022年3月24日に移住相談窓口が開所

      ――現在のお仕事について教えてください。

      成田さん 東京から葛尾村に移住し、2022年3月から一般社団法人「葛尾むらづくり公社」で地域プロジェクトマネージャー・移住支援員として勤務しています。新しく開所する葛尾村移住・定住支援センターで移住を希望される方からの相談に対応します。

      ――前職はどのようなお仕事をされていたのですか。

      成田さん 外資系のIT企業でプロジェクトマネージャーをしていました。

      ――こちらに転職を決めたきっかけは何だったのでしょうか?

      成田さん もともとキャンプやアウトドアが好きで、自然のある場所に移住したいという思いがありました。昨年、ご縁のある方に葛尾むらづくり公社の求人をご紹介いただき、求人の熱を感じて応募を決めました。村づくりのようなマネジメントが求められる仕事は組織としての力も大事だと思っているのですが、求人から組織の魅力がしっかり感じられました。正直、葛尾村のことは知らなかったので、求人を見てから調べました。

      ――どのように移住者の相談を受けていきたいですか。

      成田さん プライベートでも友人や家族の相談を聞くことが多いのですが、移住定住はその方の人生に大きく関わることです。理想としては人生相談ができるようなところまで関係性を築けるような相談員になりたいです。私が前職でも担ってきたプロジェクトマネージャーという役職は、「コミュニケーションが9割」と言われる仕事ですので、その経験を生かして移住を希望される方や地元の方とコミュニケーションをしっかり取っていきたいと思っています。まずは葛尾村がどんな場所で、どんなアイデンティティがあるのかを深く知っていくことを大切にしたいです。

      村じゅうに「ツーと言えばカー」の温かさがある

      ――葛尾村での生活はいかがですか。

      成田さん 村民が約1,300人の小さな村ということもあり、村じゅうにツーと言えばカーの温かさがあります。あいさつ回りをしている中で、こんにちはと言うかのように「どぶろく飲んでいくか」と声を掛けていただけるのはうれしいですね。どぶろくは地域のつながりを強くするのに役立っているのだなと感じます。

      生活面では、夜は氷点下になる時に水道の水抜きをしないと水道管が破裂してしまうことがあるというので、管理を忘れないように気を付けています。

      ――村の魅力をどんなところに感じますか。

      成田さん 小さな川がたくさん流れていて、村全体の気を流していてくれているように感じています。景観も村の方々が整備をされているおかげで、とてもきれいに保たれています。

      ――言葉の壁などはいかがでしょうか。

      成田さん 正直、7~8割は聞き取れているというところです。公社内での会話もたまにイントネーションの違いが分からず聞き返してしまうことがありますが、キャラクターでカバーできるかなとは思っています(笑)。

      ――移住者の方はどのような方が多いのでしょうか。

      成田さん もともとお住まいの方は年齢を重ねた方が多いですが、移住してくる方は私と世代の近い20代から30代の方が多いです。地域おこし協力隊や地域の産業で活躍されている方が多いですね。

      ――住宅供給事情はいかがですか。

      成田さん これからもっと増やしていかなければいけないという段階です。空き家はリフォームが必要な物件が多く、希望する方にすぐ提供できる状況ではありません。公社が住民と関係づくりをしていくなかで、管理できる物件を増やしていくことも必要になると考えています。

      移住者にも、村民の気持ちにも寄り添いたい

      ――村の基幹産業について教えてください。

      米谷さん 震災前から畜産業です。養鶏や酪農は震災前よりも出荷数が増えています。ヒツジやヤギなどの新しい畜産も始まっており、30~40代の若い担い手が多いので心強いです。ほかにもコチョウランやニットの工場ができるなど、新たな産業も生まれています。雇用は少しずつ震災前かそれ以上の情況になっているとみていますが、そうするとやはり住宅の供給が課題になってきますね。

      ――米谷さんが成田さんに期待されることはどのようなことですか。

      米谷さん 移住定住を進めるということは、人を呼び込むということです。人を呼び込むためには、雇用を生むことと、その地で暮らす人たちの幸福度をいかに高めていくかが重要だと思っています。成田さんにはこの地域で暮らす方々がいかにより幸せに、楽しく暮らしていけるかを考えて事業に取り組んでいただけるといいな、と思っています。

      ――成田さんご自身、自らの将来像をどのようにイメージしていますか。

      成田さん 移住する前に、永続可能な農業をもとに人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法を手掛ける「パーマカルチャーデザイナー」の資格を取りました。この肩書は実践を積まないと名乗れるものではないと考えていますが、その知識を活かしながら、葛尾村を起点に農村地域を興していくという面で少しずつプロフェッショナルになっていきたいと考えています。今は公社でお仕事をしていますが、将来的には仕事的にも自立していきたいです。

      ――改めてお仕事への意気込みをお聞かせください。

      成田さん プロジェクトマネージャーとしての経験はあっても、この分野でのお仕事は本当にゼロからのスタートです。いち移住者として感じる違和感も大事にしながら、移住者の気持ちにも、村で暮らす方の気持ちにも寄り添って、共感ができるような地域プロジェクトマネージャーでありたいと思っています。


      葛尾むらづくり公社
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      取材:髙橋晃浩 文・写真:五十嵐秋音