事業紹介

【企業紹介】自動車業界とエネルギー業界からなる大手7社が企業の枠組みを超えて構えるバイオエタノールの研究拠点

2023年12月12日
大熊町
  • 先端産業
次世代グリーンCO2燃料技術研究組合 運営委員長
関 康伸 氏
1989年慶応義塾大学理工学研究科修士課程修了、同年トヨタ自動車株式会社入社。同社にて主に人事、経営企画部門に従事、北米統括会社(米国 シンシナティ)、欧州統括会社(ベルギー ブリュッセル)に駐在経験。2022年カーボンニュートラル開発部に異動し現在に至る。

政府が掲げる2035年のカーボンニュートラル実現に向けて大きな役割を担うことが期待される自動車業界。ガソリンから次世代のクリーンな燃料への転換がカギとなるが、今、その技術の確立に向け、業界をけん引する7社が企業の枠組みを超えた研究に挑んでいる。その取り組みについて、次世代グリーンCO2燃料技術研究組合の関康伸氏に話を聞いた。

次世代グリーンCO2燃料技術研究組合は2022年7月に発足した。その背景には、企業の枠を超えて環境問題への意識を擦り合わせ、それぞれの知見を集めて次世代の燃料を考え研究していくことで、カーボンニュートラルの実現を加速化させる狙いがある。

組合を構成するのは、エネルギー会社であるENEOS、自動車メーカーのスズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、マツダの5社に、自動車や燃料の流通を担う豊田通商を交えた7社。ライバルとしてシェアを競う会社同士であっても、環境問題において目標とすべきゴールは一つ。その目標を達成するため、タッグを組んでよりスケールの大きな事業を展開することを目指している。

カーボンニュートラル化した将来のガソリンの原料としては、植物を原料としたバイオエタノールと、クリーンエネルギーから作られるグリーン水素とCO2を化学的に合成する合成燃料に期待が持たれている。組合が研究をおこなうのは前者の植物を原料としたバイオエタノールだが、バイオエタノールは当初トウモロコシやサトウキビが主な原料とされたため、食糧問題への干渉が懸念されていた。そこで組合が着目したのが、食物繊維の一種であるセルロースを原料とした「第2世代」と呼ばれるバイオエタノールである。この燃料を安定的かつ安全に、そして安価に製造する技術を確立することが、組合の事業内容となる。

2024年10月稼働に向け大熊町内にプラントを建設

研究の地に大熊町が選ばれた背景には、原料となるエネルギー植物の栽培に福島の浜通り地域が適していたことに加え、この地域から先端技術を生み出すことで、東日本大震災からの復興を目指す福島に貢献しようという意図があったと関氏は語る。現在、大熊西工業団地に研究拠点となるプラントの建設を進めており、計画通りに進めば2024年10月に操業開始となる見込みだ。

そこで必要となるのが研究を担う人材である。組合では、地域における雇用の創出、また地域コミュニティへの貢献といった観点から、すべてのスタッフを現地採用することにこだわる。事業所長及び各研究工程の核となる人材はすでに採用を終えているが、これまでに採用が決まったスタッフのほとんどが福島県もしくは近県在住、または採用を機に移住を決断した人たちだという。今後も継続して現地での採用活動を続け、最終的には総勢40名の体制構築を目指している。

組合が求めるスタッフの人物像について、関氏はこう語る。

「バイオエタノールの普及への橋渡しとなる技術の開発というイノベーティブな活動に興味を持っていただけるか。そこが一番のポイントとなります。ゼロから事業を立ち上げていくダイナミズムにチャレンジするスピリットを持った方が我々には必要です。また、一つの事業を強いチームワークのもとで立ち上げ形にしていくことになるため、他者と競争するという意識ではなく、コミュニケーションやネットワークを大切にし、みんなでスクラム組んで頑張っていこうといったマインドセットも必要だと考えています」

バイオエタノール普及の環境づくりに全力を尽くす

研究の成否を占う一番のカギは、製造プロセス全体においてCO2の排出量をどこまで下げられるかにあり、そこにイノベーションの最大のチャンスがあると関氏は語る。トライアンドエラーを繰り返し、安心安全、効率、価格といった要素を重視しながらCO2削減に挑み続け、最終的には各社が持ち帰るに値する技術を確立するのが組合のゴールだ。

そのゴールへとたどり着き、国の政策もしくは燃料会社の企業戦略としてバイオエタノールの普及が現実味を帯びた暁には、「確立したノウハウを惜しみなく世の中に提供し、普及の環境づくりに全力を尽くしたい」と関氏は語った。

次世代グリーンCO2燃料技術研究組合の求人はこちら
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■次世代グリーンCO2燃料技術研究組合
燃料を「つくる」プロセスでの効率化を研究することを目的に、国内の自動車メーカーおよび燃料製造に関わる企業によって2022年7月に設立。カーボンニュートラルの実現に向け、バイオマス製造時に水素・酸素・CO2を最適に循環させて効率的に自動車用バイオエタノールを製造する技術を研究する。

住所:〒979-1308 大熊町下野上字清水230 大熊インキュベーションセンター内
HP:https://rabit.or.jp/

※所属や内容は取材当時のものです。
取材・文:髙橋晃浩