チャレンジするまち

チャレンジするまちの移住支援最前線⑩川内村

2022年3月10日
川内村

      川内村役場総務課企画政策係
      係長 秋元秀典さん(写真)
      専門員 遠藤清輝さん

      • 村の特性は?
        協力して何かを作り上げるパワーが強い村民性
      • 主な産業は?
        木材加工やワイン用ブドウ生産などの農林業
      • 力を入れている移住支援策は?
        子育て、教育関係。給食費の無償化、遠距離通学への補助のほか、村営塾で教育の機会を支援

      やるとなれば村総出で盛り上げる村民性

      ――企画政策係のお仕事について教えてください。

      秋元さん 移住定住関係を含め、まちづくりや再生可能エネルギーなど政策企画に関する幅広い分野を担当しています。移住相談窓口としては2021年10月から村づくり会社の「一般社団法人かわうちラボ」に委託しています。

      ――村の人口の推移について教えてください。

      秋元さん 東日本大震災後に全村避難となり、2016年4月に全域で避難指示が解除されました。2022年2月1日時点の村内生活者は2,009人で、帰還率はおよそ80%です。

      ――村の特性について教えてください。

      秋元さん 浜通りに属しますが中山間地域で海がありません。電車はなく、信号機も2つしかない静かな村です。東西20キロほどに集落が点在しているため、同じ村内でも住んでいる地域によって生活圏が富岡町寄りだったり、いわき市寄りだったり、田村市寄りになったりとかなり分かれてきます。村内ですべての買い物が完結できるわけではないため、必要に応じてそれぞれの生活圏に近い市や町に買い物に行くことになります。

      村長室の扉は基本的にいつも開いており、気軽に村長に会うことができる雰囲気ができています。村長は「移住してきたらいつでも遊びにおいで」といつも言っています。移住された皆さんは、さまざまな相談をしにいらっしゃいます。

      ――川内村といえば、イベントが多い印象があります。

      秋元さん 震災後に始まった「川内の郷かえるマラソン」や詩人草野心平ゆかりの天山文庫で行われる「天山祭り」などがあります。またマツタケや珍しいキノコが採れることから、震災前までは「きのこ祭」も開催されていました。

      遠藤さん イベントの数が多いのは、やるとなると多くの人が積極的に協力してくださる村民性の賜物だと思います。マラソンをやるとなれば村総出で盛り上げますし、詩人である草野心平さんゆかりの「天山文庫」の歴史にもその気質がかなり表れています。天山文庫は草野心平さんが村に寄贈した蔵書3,000冊を集めた施設を作ろうと、村民が一木一草を持ち寄り、建てた施設です。

      天山文庫

      村営塾で教育の機会を支援

      ――産業にはどのような特性があるでしょうか。

      秋元さん 主軸は農林業です。中でも林業は村有林がかなり多く、過去には薪炭の生産で村財政が潤い、住民税をなしにした時代もあったほどでした。震災後、放射線量の影響で川内産の木材は流通に乗らないことが多かったのですが、2021年にバイオマス発電に活用される木材チップ工場ができたことにより、村の広大な山林を活用する道が広がりました。林業従事者は農業よりも人材不足の状況ですので、従事する方が入ってきてくださるとうれしいです。特に、林業女子は大歓迎です。

      遠藤さん 震災後にワインを新たな産業にしようと、村も出資して「かわうちワイン株式会社」を設立し、生産を進めています。ブドウの栽培も村内で行っており、今年(2022年)3月には初めて川内産ブドウによるワインが出荷されます。まさにこれからというところですが、ワイン用のブドウを栽培しているのは村直営の畑のほか、民間では1軒のみですので生産者を増やしていきたいですね。

      また、ワイン用だけでなく食用ブドウの栽培も始まっています。これまで村には土産物があまりありませんでしたが、稲の育苗ハウスを活用して育てたシャインマスカットの人気が高まっています。

      ――教育の支援について教えてください。

      秋元さん 教育にはかなり力を入れています。2021年4月には、地域で子どもたちを育てていこうという理念のもと、小中一貫の義務教育学校が開校しました。保育園から中学校まで給食費は無料です。また、「ひとり親世帯移住奨励金」として移住経費50万円の支給をはじめ、家賃補助や、移住して3年経過後に30万円を交付する制度もあります。この制度は創設された2016年以降、13世帯31人が利用して移住しました。

      遠藤さん 村内には民間の学習塾はありませんが、教育の機会の格差をなくす目的で村営の学習塾「かわうち興学塾」があります。小学3年生から週2回を月1,000円程度で、中学生も1,500~2,000円で通うことができます。夫婦共働きでまちなかにお住まいですと、学童保育に入れなかったり送迎が難しかったりとご苦労があると思いますが、村では塾の送迎も含めて全員スクールバスを利用できますので、子育てしやすい環境だと思います。高校で遠距離通学をする場合も通学費を助成しています。

      ――住宅の供給状況はいかがでしょうか。

      秋元さん 現状、村内には民間の賃貸物件が多くはありません。かわうちラボが空き家バンクを運営しているほか、震災後、移住者向けに村営住宅を新たに約120戸増やすなど、住宅確保を進めています。

      ――そのほかの移住支援制度について教えてください。

      秋元さん ご結婚時に20万円を支給する制度や、出産祝い金として第1子10万円、第2子20万円、第3子30万円を贈る制度があります。移住に係る一度の大きな支援金は国や県に任せ、基本的には村民として村で暮らしていく中での幸福度を上げるような支援をしたいと考えています。

      村長とも話せる風通しの良さが暮らしやすさに

      秋元さんと遠藤さん(右)

      ――移住者の方の声を直接聞く機会はありますか。

      秋元さん 震災後から移住者の方々のお話を聞くサロンのようなものを開催しています。最近は新型コロナウイルス感染症の影響でできていませんが、村長や村職員、かわうちラボのスタッフが出席して、移住者からの要望などを聞く場にしています。

      このような取組は、村内に8つある各行政区でも村長や村幹部、職員に直談判できる「行政懇談会」としても開催しており、「道路を直してほしい」「街灯が暗い」など村民の声を直接聞いています。大きな自治体ですと難しい取組ですよね。

      どこに人生の豊かさを求めるかは人それぞれです。不便な部分も多い村ではありますが、行政と村民の風通しが良く、見方によってはとても暮らしやすい土地でもあります。

      ――移住を検討されている方にメッセージをお願いします。

      秋元さん 2022年度からは、若い方により定住したいと思っていただけるような支援、施策を考えています。

      これは小さなまちにしかできないことですが、おそらくツテも住まいも仕事も決まっていないという状態で村にいらっしゃっても、まずはご相談いただければ、意外と早い段階でなんとかして差し上げられるのではないかと思っています。これからも川内村にしかない良いところを積極的に発信していきたいと思っています。


      川内村役場
      〒979-1292
      福島県双葉郡川内村大字上川内早渡11-24
      Tel:0240-38-2111
      http://www.kawauchimura.jp/page/dir000304.html

      一般社団法人かわうちラボ(移住相談窓口)
      〒979-1201
      福島県双葉郡川内村大字上川内字町分282-6
      Tel:0240-23-7040
      https://www.k-labo.or.jp/publics/index/67/