【企業紹介】非常時でも活躍する汎用人型重機を社会実装する

    株式会社人機一体 代表取締役社長
    金岡博士
    博士(ロボット制御工学)、発明家、起業家。専門は、パワー増幅ロボット、歩行ロボット、飛行ロボット等。マンマシンシナジーエフェクタ(人間機械相乗効果器)という概念を独自に提唱し、二十年来一貫してその実装技術を研究・蓄積してきた。
    2015年に株式会社人機一体を立ち上げ、ビジネスとしての「人型重機」の社会実装に挑む。

    「日本のロボット技術のレベルは非常に高い」
    そう言われていたにも関わらず、東日本大震災での原発事故対応でロボットの活躍は限定的だった。その現実が起業のきっかけになったと語る金岡博士。
    「いつかまた訪れる非常時に、優れた技術が復興現場で活躍するためには、ショベルカー等の重機のように平常時から使われる製品として普及するものを作らなければいけない」
    そんな思いで、自身が大学で研究してきた技術を製品として世に出すことを目指し会社を立ち上げた。

    確固たる技術で、苦役から解放される世界の実現へ

    通常の産業ロボットは、静止しているモノを正確に掴んだり、動かしたりすることは得意だが、未知の外力で押されたときに柔軟に力を制御するといったことはできない。
    しかし、人機一体のロボットは動く腕を押しても柔軟に跳ね返ってくる。
    これは人間が無意識にやっているように力加減をコントロールしているからだ。これは、「力制御技術」というコア技術が可能にしている。
    そしてもうひとつのコア技術の「パワー増幅バイラテラル制御技術」により、例えば、熟練職人のような繊細な動きを大きなパワーに増幅して、人がロボットを操ることができる。これにより、これまで機械での代替が難しかったような肉体的重作業から人類を解放し、ロボットオペレーターへと仕事を変化させることが株式会社人機一体のビジョンだ。

    熱意をもった人たちと福島発の製造拠点をつくる

    同社は2019年に新たな拠点として福島県南相馬市に「福島基地」を設立した。福島県にはストーリーがあり、福島発のロボットを世界に発信することで復興に寄与できると考えているのだ。

    蓄積した知識やアイデアを具現化してロボットというカタチにしていくことは、多くの人を動かす「実装力」が必要で難しい。そのためには人々の熱意や想いが必要不可欠であるが、南相馬市にはそれがあった。ロボットで復興するんだという意志に溢れており、その熱意を受ける形で、金岡博士はここに自社の拠点をつくることを決めた。

    「福島は震災から復興し元通りになるだけではなく、さらに世界に羽ばたく産業を新たに創出することを目指す場であり、震災をきっかけに生まれたベンチャーの人機一体にとってもストーリーのある場所なんです」と金岡博士は語る。

    多彩な知識集団となれる仲間を

    重労働の現場は多様である。
    人機一体は製品を自社で製造販売するのではなく、製品開発に必要な知識を体系的に構築し、複数の大企業と連携して汎用性のあるロボット産業そのものを作るという戦略で社会実装を目指す。日常で使えるロボットを社会に浸透させるには法整備も必要であり、ビジネススキームを作っていく必要があるため、ロボット技術以外の専門家にも活躍の場がある。
    福島発の技術でロボットが活躍する世界や新しい枠組みをつくることに情熱を持てる人にとってやりがいのある場となるだろう。
    (文・富田 京子)

    ▲しなやかなロボットアームの力制御実験の様子。
    ▲人型重機が長尺物をハンドリングする様子。