【企業紹介】人々が描くドローン社会を「実現」する技術力を

2022年12月26日
  • 事業紹介
株式会社プロドローン常務取締役
市原和雄 氏
大手電機メーカでネットワークソフトウェアの開発に従事したのち起業し、システムとクラウドサービスの開発会社を設立、2015年にプロドローン設立に参加、現在に至る。来るべきドローン前提社会における、システムレディなドローンを実現するアーキテクチャの設計と、クラウドベースの管理と制御アプリケーションの構築を進めている。

現場の課題やニーズ一つ一つに向き合い、危険箇所で直接ドローンが作業を行える「アーム付きドローン」や天井面・垂直壁面両方の検査が可能な「張り付き型ドローン」などを次々とリリースしてきた産業用ドローンメーカーのPRODRONE。「地域から一番信頼されるドローンカンパニーになる」ことを理念に掲げ、自社にしかできない機体を世界へ届けることを目指している。

世界初にこだわり続けて250種類

同社は「35年以上のRCヘリやドローン開発の経験」、「多様な業界への組み込みやシステム開発の経験」などソフトとハードのプロフェッショナル3人が集まって立ち上げたベンチャー企業だ。

「自動車などと比べ、ドローンはシンプルで、高性能な類似品をつくることは比較的容易です。それでも最初の1基の開発は重要であり、そこをリードする役割を担いたいのです」

そう語るのは、創業メンバーの1人である、常務取締役の市原氏だ。
量産機の製造に力を入れるメーカーの王道は目指しながらも、PRODRONEには「世界初に挑む」という強いDNAがある。実際、これまでに製作してきたドローンは、250種類、500機にのぼる。

▲ドローンの機体開発と解析などのソフトウェア開発の両輪を回すことでよりスムーズな実用化を目指す。

ソフト・ハード両面から確実に動くドローンをつくる

国内外で様々なドローンベンチャーが台頭してくる中、同社の強みはソフトウェアとハードウェアの両面の技術力から生まれる柔軟性と、同時にその信頼性だと市原氏は語る。

「一般的にドローンは10~15m/sの速度で飛行します。しかし速度や重量のバランスによっては不安定になることがあります。私たちはその詳細な条件範囲を明確にしました」。

これによって、最適な積載重量・飛行時間・距離をふまえた機体の設計が可能になり、風が吹いたり壁にぶつかったりしても、簡単には落下しない安全性を担保できるようになった。
実際にサービスとして実現しようとしたときに、信頼に足るドローンを作り出せることが何より重要だという創業チームの信念が伺える。

▲ 福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールド(FRTF)の屋外試験場などを活用し、実用化に向けた大型ドローンの実証試験を行う。

福島ロボットテストフィールドで育つ機体と期待

同社は長距離物流ドローンやパッセンジャードローンの実用化実証実験を重ねるため、2019年からは南相馬市の福島ロボットテストフィールド(FRTF)に入居し研究センターを構えた。
住宅やビル、トンネル通過など、不安定なGPS環境での自律飛行システムのテストや、高低差のあるフィールドでのテストが可能な環境など、その希少性に着目したためである。

「ドローンがぶつかる可能性まで考慮しながら、存分に攻めた開発ができるのがありがたいです」と市原氏は話す。
福島12市町村で進める開発は、2023年度からのジェットエンジン等を搭載した物流用大型ドローン販売や、配達サービスの実現につながっていく。
多様な人が多様に活躍する社会の実現に向け、今後福島12市町村から様々な機体が巣立っていくだろう。
(文・秋永名美)